がんと上手に付き合うためのヒント
患者さん、ご家族が体験することが多い、不安や困りごとを取り上げながら、がんや治療と付き合う上でのヒントとなりそうな情報を紹介します。
- 病院での説明がむずかしくてよくわからない
- 治療がつらそうで乗り切れるか心配
- からだや気持ちのつらさがある
- 子どもや親にどう伝えればいい?
- 利用できる制度を知りたい
- 医療費が心配
- みんな仕事はどうしてる?
- 一人暮らしで頼れる人がいない
- 家族としてどのように本人を支えればよい?
- 緩和ケアってなに?
がんになってもあなたらしく過ごすためのハンドブック
身体のつらさケア、心のつらさケア、口腔ケア、スキンケア、睡眠ケア、日常生活、姿勢の工夫などで、心身のストレスを和らげましょう!
病院1F「がん情報コーナー」で配布中です。
監修:がん研究会有明病院 看護部
企画・編集:樺山書店
制作協力:潟^イカ
病院での説明がむずかしくてよくわからない
病院では、聞きなれない言葉を交えて、限られた時間内で説明を受けることがあると思います。
- 医師などからの説明がむずかしくてよくわからない
- よくわからなかったけれど、そのままにしてしまった
- もう少し詳しく知りたかったけれど、いつも質問しそびれてしまう
- 緊張して、何をどのように話せばよいのかわからなくなってしまう など
医療者とのコミュニケーションに戸惑ったり、悩んだりする方は、少なくありません。
ここでは、以下について解説します。
●病気・治療に関する大切な説明を聞くときのヒント
自分の病気や治療について理解することは重要です。
しかし、みなさんにとって、病気や治療は初めてのことの連続ですから、医師などから病気や治療に関する大切な説明を聞く場面で、冷静に対応することは簡単ではないこともあると思います。そのため、大切な説明の場にのぞむ前に、少し準備をしておくことをご提案しています。
病気・治療に関する大切な説明を聞くときには、
- 家族や信頼できる誰かに同席してもらう(一人より二人で)。
- 事前に、知りたいこと・質問したいことを書き出し、(同席者と一緒に)優先順位をつけて整理する。
- メモを取りながら説明を聞く。
- 説明を一通り聞いた後には、優先順位の高い質問から選んで質問する。
- 説明を受けた後なるべく早い時期に、(同席者と一緒に)振り返り、情報を整理する。
- あなたからも、病気や治療と付き合う上で大切にしたいことなどを医療者に伝えておく。
医療者に確認しておきたいこと
項目 | 医療者への質問の例 |
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がんの状態 |
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がんの治療 |
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がん治療による 生活への影響 |
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困ったときの 対処法 |
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もしもの備え |
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医療者に伝えておきたいこと
項目 | 医療者への伝え方の例 |
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セカンドオピニオン の希望 |
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大切にしたいこと |
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不安・気がかり |
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●病気・治療・療養生活に関する情報を集めるときのヒント
病気や治療、療養生活について、基本的な情報を得ておくと、医療者の話を理解しやすくなり、医療者に確認したいことが見えてくることがあります。一方で、現代社会では情報が氾濫しているため、注意も必要です
病気や治療・療養生活に関する情報を集めるときには
- 信頼できる情報源が発信している情報を利用する:がん情報サービス、がん研有明病院ホームページ、厚生労働省、学術団体など。
- あなたの病気や治療について最もよく知っているのは、担当の医師、看護師などです。ぜひ質問してください。
- がん相談支援センターでは、病気・治療・療養生活に関する一般的な情報を提供しています。
- 同じ病名でも病気の状態や治療経過は一人ひとり違うため、気持ちの揺れが大きい時には、個人による体験談などのインターネット・SNS情報と一時的に距離をおくことをお勧めしています。
●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センター *専門看護師・認定看護師が、病気や治療に関する情報提供、大切な説明前の質問の整理、説明時の同席、説明後の情報整理のお手伝いをしています。
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
病院1階がん情報コーナーに、資料を準備しています。ご自由にお持ちください。
治療がつらそうで乗り切れるか心配
がんの主な治療法には、手術、がん薬物療法(抗がん薬、分子標的薬、ホルモン薬、免疫チェックポイント阻害薬など)、放射線療法、緩和ケアがあります。
医師から治療法に関して、目的、方法、スケジュール、合併症・副作用・後遺症などの内容を聞いた後、あるいは治療中に、「頑張りたい」けれど、治療を「乗り切れるか心配」と感じることがあるかもしれません。
●治療を始める前に「治療を乗り切れるか心配」と感じたときには
治療を始める前に、「治療がつらそうで乗り切れるか心配」と感じたときには
- 初めての体験の連続の中では、不安があるのが自然で、不安をゼロにすることはむずかしいかもしれません。
- 治療を乗り切れるように、医療チーム(医師、看護師、薬剤師、栄養士など)がサポートします。
- 治療に関して1回の説明だけではイメージしにくく、実際以上に「つらそう」と感じてしまうことがあるかもしれません。治療に関する説明書・パンフレットをもう1度読み返して、どのあたりがモヤモヤしているか考えてみましょう。
- 補足説明、工夫できること、あなたにとってどうすることがよいかを一緒に考えますので、医師、看護師、がん相談支援センターなどに、率直な気持ちを教えてください。
- 不安が大きくなり、睡眠や食事などに影響が出ている場合には、医師、看護師などに伝えてください。
- できるだけ普段通りの生活リズムを心がけましょう。
●もしも「治療を続けていけるか心配」と感じたときには
治療中に、もしも「治療を続けていけるか心配」と感じたときには、
- 「治療を続けていけるか心配」という気持ちに、どんなことが影響しているかを考えてみてください。
- 副作用が影響している場合には、その副作用が一時的な症状なのか、持続的な症状なのかを確認しましょう。
- 副作用が強く出ている場合には、薬の調整やスケジュールの調整などが可能な場合があります。
- 副作用などへの対処法、あなたにとってどうすることがよいか、一緒に考えますので、医師、看護師、薬剤師、がん相談支援センターなどに話してください
- いつから、どこが、どんなときに、どの程度でつらいのか、それによってどのような日常生活の支障が起きているかをわかりやすくするために、体調日誌をつけておくと役立ちます。
- 体力・筋力低下によってつらさが大きくなることがあるため、筋力・体力低下予防にも取り組みましょう。
- 長期間にわたる治療の場合には特に、気分転換、適度な活動、外見を整えるなど、リラックスやリフレッシュも大切です。
●がん研有明病院サポートグループ「化学療法と上手に付き合うために」
同じような体験をしている患者さん・ご家族との情報交換を通して、化学療法と上手に付き合うためのヒントを得ることを目的として、サポートグループを開催しています。
がん相談支援センターの専門看護師・認定看護師や医療ソーシャルワーカーなども参加して、ミニ講座と情報交換を行っています。
内容 | |
ミニ講座 |
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情報交換 |
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●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
- がん研究会有明病院「がんに関する情報>患者さん・ご家族向け動画集>治療を受ける患者さんのためのリハビリテーション」 *ベッドの上や自宅でできる軽い運動をご紹介しています
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- 医師
- 看護師
- がん相談支援センター
- 薬剤師
- 栄養士
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
病院1階がん情報コーナーに、参考資料を準備しています。ご利用ください。
からだや気持ちのつらさがある
病気や治療は、患者さん・ご家族にストレスをもたらします。ストレスは、からだ、こころ、行動の面で影響を及ぼすことがあります。そのため、からだや気持ちのつらさを体験することがあるかもしれません。からだと気持ち(こころ)は、お互いに影響を及ぼし合います。
ここでは、以下について解説します。
●からだのつらさへの対処のヒント
からだのつらさは、検査だけでは把握しにくかったり、他者には気づかれないこともあります。
からだのつらさを1番よくわかる患者さん自身が、その状態について医療者に伝えることが重要です。
そして、医療者は、からだのつらさの原因を検討し、その原因に合った医療を行い、患者さんに対処法に関するアドバイスをします。
からだのつらさを感じたときには
- 治療に関する説明書・パンフレットを読み返し、治療の合併症・副作用・後遺症に当てはまりそうかを確認する。すぐに病院へ報告・相談するように指示されている症状が出ている場合には、病院へ連絡する。
- いつから、からだのどの部分が、どんなときに、どの程度でつらいのか、それによってどのような日常生活の支障があるのかを医療者に伝える。体調日誌をつけておくと役立ちます。
- むりに我慢せず、指示された薬を使う。
- どんな時にからだのつらさが強くなるか/やわらぐかを考えて、強くなるきっかけをなるべく避け、やわらぐことを意識的に生活に取り入れる。
●気持ちのつらさへの対処のヒント
からだのつらさが大きいときには、気持ちのつらさも大きくなりやすいです。また、気持ちのつらさが大きいときには、からだのつらさを敏感に感じ取ることがあります。
気持ちのつらさを感じたときには
- 気持ちのつらさによって、どの程度の日常生活に支障があるか考えてみる。
- 自分の気持ちを信頼できる人(家族、友人、医師、看護師など)に話してみる。
- 日常生活のリズムを意識的に保つ。
- からだのつらさがある場合には、優先的に対処する。
- からだの緊張をやわらげる活動をしてみる:ストレッチ、散歩、シャワー、入浴など。
- こころのケアの専門家のサポートを利用してみる。
● “こころ” のセルフケアハンドブック
病気や治療と付き合うプロセスでは、気持ちが揺れ動くことがあるのは、自然な “こころ” の反応です。
“からだ” だけでなく、“こころ” のケアも大切です。
この冊子は、優しさや思いやりをもって自分の “こころ” を気づかう、“こころ” のセルフケアのためのヒント集です。ストレスへの対処法の工夫などを紹介しています。
病院1階がん情報コーナーに準備しています。ご自由にお持ちください。
内容 |
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●がん研有明病院サポートグループ「病気や治療と向き合う上での気持ちの持ち方」
同じような体験をしている患者さん・ご家族との情報交換を通して、病気や治療と向き合う上での気持ちの持ち方に関するヒントを得ることを目的として、サポートグループを開催しています。
がん相談支援センターの専門看護師・認定看護師、医療ソーシャルワーカーなども参加して、ミニ講座と情報交換を行っています。
内容 | |
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ミニ講座 |
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情報交換 |
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●がん研有明病院サポートグループ「一緒にエクササイズ!〜からだとこころを整えよう〜」
同じような体験をしている患者さん・ご家族と一緒に、軽い運動や情報交換することを通して、からだとこころを整えるためのヒントを得ることを目的として、サポートグループを開催しています。
からだの緊張がやわらぐと、こころの緊張もやわらぐことがあります。
●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
- 国立がん研究センターがん情報サービス「症状を知る/生活の工夫>さまざまな症状への対応」
- 国立がん研究センターがん情報サービス「症状を知る/生活の工夫>心のケア」
- がん研究会有明病院「がんに関する情報>患者さん・ご家族向け動画集>痛みとうまく付き合いあなたらしく過ごすために」
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 栄養士
- がん相談支援センター
- 腫瘍精神科
病院1階がん情報コーナーに、参考資料を準備しています。ご利用ください。
子どもや親にどう伝えればいい?
病気や治療のことなどについて、子どもや親などの大切な人に、伝える/伝えない、伝えるとしたらどう伝えるか、迷ったり悩んだりすることがあるかもしれません。
●大切な人に病気や治療について伝える? 伝えない?
大切な人に対してだからこそ、対応に迷ったり悩んだりするのだと思います。病気や治療、家庭の状況などは、一人ひとり違います。あなたとあなたの大切な家族に合った対応を見つけていきましょう。
- まずは、患者さんが自分の病気や治療のことを理解する。
- 伝える側の気持ちが、ある程度落ち着いてから。
- 伝える場合にも、今わかっていることすべてを1度に伝える必要はない。
- 伝える/伝えない、それぞれのメリット(強み)・デメリット(弱み)を整理する。
- あなたの子どもや親の場合には、あなたの病気や治療のことを知っておきたいかを推定してみる。
- 患者さん自身はどうしたい? まずはその気持ちを優先する。
●子どもに病気や治療について伝えるとき
子どもは、知らされていなくても、「普段と何か違う?」と感じ取っていることがあり、知らされていないことで、実際以上に悪い想像をしてしまうこともあるかもしれません。
子どもに病気や治療について伝えるときには
- 子どものことをよく知る人と一緒に、いつ、どこで、何(どこまで)を、どう伝えるか、子どもはどのような反応・質問をしそうか、事前にシミュレーションしておく。
- なるべく家族みんなが一緒の場で。
- 誰のせいでもないことを伝える。
- 病院の医師などと一緒に、病気をよくしようとしていることを伝える。
- 知りたいことがあったら、聞いてほしいことを伝える。
- 伝えた後の、子どものサポーターをみつけておく:学校の教員、保健室、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーなど。
●親に病気や治療について伝えるとき
がんと診断されることはだれにとっても大きな衝撃です。親にとって、あなたは何歳になっても大切な子どもですから、あなたの病気を知ったとき、衝撃を受けるのは自然な反応です。わたしたちは、困難な体験を乗り切るチカラをもっているので、少しずつ気持ちは落ち着いていくことが予想されます。
親に病気や治療について伝えるときには
- 「ある程度見通しが立ってから」/「その都度」のどちらの伝え方が、あなたの親とあなたに合っているかを考える。
- 親のことをよく知る人と一緒に、いつ、どこで、何(どこまで)を、どう伝えるか、親はどのような反応・質問をしそうか、事前にシミュレーションしておく。
- なるべく直接会って伝える。
- 病院の医師などと一緒に、治療に取り組んでいることを強調して伝える。
- 伝えた後の、親のサポーターをみつけておく。
●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- 医師
- 看護師
- がん相談支援センター
- チャイルドライフスペシャリスト
病院1階がん情報コーナーに、資料を準備しています。ご自由にお持ちください。
利用できる制度を知りたい
病気や治療と付き合うようになって、「何か利用できる制度があるのかなぁ」と思うことがあるかもしれません。各種制度には利用条件があり、申請手続きが必要になります。まずは、自分が該当しそうな制度があるかを知っておくことは大切です。
ここでは、主な制度について解説します。
●高額療養費制度
みなさんが加入している健康保険では、1ヶ月間に支払う医療費の自己負担限度額が設定されています。
高額療養費制度は、支払う医療費が自己負担限度額を超えたときに、超えた額を支給する制度です。
●傷病手当金
会社員や公務員の方が、病気やケガのために仕事を休んで収入が減少した場合に、申請して給付を受けるための制度です。
国民健康保険加入者は、対象外となります。ただし、保険者が市区町村以外で「国民健康保険組合」の場合には、給付の内容は異なりますが「傷病手当金」の制度がある場合もあります。加入している国民健康保険組合にご確認ください。
●介護保険
病気や高齢によって介護が必要な状態と判断された場合に、医療・福祉サービスを受けることができる制度です。
●身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、法の別表に掲げる障害程度に該当すると認定された方に対して交付されるものです。各種の福祉サービスを受けるために必要になります。身体障害者障害程度等級表により1級から7級までの区分が設けられています。
●障害年金
障害年金は、国民年金(主に自営業者などが加入)と厚生年金(会社員・公務員などが加入)の加入中の病気やケガで障害が残った場合に、国民年金から「障害基礎年金」、厚生年金から「障害厚生年金」が支給される年金制度です。
●心身障害者医療費助成
重度の障害がある者に対して、医療機関を受診した場合にかかった医療費の一部を助成する制度です。
自治体により対象者や費用負担が異なります。
●ひとり親家庭等医療費助成
ひとり親家庭の方(親・子)が医療機関を受診した場合に、支払った医療費またはその一部を助成する制度です。
自治体によって、所得制限や自己負担の有無は異なります。
●小児慢性特定疾病医療費助成
小児慢性特定疾病の診断を受け、長期的な治療が必要な児童に対して、患者さんやその家庭の負担軽減を図るため、その医療費の自己負担分の一部を助成する制度です。
●医療費控除
医療費控除とは、1年間(1月〜12月)で支払った医療費の合計が一定の金額(10万円 または 所得の5%)を超えたときに、その医療費を基に計算した金額分の「所得控除」を受けることができ、所得税が軽減される制度です。支払った医療費が戻ってくるわけではありませんのでご注意ください。
●生活保護
生活保護制度は、生活に困窮している方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障すること共に、自立を助長することを目的としています。
●ウイッグ・胸部補正具等の助成制度
ウィッグ(かつら)や補整具の購入費の一部を助成し、がん治療に伴う外見の変化による不安や悩みを軽減し、自分らしい生活を送ることができるようにすることを目的としています。自治体による制度です。お住まいの市区町村の役所でご確認ください。
●小児・AYA世代のがん患者等の生殖機能温存治療費の助成制度
将来子どもを産み育てることを望む小児・AYA世代のがん患者さんなどが、希望をもってがん治療等に取り組めるように、がん治療の前に卵子や精子、受精卵、卵巣組織の凍結保存を行う治療等の費用の一部を助成する制度です。
詳しくは、厚生労働省ホームページでご確認ください。
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センターの医療ソーシャルワーカーにお気軽にご相談ください。
病院1階がん情報コーナーに、傷病手当金や障害年金などに関する資料を準備しています。ご自由にお持ちください。
医療費が心配
病気がわかった後に、病気や治療そのもののことだけでなく、お金のことが心配になることもあると思います。
「医療費が心配」と思ったときには
- 医療費負担軽減のために利用できる制度について、知っておきましょう:高額療養費制度、ひとり親家庭等制度、小児慢性特定疾病医療費制度、心身障害者医療費制度など。
- 仕事を休むことによって収入が減少するときに利用できる制度について、知っておきましょう:傷病手当金など。
- 治療に伴う医療費の目安を知っておくと安心につながることがあります。治療期間によっても医療費は違ってきます。高額療養費制度を使った場合の自己負担額を確認しておきましょう。
- 健康保険組合によっては、高額療養費に加えて、さらに医療費負担が軽減する「付加給付制度」がある場合があります。加入している健康保険組合に確認してみましょう。なお、国民健康保険や全国健康保険協会(協会けんぽ)には付加給付制度はありません。
- 工夫できることなどを一緒に考えますので、がん相談支援センターの医療ソーシャルワーカーに早めに相談してください。
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センター
- 1階受付・医事カウンター
病院1階がん情報コーナーに、高額療養費などに関する資料を準備しています。ご自由にお持ちください。
みんな仕事はどうしてる?
病気がわかった後、治療中、そして治療が一段落した後に、仕事に関して迷ったり、悩んだりする方は少なくありません。
- 病気や治療のことを職場にどのように話せばよいかわからない
- 働きたいけど、治療をしながら働けるのか不安
- 治療のために休職したいけれど、収入が減ってしまうと、治療費や生活費が不安
- 復職したいけれど、今の職場で以前のように働けるか不安
- 治療が終わって体調もよくなってきたので、新たな仕事を探したい など
ここでは、以下について解説します。
病気や治療と付き合いながら働くことを考えるためのヒント
●働くことの位置づけについて考える
経済的に必要、社会や人との接点、自分の能力を活かすもの、生活のメリハリがつく、病気のことを考えなくてすむ… など、働くことの位置づけは、一人ひとり違います。今は仕事より、治療や家庭、自分自身のことを優先したいなど、病気をきっかけに働くことの優先順位や意味が変化することもあります。
ちょっと立ち止まって、今のあなたにとっての働くことの位置づけをもう一度考えてみてください。
●病気や治療のこと、自分のからだとこころの状態を理解する
まずは、どのような治療になるのか、からだや生活、仕事にはどのような影響がありそうかを考えてみるとよいと思います。
- 病気はどのような状態か:がんの種類、病状、現在の体調など
- どのような治療か:治療内容 、スケジュール(通院頻度)、予測される副作用・合併症など
- 治療中・治療後の生活にはどのような影響がありそうか
- 仕事にはどのような影響がありそうか:就労形態、業務内容、通勤など
- こころの状態はどうか:どんなことに不安を感じているのか、気持ちの落ち込みが続いていないか
病気や治療、自分のからだとこころの状況を整理して理解することは、簡単ではないかもしれません。家族など信頼できる誰かの力を借りたり、医師や看護師、がん相談支援センターにもご相談ください。
●職場の制度やサポーターを知る
職場の「就業規則」を確認し、どのような働き方に関する制度があるか/どのくらいの期間利用できるのか、経済面での補助はあるか、どのような相談窓口があるかなど、情報を集めてみましょう。
職場の人事労務部門の担当者が詳しい情報をもっていることが多いです。
確認しておきたいこと |
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職場内の相談窓口 | □産業医 □産業保健師/看護師 □総括安全衛生管理者 □衛生管理者 □安全衛生推進者 □人事・労務担当者 □所属長 □直属上司 □その他 |
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職場内の働き方 に関する制度 |
□時間単位の年次有給休暇 □積立有給休暇 □傷病休暇・病気休暇 □時差出勤制度 □短時間勤務制度 □在宅勤務(テレワーク)制度 □試し出勤制度 □その他 |
経済面 | 健康保険組合独自の補助制度の有無 傷病休暇・病気休暇中の賃金の有無 *無給で仕事を休む場合、条件が当てはまれば、「傷病手当金」を申請可能です。 |
●場面ごとのポイント
ここでは、3つの場面でのポイントについて、簡単にご紹介します。
- 仕事を休むとき(傷病手当金 など)
- 復職するとき
- 新しい仕事を探すとき
●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
働き続けたい人が治療と仕事を両立するために 〜がん研有明病院の取り組み〜
●国の政策の動向
がんになっても安心して暮らせる社会の構築を目指して、「がん対策推進基本計画」「働き方改革」など国の政策として、働き続けたい人が治療と仕事を両立するための体制整備が進められています。
- 職場(職場の産業医や保健師、人事担当、上司等)は、あなたを労働者として安全に雇い続けるために、病気や治療のことを知る。
- 病院(医師)は、あなたが治療と仕事を両立することが可能かどうかを判断するために、あなたの業務内容、勤務体系、通勤手段などを知る。
- 患者さんは、自分の病状を理解し、自分ができることや配慮してほしいことを明確に伝える。
●がん研有明病院の取り組み:「勤務情報提供書」に基づく「就労に関する主治医意見書」の発行
がん研有明病院でも、“働き続けたい” という気持ちをもつ患者さんが、治療と仕事を両立できるように、また安心して復職できるように、職場−患者さん−病院(担当医師、がん相談支援センター等)で情報共有しながら、支援したいと考えています。
• “働き続けたい”方が治療と仕事を両立するために (ダウンロードはこちら)
●がん研有明病院サポートグループ 「病気や治療と付き合いながら働くこと」
同じような体験をしている患者・家族との情報交換を通して、「病気や治療と付き合いながら働くこと」に関するヒントを得ることを目的として、サポートグループを開催しています。
がん相談支援センターの医療ソーシャルワーカー、専門看護師・認定看護師などに加えて、社会保険労務士も参加して、ミニ講座と情報交換を行っています。
ミニ講座の主な内容 |
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情報交換のテーマ |
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●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センター
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 栄養士
病院1階がん情報コーナーに、病気や治療と付き合いながら働くことに関する資料を準備しています。ご自由にお持ちください。
一人暮らしで頼れる人がいない
「おひとりさま安心ガイド ー がんや治療と付き合う上でのもしもの備え ー」
がんや治療と付き合いながら自分らしく生活するためには、あなたが大切にしていること、あなたの支えとなるもの、“もしも” の備えなどについて、前もって考えておくこと、周囲の信頼できる人や医療者と話し合っておくことが重要です。
この冊子は、そのためのヒント集です。全部通して読んでみても、 関心がある部分だけを読んでいただいてもかまいません。
病院1階がん情報コーナーなどに準備しています。ご自由にお持ちください。
“もしも” に備えて、誰かと話をしながら、一緒に考えてみたいと思った時には、ぜひがん相談支援センター をご利用ください。
内容 |
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●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センター
- 医師
- 看護師
家族としてどのように本人を支えればよい?
●大切な人を支え、家族自身のことも大切にするために
がんという病気の困難な体験を乗り切っていく人を「がんサバイバー」と呼ぶことがあります。がんサバイバーには、患者さんだけでなく、家族なども含まれます。がんという病気や治療は、家族など周囲にも影響を及ぼすことが知られているからです。
患者さんは「いてくれるだけで心強い」と感じていることもあります。一方で、家族それぞれの立場での悩みや戸惑いもあるのではないでしょうか?
家族としてどのように本人を支えられるか悩んだときには
- 患者さんの気持ち・意向を理解し、尊重するように意識する:患者さんの話を聞く、してほしいこと/してほしくないことを共有する、患者さんの意向か/家族の意向かを考える など。
- 不確かな情報に惑わされないようにしながら、病気や治療について理解する:がん情報サービス・がん研有明病院「がんに関する情報」の活用、大切な説明時の診察同席、相談窓口の利用 など。
- 大切な人だけではなく、家族自身のことも大切にする:食事・睡眠・気分転換など暮らしを整える、信頼できる人と話をする、相談窓口の利用 など。
●がん研有明病院サポートグループ「家族の会〜大切な人を支えるために〜」
同じような体験をしている家族同士の情報交換を通して、家族の立場で、病気や治療と付き合いながら生活することに関するヒントを得ることを目的として、サポートグループを開催しています。
がん相談支援センターの専門看護師・認定看護師、医療ソーシャルワーカーも参加して、ミニ講座と情報交換を行っています。
ミニ講座の主な内容 | ●大切な人を支え、そしてあなた自身のことも大切にするために |
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情報交換のテーマ | ・家族としての戸惑い・困りごと、工夫 など |
●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
- 国立がん研究センターがん情報サービス「症状を知る/生活の工夫>ご家族、まわりの方へ」 https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/index.html
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センター *家族のみでも、患者さん・家族一緒でもご利用いただけます。
- 医師
- 看護師
- 腫瘍精神科 家族ケア外来
緩和ケアってなぁに?
●緩和ケアとは
がん患者さんは、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。「緩和ケア」は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。
●緩和ケアは、どこで受けられる?
がん治療に関わる医師すべてが、緩和ケアに関する研修を受ける取り組みが進められています。
また、より専門性の高い緩和ケアチームや緩和ケア外来、緩和ケア病棟もあります。
緩和ケアは、治療中の病院の外来・病棟でも、緩和ケア外来・病棟でも、自宅での訪問診療・訪問看護でも、いつでも、どこでも受けられます。
●お役立ち情報
役立つ情報源の例をご紹介します。
- 国立がん研究センターがん情報サービス「治療と診断>緩和ケア」
- 国立がん研究センターがん情報サービス「相談先・病院を探す」
- がん研有明病院 「診療科・部門紹介>診療科紹介>トータルケア部門>緩和ケアセンター」
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- 医師
- 看護師
- がん相談支援センター *家族のみでも、患者さん・家族一緒でもご利用いただけます。
- 緩和治療科外来 *担当医師からの紹介が必要です。
- 地域連携室 *担当医師からの紹介が必要です。