新着情報

印刷

  • HOME
  • 新着情報
  • 片山量平基礎研究部長が、科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

新着情報

片山量平基礎研究部長が、科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

2018年04月10日

当会 がん化学療法センター 基礎研究部の片山量平部長が、科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました。




当会がん化学療法センター基礎研究部の片山量平部長が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞いたしました。若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者個人を表彰するものです。

今回受賞対象となった片山量平 部長の業績は、『肺がんに対する分子標的薬耐性機構と耐性克服法の研究』です。4月17日に文部科学省で表彰式が行われました。

文部科学省「平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について」

受賞対象
『肺がんに対する分子標的薬耐性機構と耐性克服法の研究』

受賞対象となった主な業績
肺がんはがんによる死亡原因のトップであり、より効果的な治療法の開発が切望されている。近年肺がんの原因となるがん遺伝子が次々に同定され、それらに対する分子標的薬が数多く開発されて高い有効性を示しているが、薬剤耐性による再発が共通した問題となっている。そのような中で、片山 部長らは、肺がんに対する分子標的薬耐性の分子機構をがん患者由来の臨床検体と培養細胞株の両方を駆使することで複数発見するとともに、それら耐性を克服する治療法の候補を複数発見した。この研究成果は、今後、薬剤耐性の肺がんにも有効な治療法の臨床開発につながる可能性があり、進行肺がん患者の予後を改善し、国民の福祉に対して貢献できる可能性が高い研究成果であると期待される。

具体的成果の一部
◆あらゆるEGFR阻害薬に耐性のEGFR変異陽性肺がんに対する耐性克服法の発見
わが国では、進行非小細胞肺がんの約3割以上でEGFR遺伝子に活性化変異が見つかり、それに対しては、複数の分子標的薬(EGFR阻害薬)が有効であり標準治療として実臨床で使用されています。しかし、数年以内に薬剤耐性の腫瘍が出現し、再発することが問題です。特に、EGFR遺伝子に2つの変異が入ると、既存のあらゆるEGFR阻害薬に耐性となることが問題となってきています。わたくしたちは、この2重耐性変異体にも有効な併用療法を見いだし、報告しています(主要論文1)。現在、発見した併用療法が実臨床に応用可能かどうか検証する研究を進めています。

◆ALK融合遺伝子陽性肺がんにおける新規耐性機構の発見(2次変異、P糖たんぱく質)
非小細胞肺がんの3〜5%を占めるALK融合遺伝子陽性の肺がんには、わが国では3つの分子標的薬(ALK阻害薬)が承認され、実臨床で使用されています。ALK陽性肺がんにおいても、薬剤耐性が大きな問題の1つであり、我々は、培養細胞株および研究利用への同意を頂いた患者様からの腫瘍検体を用いて耐性機構を解析し、複数の耐性メカニズム同定に成功してきました(主要論文2, 3, 5, 6, 7他)。現在開発段階の次世代ALK阻害薬耐性も含め、今も精力的にALK陽性肺がんの薬剤耐性機構の研究を進めています。

◆ROS1融合遺伝子陽性肺がんにおける新規耐性変異と耐性克服法の発見
ROS1融合遺伝子陽性肺がんは、非小細胞肺がんの1〜2%で認められ、ALK阻害薬でもあるCrizotinibが承認され実臨床で使用されています。これまでに、ROS1陽性肺がん患者におけるCrizotinib耐性機構としてはROS1の薬剤結合ポケットにある2032番目のグリシン(G)がアルギニン(R)に置き換わる変異が最も多く認められることが報告されていますが、その耐性変異にも有効な薬剤は明らかになっていませんでした。私たちは甲状腺がんの治療薬として米国などで承認されているCabozantinibがこの変異にも有効であることを実験レベルで発見し報告しました(主要論文4)。

主要論文等
1. Uchibori K., Inase N., Araki M., Kamada M., Sato S., Okuno Y., Fujita N., *Katayama R.
Brigatinib overcomes osimertinib resistance in EGFR-mutated non-small-cell lung cancer. Nature Commun., 8: 14768, (2017)


2. *Katayama R.
Therapeutic strategies and mechanisms of drug resistance in Anaplastic Lymphoma Kinase (ALK)-rearranged lung cancer. Pharmacol. Ther., 117, 1-8 (2017)

3. *Katayama R., Sakashita T., Yanagitani N., Ninomiya H., Horiike A., Gainor J.F., Motoi N., Dobashi A., Tambo Y., Kitazono S., Sato S., Koike S., lafrate A.J., Mino-Kenudson M., Ishikawa Y., Shaw A.T., Engelman J.A., Takeuchi K., *Nishio M., *Fujita N.
P-glycoprotein mediates ceritinib resistance in ALK-rearranged non-small-cell lung cancer. EBioMedicine, 3: 54-66, (2016)


4. Katayama R., Kobayashi Y., Friboulet L., Lockerman E.L., Koike S., Shaw A.T., Engelman J.A., *Fujita N.
Cabozantinib overcomes crizotinib resistance in ROS1 fusion positive cancer. Clin. Cancer Res., 21. 166-174, (2015)

5. *Katayama R, Lovly CM, Shaw AT. Therapeutic targeting of anaplastic lymphoma kinase in lung cancer: a paradigm for precision cancer medicine. Clin Cancer Res. , 21(10):2227-2235, (2015)

6. Katayama R, Friboulet L, Koike S, Lockerman EL, Khan TM, Gainor JF, Iafrate AJ, Takeuchi K, Taiji M, Okuno Y, Fujita N, *Engelman JA, *Shaw AT. Two novel ALK mutations mediate acquired resistance to the next-generation ALK inhibitor alectinib. Clin Cancer Res., 20(22):5686-5696, (2014)

7. Katayama R, Shaw AT, Khan TM, Mino-Kenudson M, Solomon BJ, Halmos B, Jessop NA, Wain JC, Yeo AT, Benes C, Drew L, Saeh JC, Crosby K, Sequist LV, Iafrate AJ, *Engelman JA. Mechanisms of acquired crizotinib resistance in ALK-rearranged lung Cancers. Sci Transl Med., 4(120):120ra17, (2012)

他、多数

このページのTOPへ