新着情報

印刷

  • HOME
  • 新着情報
  • 【がん研セミナー(10月2日)のお知らせ「KRAS変異型肺がんにおけるSTING/TBK1経路の役割 」北嶋 俊輔 博士(ダナファーバーがん研究所, David A. Barbie Lab)】

新着情報

【がん研セミナー(10月2日)のお知らせ「KRAS変異型肺がんにおけるSTING/TBK1経路の役割 」北嶋 俊輔 博士(ダナファーバーがん研究所, David A. Barbie Lab)】

2018年09月06日

がん研セミナー(10月2日)のお知らせ

 

演題:KRAS変異型肺がんにおけるSTING/TBK1経路の役割

 

演者:北嶋 俊輔 博士(ダナファーバーがん研究所, David A. Barbie Lab)

 

抄録:KRAS遺伝子変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)において頻繁に観察されるDriver Mutationですが、変異型KRAS自身を標的とした有効な分子標的薬が存在せず、新規治療法の開発が望まれています。また、KRAS変異型NSCLCは、併発するTp53あるいはSTK11/LKB1等の遺伝子変異によって細分化され、それぞれが異なる遺伝子発現様式や治療反応性を示すことが知られています。私達は、マウスモデルや臨床検体を用いた遺伝子発現解析や腫瘍微小環境解析を通じて、特にKRAS;LKB1変異(KL)型NSCLCの増殖生存が、ウイルス感染応答において中心的な役割を担うTBK1の活性化に依存していることや、新規TBK1阻害剤が、従来のMAPK経路やPI3K/AKT経路の阻害剤に治療抵抗性を示すKL型NSCLCモデルマウスに対して、顕著な腫瘍縮小効果を示すことを明らかにしました(Ref.1)。さらに、KL型NSCLCにおけるTBK1経路の活性化機構を解析した結果、KL型NSCLCでは、細胞質内DNAセンサーとしてTBK1の上流因子として働くSTINGの発現が特異的に抑制されていることを同定し、DNAセンサー経路の抑制がKL型NSCLCの増殖生存に必須であることを明らかにしました(Ref.2)。

近年、KL型NSCLCは他のSubclassと比較して免疫原性が低く、免疫チェックポイント阻害剤に対しても治療抵抗性を示すことが報告されましたが、私達の研究成果はその分子機構の一端を示すものと考えています。今回は、これらSTING/TBK1経路を話題の中心に、KRAS変異型NSCLCそれぞれのSubclassが有する生物学的特性の分子基盤解明と新規治療法開発の可能性について、私たちの最新の知見を紹介させて頂きたいと思います。

 

References:

1. Kitajima S. et al. Overcoming resistance to dual innate immune and MEK inhibition downstream of KRAS. Cancer Cell, 2018 in press.

2. Kitajima S. et al. Suppression of STING associated with LKB1 loss in KRAS-driven lung cancer. Cancer Discovery, 2018 under revision.

 

 

日時:2018年 10月 2日(火) 17:00〜18:00

 

場所:吉田記念講堂

 

連絡先:藤田直也(内線5413)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

このページのTOPへ