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当院で乳房再建用ティッシューエキスパンダーおよび乳房インプラントの 挿入術を受けた皆様へ

2019年07月30日

 近年、乳房再建術や豊胸術後に、稀に「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma, BIA-ALCL)」という合併症が生じることが分かってきました。この疾患はT細胞性リンパ腫の一種で、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。
 乳房再建で用いられる米国のアラガン社という会社の乳房インプラントであるナトレル410シリーズは、Biocell(バイオセル)というざらざらの表面構造を持ち、このリンパ腫の発生リスクと関係すると考えられます。世界中で広く使われており、日本ではこの製品が健康保険で認可されている唯一の製品です。このインプラントが挿入されているかたの3,300人に1人(約0.03%)にこのリンパ腫が発生すると報告され、日本では今年初めて1人の発生が報告されました。海外で発症した患者さんは、リンパ腫が発生した方の平均を取ると、インプラントを入れてからおよそ9年で発見されています。インプラント周囲に液体がたまり、大きく腫れることで始まることが多いとされています。
 このBIA-ALCLを発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒すると言われています。一方、発見が遅れて切除しきれなかった場合には、化学療法や放射線療法などの追加治療が必要になり、死亡例も報告されています(米国での発症573例のうち33例、5.75%)。
 米国時間の2019年7月24日、アラガン社はアメリカ食品医薬品局FDAの指導のもと、ナトレル410およびティッシューエキスパンダーであるナトレル133を含むバイオセルを用いた製品の自主回収(リコール)を決定しました。これに伴い日本国内でも7月25日より自主回収が始まっています。
 当院で2005年以降に乳房再建術で使用してきたティッシューエキスパンダーとインプラントのほとんどが、(製造会社の名称変更はありましたが)リコール対象となった製品と同質のものです(ティッシューエキスパンダー:ナトレル133、インプラント:ナトレル410、ナトレル510、インスパイラ)。
 当院では当分の間、これらの製品の挿入を停止することにいたしました。これに伴い、乳房切除と同時のティッシューエキスパンダー挿入術もできなくなります。現在ティッシューエキスパンダーを留置しているかたは、この後、インプラント挿入ではなく自家組織での再建を考慮するか、より安全性の高い乳房インプラント製品の日本への導入(未定)をお待ちいただくことになります。
 すでに乳房インプラントが挿入されている場合、米国FDAや、それ以前に流通停止を決定していたEU、カナダでは、症状のないかたに対する予防的なインプラント摘出手術は推奨していません。腫れやしこりがないかを自分でチェックするように推奨しています。このリンパ腫の発生リスクは0.03%と低く、摘出手術を行った場合の出血リスクの方が高いと考えられるためです。当院も同様の見解です。
 当院では、インプラントが保険適用となって以来、インプラントの破損(10年で10%とされています)や合併症の発見のために、定期的な外来通院と、最低2年に1度のエコー検査を実施してきています。皆さんには今後も同様に通院を続けていただきますようお願い申し上げます。

 また、日本オンコプラスティックサージャリー学会(乳房再建のことを中心とした学会)、日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本美容外科学会の4学会から対応に関する声明が出されました。次のリンクも御参照くださいませ。

乳房再建用ティッシュエキスパンダーの手術を受け、ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を待機されている方へ(PDF)

ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を希望されている方へ(PDF)
 
ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を受けた方へ(PDF)
 
ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問(PDF)
 

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