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がんと上手に付き合うためのヒント

がんと上手に付き合うためのヒント

最終更新日 : 2022年11月7日

患者さん、ご家族が体験することが多い、不安や困りごとを取り上げながら、がんや治療と付き合う上でのヒントとなりそうな情報を紹介します。

がんになってもあなたらしく過ごすためのハンドブック

がんになってもあなたらしく過ごすためのハンドブック 身体のつらさケア、心のつらさケア、口腔ケア、スキンケア、睡眠ケア、日常生活、姿勢の工夫などで、心身のストレスを和らげましょう!

病院1F「がん情報コーナー」で配布中です。

監修:がん研究会有明病院 看護部
企画・編集:樺山書店
制作協力:潟^イカ

一人暮らしで頼れる人がいない

「おひとりさま安心ガイド ー がんや治療と付き合う上でのもしもの備え ー」

おひとりさま安心ガイド
ダウンロードはこちら

がんや治療と付き合いながら自分らしく生活するためには、あなたが大切にしていること、あなたの支えとなるもの、“もしも” の備えなどについて、前もって考えておくこと、周囲の信頼する人や医療者と、話し合っておくことが重要です。

この冊子は、そのためのヒント集です。全部通して読んでみても、 関心がある部分だけを読んでいただいてもかまいません。

“もしも” に備えて、誰かと一緒に考えてみたいと思った時には、ぜひ“がん相談支援センター” をご利用ください。

みんな仕事はどうしてる?

病気がわかった後、治療中、そして治療が一段落した後に、仕事に関して迷ったり、悩んだりする方は少なくありません。

  • 病気や治療のことを職場にどのように話せばよいかわからない・・・
  • 働きたいけど、治療をしながら働けるのか不安・・・
  • 今の職場で、病気になる前のように働けるか不安・・・
  • 治療のために休職したいけれど、収入が減ってしまうと、治療費や生活費が不安・・・
  • 治療が終わって体調もよくなってきたので、新たな仕事を探したい           など

ここでは、以下について解説します。

あなたにとっての働くことの意味は?

あなたにとって、働くことにはどのような意味がありますか?

  • 生活費のため
  • 治療費のため
  • 職場で自分が必要とされているから
  • これまでの仕事の経験を活かしたい 
  • 働くことは生きがいだから
  • 自分の能力を活かしたいから
  • 社会や人とのつながりを持っていたいから
  • 社会貢献したいから        など

働くことの意味は、一人ひとり違います。今は仕事より、治療や家庭、自分自身のことを優先したいなど、病気をきっかけに、働くことの意味や優先順位が変化することもあります。

ちょっと立ち止まって、今のあなたにとっての働くことの意味をもう一度考えてみてください。

大切なことだからこそ、焦らずに、じっくりと考えてみましょう

病気や治療に関連したストレスを抱えるなかで、「治療があるから仕事を続けることはできない」「“今すぐ” 決めなくてはいけない」と焦ってしまい、病気がわかってすぐに仕事を辞めてしまった方も、いらっしゃるようです。

「2013がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査」によると、がんの診断後、勤務者の34%が依願退職または解雇され、自営業等の者の17%が廃業していたことが明らかになりました(「がんの社会学」に関する研究グループ,2016)。また、離職のタイミングの調査においては、治療開始前に離職した者が40.2%となっていました(厚労科研高橋班,2015)。

病気のことで気持ちの動揺や落ち込みが大きい時には、普段の判断力が十分には発揮できないことがあるかもしれません。大切なことだからこそ、「本当に、今、仕事を辞めなければ/休まなければいけないのか?」について、じっくりと考えてみてください。

病気や治療のこと、自分のからだとこころの状態を理解しましょう

まずは、今明らかになっている範囲で、自分の病気や治療のことを理解しましょう。どのような治療になるのか、からだや生活にはどのような影響がありそうか、を考えてみるとよいと思います。また、病気や治療は、からだだけでなく、こころにも影響を及ぼすことがあります。今の自分のこころの状態を見つめてみることも大切です。

病気や治療、自分のからだとこころの状況を整理して理解することは、簡単ではないかもしれません。家族など信頼できる誰かの力を借りたり、主治医や看護師、がん相談支援センターにもご相談ください。

理解しておきたいこと
病気のこと □がんの病状 □治療内容 □今の体調 □その他
今後の治療のこと □治療内容  □治療スケジュール □通院頻度 □予測される副作用・合併症 □その他
こころの状態 どんなことに心配・不安を感じているか □気持ちの落ち込みが続いていないか □その他 
仕事にどのような影響がありそうか、問題になりそうなことは何か、整理してみましょう

病気や治療によって、今の仕事にどのような影響がありそうでしょうか? 問題になりそうなことは何でしょうか?

あなたの仕事の内容や、雇用契約条件や労働条件、通勤手段などによっても、仕事への影響の程度は変わってくるかもしれません。

東京都福祉保健局の「がん患者の就労等に関する実態調査」では、経済的な問題、働き方の問題、相談先の問題、職場の理解・風土に関する問題などがあがっていました。この調査は2013年に実施されましたが、少しずつ状況が改善されていくことが期待されます。

治療と仕事を両立する上で困難であったこと
経済的な問題 治療費が高い、必要な治療費の見通しが立たない
働き方を変えたり休職することで収入が減少する
働き方の問題 体調や治療の状況に応じた柔軟な勤務ができない
体調や症状・障害に応じた仕事内容の調整ができない
治療・経過観察・通院目的の休暇・休業が取りづらい
治療をしながら仕事をすることで人事評価が下がる
相談先の問題 職場内に相談相手がいない
治療と仕事の両立について誰(どこ)に相談すればよいか分からない
職場の理解・風土に関する問題 病気や治療のことを職場に言いづらい雰囲気がある
治療をしながら仕事をすることについて職場の理解がない・乏しい
職場の就業規則や利用できる制度を確認しましょう

まずは、就業規則を確認し、今の職場にはどのような相談窓口があるか、どのような働き方に関する制度があるか(利用できる期間など)、経済面での補助はあるかなど、情報を集めてみましょう。職場の人事労務部門の担当者が詳しい情報をもっていることが多いです。

確認しておきたいこと
職場内の相談窓口 □産業医 □産業保健師/看護師 □総括安全衛生管理者 □衛生管理者 □安全衛生推進者 □人事・労務担当者 □所属長 □直属上司 □その他
職場内の働き方に関する制度 □時間単位の年次有給休暇 □積立有給休暇 □傷病休暇・病気休暇 □時差出勤制度  □短時間勤務制度 □在宅勤務(テレワーク)制度 □試し出勤制度 □その他
経済面
  • 傷病休暇・病気休暇中の賃金の有無
      ⇒無給で仕事を休む場合
    • 条件が当てはまれば、「傷病手当金」を申請することができます。
  • 健康保険組合独自の補助制度の有無
いろいろな場面でのポイント

ここでは、「仕事を休むとき」「職場復帰するとき」「新しい仕事を探すとき」のポイントについて、簡単にご紹介します。

仕事を休むとき
  • 職場の誰に、どのように、病気のことをや休みが必要なことを伝えるのがよさそうかを整理してみましょう
    • 治療の流れ、期間などを把握し、だいたいの復職時期を立てておく。
    • ただし、先々の治療予定が明確にはならないこともあること(例 手術の結果でその後の治療が決まるなど)、治療スケジュールは変更になる可能性もあります。
  • 職場の相談窓口となる人に、休み中の現状報告をどのようにするとよいか相談しておきましょう
  • 仕事を休んでいる期間の生活費や医療費のことも考えておきましょう:有給休暇を利用する、傷病手当金を申請する
  • 仕事を休みながらも体力づくりに取り組みましょう
職場復帰するとき
  • 段階的なリハビリテーションに取り組みましょう
    • 焦らずに段階を踏みながら体力づくりをすることが大切です。
      身体を休める ⇒ 家の中でできることをする ⇒ 家の外へと活動を広げる ⇒ 職場復帰に向けた練習(生活リズムを働いている時に合わせる、図書館など家以外で過ごす時間をつくる、通勤の練習をしてみる)
    • “復帰=ゴール” ではなく、 あなたらしく働き続けることが目標です。
  • 完璧を求めない考え方をしましょう
    • 今できることに目を向けることが大切です。
      すぐにはフルタイムでは働けなかったり、休職前と同じようには働けないことがあるかもしれません。しばらく休暇をとっていると、それも当然のことで、焦るより、今できることから確実に取り組んでいくととうまくいくことが多いようです。
  • からだとこころの調子が、職場復帰できる状態かを確認しましょう
    • 大切なのは、安全かつ確実に職務をこなすことができる体調かどうかです。
    • 治療後の副作用や後遺症に応じて、働き方の工夫は必要そうですか?
    • 職場内に働き方に関する制度がある場合、利用したいと思いますか?
  • 職場の相談窓口となる人に、情報共有や相談の場をつくってもらいましょう
    • 今の状況、できること、職場の人の協力を得たいことを伝えてみることが大切です。
新しい仕事を探すとき
  • 安全かつ確実に職務をこなす体調と能力があるかが問われます
  • 採用面接の段階で、病気について、いつ、どのように伝えるか/伝えなくてもよさそうかを考えてみましょう
    • 治療を終え、定期的な経過観察のみの場合など、職務に支障がない場合には、伝えなくてもよいかもしれません。
    • 症状がある場合や治療のために頻回に通院が必要など、職場に配慮してもらう必要がある場合には、事前に伝えておいたほうがよいでしょう。
  • できることをきちんと伝えましょう
    • 自分がやりたいこと、できることを整理して、できることを活かせる仕事を探せるように、アピールしましょう。
  • 専門の相談窓口を利用してみましょう。
    ⇒ハローワーク
    • 1ヶ所以上、がん患者さんの就労支援専門スタッフ(就労支援ナビゲーター)がいます。相談希望時には事前予約をお勧めします。
    • 就労支援ナビゲーターを配置しているハローワーク
      :東京都;飯田橋各都道府県に、神奈川県;横浜・相模原、埼玉県;大宮・所沢
お役立ち情報

 役立つ情報源の例をご紹介します。

がんになっても安心して暮らせる社会の構築を目指して、「がん対策推進基本計画」「働き方改革」など国の政策として、働き続けたい人が治療と仕事を両立するための体制整備が進められています。

「がん患者・経験者の就労支援の在り方に関する検討会報告書」(厚生労働省,2014)では、がん患者さん自身、病院、企業、ハローワーク、国民全体が、それぞれの立場で、課題に取り組んでいく必要があることが示されています。

  • 職場(職場の産業医や人事担当、直属の上司等)は、あなたを労働者として安全に雇い続けるために、病気や治療のことを知る。
  • 病院(主治医)は、あなたが治療と仕事を両立することが可能かどうかを判断するために、あなたの業務内容、勤務体系、通勤手段などを知る。
  • 患者さん自身は、自分の病状を理解し、自分ができることや配慮してほしいことを明確に伝える。

あなたが治療と仕事を両立するために、患者さん本人、職場、病院(主治医等)それぞれの専門の立場で、必要な情報をわかりやすくまとめた文書を作成し、共有することが推進されています。

がん研有明病院における治療と仕事の両立に向けたサポート

がん研有明病院でも、“働き続けたい” という気持ちをもつ患者さんが、治療と仕事を両立できるように、職場―患者さんー病院で情報共有しながら、支援したいと考えています。

ここでは、そのプロセスをご紹介します。

勤務情報提供書
(ダウンロードはこちら)
  1. あなたが治療と仕事の両立を希望する場合、主治医・看護師、またはがん相談支援センターにご相談ください。治療と仕事を両立するために必要なことを一緒に考えます。
  2. あなた、職場、病院間での情報共有が望ましいと考えられる場合には、がん相談支援センターで、さらに詳しくお話をお伺いし、支援いたします。
  3. あなたがどのような仕事をしているのか、職種や業務内容、就労形態、就業規則などの情報が必要になりますので、「勤務情報提供書」の提出をお願いすることがあります。
  4. 「勤務情報提供書」の内容を、がん相談支援センター相談員(専門看護師・認定看護師、または医療ソーシャルワーカー)とともに確認します。あなたの治療や症状などを考慮して、治療と仕事を両立するために必要なこと、できる工夫を一緒に考えます。その内容は、がん相談支援センター相談員が主治医と共有します。
  5. 勤務情報提供書の内容を考慮し、治療内容と副作用を踏まえて、あなたに対して主治医より療養上必要な指導を行います。同時に、病名と治療内容、症状に加えて、会社で配慮してほしいことを記載した「主治医意見書」をお渡しします。
  6. あなたは、「主治医意見書」をもとに、職場での働き方について相談します。
がん研有明病院サポートグループ 「病気や治療と付き合いながら働くこと」 

がん研有明病院では、同じような体験をしている患者・家族との交流を通して、 「病気や治療と付き合いながら働くこと」に関するヒントを得ることを目的として、サポートグループを開催しています。

サポートグループ「病気や治療と付き合いながら働くこと」には、就業中・休職中・今後就職を考えている、がん研有明病院の患者さん・家族が参加できます。がん相談支援センターの専門看護師・認定看護師、医療ソーシャルワーカーに加えて、社会保険労務士も参加して、ミニ講座とグループでの情報交換を行っています。

ミニ講座のテーマ ・労働関連の法律・制度
・知っておきたい職場の制度
・知っておきたい社会保険制度
・仕事を休むとき
・仕事復帰のとき
・新しい仕事を探すとき
グループでの情報
交換のテーマ
治療しながら働くことへの不安、工夫 など
<参加者の感想>
  • どこにもない企画内容で、もう一歩頑張ってみようと思いなおしました。(患者)
  • 職場や身の回りに体験者が少ないため、このような会で様々な意見が聞けて参考になりました。(患者)
  • 病気に負けずに頑張っている人たちの話が聞けて良かった。(家族)

*現在、新型コロナウイルスの感染予防対策の一環で、活動をお休みしています。

がん研有明病院のなかの主な相談窓口 
<文献>
  • 東京都保険福祉局(2016):がん患者の就労等に関する実態調査
    https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/soudan/ryouritsu/ryoritsushientool/handbook.files/ryouritsu_handbook.pdf
  • 「がんの社会学」に関する研究グループ(2016):2013がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告書−がんと向き合った4,054人の声−
    https://www.scchr.jp/book/houkokusho/2013taikenkoe.html
  • 東京都福祉保健局(2014):がん患者の就労等に関する実態調査報告書
    https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/soudan/ryouritsu/other/houkoku.html
  • 厚生労働省(2014):がん患者・経験者の就労支援の在り方に関する検討会報告書
    https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000054914.html

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医療費が心配

病院・医院の建物イラスト(医療)

病気がわかった後に、病気や治療のことだけでなく、お金のことが心配になることもあると思います。

ここでは、以下について解説します。

みなさんが加入している健康保険では、1ヶ月間に支払う医療費の自己負担限度額が設定されています。

高額療養費制度は、支払う医療費が自己負担限度額を超えたときに、超えた額を支給する制度です。

問い合わせ窓口
  • 健康保険被保険者証に記載されている保険者
「限度額適用認定証」の病院への提出はお済ですか?
  • 健康保険証の発行元(保険者)から「限度額適用認定証」の交付を受け、事前に病院医事課受付に提示いただくことで、病院窓口でのお支払いが自己負担限度額までになります。 
  • 70歳以上で、「現役V」および「一般」に該当する方は、「限度額適応認定証」の提出は必要ありません。
自己負担限度額とは?
  • 1か月とは、1日〜末日です。
  • 自己負担限度額は、年齢や被保険者の所得区分によって異なります。
  • 入院中の食事代、差額室料など、保険診療の対象とならないものは該当しません。
  • 同じ医療機関であっても、外来と入院、医科と歯科は分けて計算します。
  • 「多数回該当」という仕組みによって、自己負担限度額が少なくなります。
      • 自己負担限度額が、過去12カ月に3回以上、高額療養費に該当した場合には、4回目から自己負担限度額が少なくなります。
  • 「世帯合算」という仕組みによって、世帯のなかで自己負担額を合計することができます。
      • 1つの医療機関等での自己負担(院外処方代含む)では上限額を超えない時でも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合計することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。
      • 同じ月で、同じ世帯(同じ公的医療保険)で、69歳以下の方は自己負担が21,000円以上であることが合算の条件となります。
【69歳以下の方】
所得区分 自己負担限度額(月額)
年収約1,160万円〜
標準報酬月額83万円以上
1〜3回目 252,600 円+(総医療費−842,000円)× 1%
4回目以降* 140,100円
年収約770万円〜1,160万円
標準報酬月額53万円〜79万円
1〜3回目 167,400 円+(総医療費−558,000円)× 1%
4回目以降* 93,000円
年収約370万円〜約770万円
標準報酬月額28万円〜50万円
1〜3回目 80,100 円+(総医療費−267,000円)× 1%
4回目以降* 44,400円
〜年収約370万円
標準報酬月額26万円以下
1〜3回目 57,600円
4回目以降* 44,400円
住民税非課税 1〜3回目 35,400円
4回目以降* 24,600円

 * 過去12ヶ月間に高額療養費の支給が3回以上あった場合

【70歳以上の方】
所得区分 <自己負担割合> 自己負担限度額(月額)
  外来(個人) 外来+入院(世帯ごと)



現役V<3割> 年収約1,160万円〜
標準報酬月額83万円以上 
1〜3回目 252,600 円+(総医療費−842,000円)× 1%
4回目以降* 140,100円
現役U<3割> 年収約770万円〜1,160万円
標準報酬月額53万円〜79万円
1〜3回目 167,400 円+(総医療費−558,000円)× 1%
4回目以降* 93,000円
現役T<3割> 年収約370万円〜約770万円
標準報酬月額28万円〜50万円
1〜3回目 80,100 円+(総医療費−267,000円)× 1%
4回目以降* 44,400円

<1〜2割> 年収約156万円〜約370万円
標準報酬月額26万円以下
1〜3回目 18,000円
年間上限144,000円
57,600円
4回目以降* 44,400円


低所得U<1〜2割> 住民税非課税
(T以外) 
  8,000円 24,600円
低所得T<1〜2割> 住民税非課税
(年金収入80万円以下等)
15,000円

* 過去12ヶ月間に高額療養費の支給が3回以上あった場合

院外薬局で支払った薬代は?
  • 院外薬局で支払った薬代は、高額療養費の対象になり、処方せんを発行した医療機関の医療費と合算ができます。
  • 病院窓口に限度額適用認定証を提出していた場合でも、払い戻しの手続きが必要な場合があるため、健康保険証の発行元(保険者)に確認してください。
限度額適用認定証を利用しなかった場合は? 
  • 健康保険証の発行元(保険者)にお問い合わせの上、高額療養費の払い戻し申請の手続きが必要になります。
  • 払い戻し期限は2年間です。

ひとり親家庭の方(親・子)が医療機関を受診した場合に、支払った医療費またはその一部を助成する制度です。
自治体によって、所得制限や自己負担の有無は異なります。

問い合わせ窓口
  • お住いの区市町村役所
対象となる方(東京都の場合)
  • 児童を養育しているひとり親家庭等の母または父
  • 両親がいない児童などを養育している養育者
  • ひとり親家庭等の児童又は養育者に養育されている児童で18歳に達した日に属する年度の末日(障害のある方は20歳未満)までの方
対象とならない方(東京都の場合)
  • 所得制限基準額を超える者
  • 生活保護を受けている者
  • 施設等に措置により入所している者
助成の範囲(東京都の場合)
  • 公的医療保険で診療を受けた自己負担分から一部負担金(下表参照)を差し引いた額が助成されます。
  • 入院食事療養費や差額ベッド代など保険対象外の自費分は助成の対象外です。
一部負担金 自己負担限度額(月額)
住民税課税 通院(外来) 1割 18,000円
年間上限144,000円(計算期間:(8/1〜翌年7/31))
入院 1割 1〜3回目 57,600円
4回目以降* 44.400円
住民税非課税 通院(外来)・入院 負担なし

* 過去12ヶ月間に高額療養費の支給が3回以上あった場合

助成方法(東京都の場合)
  • 東京都内の医療機関で診療を受けた場合:「健康保険証」と「マル障受給者証」を提示して受診すると、公的医療保険が適用された医療費の自己負担分に対して助成が受けられます。
  • 東京都外やこの制度の取り扱いのない医療機関で診療を受けた場合:医療機関の自己負担分を医療機関の窓口に支払い、その領収書をもって、お住いの担当課で助成の申請をすることで後から払い戻されます。

小児慢性特定疾病の診断を受け、長期的な治療が必要な児童に対して、患者さんやその家庭の負担軽減を図るため、その医療費の自己負担分の一部を助成する制度です。

問い合わせ窓口
  • お住いの自治体の保健所
対象となる方
  • 18歳未満の児童(引き続き治療が必要であると認められる場合は20歳未満)
  • 対象疾患に該当する者(詳細は小児慢性特定疾病情報センターホームページ、主治医にご確認ください)
助成の範囲
  • あらかじめ指定を受けた医療機関(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション)で受けた保険診療分の医療費と入院時食事療養費が対象です。
  • 医療費助成の対象となるのは、原則申請をした日からとなります。(東京都の場合は申請を受理した月の1日から)
    申請後認定が下りるまで1〜2カ月ほどの時間がかかります。
自己負担限度額
  • 患者負担は原則2割です。
  • 複数の医療機関を利用している場合は、全てを合算した上で自己負担額が適用されます。
階級区分 <健康保険上の世帯> 自己負担月額限度額(外来+入院)
一般 重症患者* 人工呼吸器など装着者
T 生活保護法の非保護世帯 0
U 市町村民税非課税 低所得T(年収80万円以下) 1.250円 500円
V 低所得U(年収80万円超) 2.500円
W 一般所得T(市町村民税7.1万円未満) 5.000円 2.500円
X 一般所得U(市町村民税7.1万円以上25.1万円未満) 10.000円 5.000円
Y 上位所得(市町村民税25.1万円以上) 15.000円 10.000円
入院時の食費 2分の1自己負担

* @高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)A現行の重症患者基準に適合する者、のいずれかに該当した場合

重度の障害がある者に対して、医療機関を受診した場合にかかった医療費の一部を助成する制度です。
自治体により対象者や費用負担が異なります。

問い合わせ窓口
  • お住いの区市町村役所
対象となる方(東京都の場合)
  • 身体障害者手帳1級・2級(内部障害については3級も含む)の者
  • 愛の手帳(養育手帳)1度・2度の者
  • 精神障害者保健福祉手帳1級の者
対象とならない方(東京都の場合)
  • 所得制限基準額を超える者
  • 生活保護や中国残留邦人など支援給付を受けている者
  • 65歳以上になって初めて@、Aに該当することになった者
  • 65歳に達する日の前日まで心身障害者医療費助成制度の申請を行わなかった者
  • 後期高齢者医療の被保険者で、かつ住民税が課税されている者 など
助成の範囲(東京都の場合)
  • 公的医療保険で診療を受けた自己負担分から一部負担金(下表参照)を差し引いた額が助成されます。
  • 入院食事療養費や差額ベッド代など保険対象外の自費分は助成の対象外です。
一部負担金 自己負担限度額(月額)
住民税課税 通院(外来) 1割 18,000円
年間上限144,000円(計算期間:(8/1〜翌年7/31))
入院 1割 1〜3回目 57,600円
4回目以降* 44.400円
住民税非課税 通院(外来)・入院 負担なし

* 過去12ヶ月間に高額療養費の支給が3回以上あった場合

助成方法(東京都の場合)
  • 東京都内の医療機関で診療を受けた場合:「健康保険証」と「マル親受給者証」を提示して受診すると、公的医療保険が適用された医療費の自己負担分に対して助成が受けられます。
  • 東京都外やこの制度の取り扱いのない医療機関で診療を受けた場合:医療機関の自己負担分を医療機関の窓口に支払い、その領収書をもって、お住いの担当課で助成の申請をすることで後から払い戻されます。

「治療に伴う医療費の目安が知りたい」、「医療費が心配」など、医療費に関することは、以下にお気軽にご相談ください。

病院1F「がん情報コーナー」に、高額療養費などに関する資料を準備しています。ご自由にお持ちください。

利用できる制度を知りたい

病気や治療と付き合うようになって、何か利用できる制度があるのかなぁと思うことがあるかもしれません。各種制度には、利用条件があり、申請手続きが必要になります。まずは、自分が該当しそうかどうかを知っておくことは大切です。

ここでは、以下について解説します。

●傷病手当金

会社員や公務員の方が、病気やケガのために仕事を休んで収入が減少した場合に、申請して給付を受けるための制度です。

国民健康保険加入者は、対象外となります。ただし、保険者が市区町村以外で「国民健康保険組合」の場合には、給付の内容は異なりますが「傷病手当金」の制度がある場合もあります。加入している国民健康保険組合にご確認ください。

問い合わせ窓口
  • 会社の人事労務担当者 または 健康保険証の発行元(保険者)
受給要件
  • すべてを満たしたとき
    1. 病気やケガの療養のために仕事に就くことができない(労務不能と医師が判断した場合)
    2. 連続する3日を含み4日以上仕事に就けない
    3. 給与が支払われていない、または、その支払い額が傷病手当金より少ない

※待機期間:有給休暇・土日祝等の公休日を含む連続3日休んだ期間

受給期間
  • 受給開始日が2020(令和2)年7月1日以前の場合は、「受給開始日から起算して最長1年6ヵ月まで」となります。
  • 受給開始日が2020(令和2)年7月2日以降の場合は、「受給開始日から通算して1年6ヵ月に達する日まで」 となります。
1日あたりの受給額
  • <受給開始日の以前の直近12ヵ月間の各標準報酬月額の平均額>÷30日 × 2/3
申請から受給までの流れ
  1. 会社へ傷病手当金支給申請の希望を伝え、申請書類(所定書式)を入手  
    • 被保険者記入用
    • 療養担当者記入用
    • 事業主記入用
  2. 本人にて「被保険者記入用」を作成
  3. 医療機関へ「療養担当者記入用」書類作成を依頼
  4. 会社へ「事業主記入用」書類作成を依頼
  5. 傷病手当金支給申請
    • それぞれの書類がそろったら、保険者(加入している健康保険)へ支給申請をする。
    • 通常は会社を経由して行うのが一般的だが、本人が直接保険者に郵送する場合もあるため、会社に確認しておくとよい。
  6. 傷病手当金の受給
    • 申請後審査が行われる
    • 全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、初回は約1か月程度、その後は2-3週間程度で振り込まれる。加入している健康保険によって異なるため、確認しておくとよい。
退職後も傷病手当金を受給できる条件
  • 退職日時点で「傷病のため仕事ができない」時、下記の3つの条件を満たした場合に、退職後も傷病手当金の受給が可能です
    1. 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること
    2. 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること
    3. 退職日に休んでいること
社会的治癒について
  • 一度傷病手当金の受給を満了した方で、復職し、一定期間経過した後に再発した場合、医学的には同一の傷病であったとしても、社会的には病気が治った(=治癒した)状態があったとみなし、再発を別の傷病として扱い、改めて傷病手当金を受給できる場合があります。
  • 「社会的治癒」の取り扱いは各健康保険組合で判断することになっています。加入している健康保険組合に確認してみましょう。
参考

●介護保険

病気や高齢によって介護が必要な状態と判断された場合に、医療・福祉サービスを受けることができる制度です。

問い合わせ窓口
  • 市区町村役所(介護保険担当課) または 地域包括支援センター
地域包括支援センター
設置主体 市町村
職員 保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)など
業務内容
  1. 総合相談支援:要介護認定の申請や、認知症や身体機能の低下に対する不安など、ありとあらゆる相談への対応
  2. 介護予防ケアマネジメント(要支援1・2の利用者のケアマネジメント)
  3. 権利擁護:高齢者の人権や財産などを守るための活動
  4. 包括的・継続的ケアマネジメント支援
備考 ・住所によって担当の地域包括支援センターが決まっています
・地域によって、呼び名が異なることがあります
対象者
  • 65歳以上で、原因を問わず、介護や支援が必要と認定されたとき
  • 40〜64歳で、特定の病気(特定疾病)が原因で、介護や支援が必要と認定されたとき

*特定疾病には、“がん” が含まれるが、条件もあり

介護や支援が必要という認定(介護度)の目安
要支援1・2 日常生活上の基本的動作についてはほぼ自分で行うことができるが、要介護予防は必要
要介護1 手段的日常生活動作の能力が低下し、部分的な介助が必要
要介護2 日常生活動作に部分的な解除が必要
要介護3 日常生活動作、手段的日常生活動作が著しく低下し、ほぼ全面的な介助が必要
要介護4 介護なしには日常生活を営むことが困難
要介護5 介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能

*手段的日常生活動作:家事、交通機関の利用、電話対応、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理等
*日常生活動作:起居動作、移乗、移動、食事、更衣、排泄、入浴、整容

主な介護サービス
  • 要介護区分に応じた支給額を上限として利用が可能です。
訪問サービス
  • 訪問介護:身体介護
         家事援助 原則として同居家族がいる場合には、利用できない
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション など
通所サービス
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション
短期入所サービス
  • 短期入所生活介護(ショートスティ)
  • 短期入所療養介護
福祉用具貸与
  • 車いす、電動ベッド・マットレスなど 原則として、要支援1・2と要介護1では利用できない
  • 歩行器、松葉杖、手すり、スロープ (工事不要なもの) など 
福祉用具購入費の支給
  • ポータブルトイレ、シャワーチェア など 
住宅改修費の支給
  • 手すりの設置、段差の解消、扉の取り換え など
介護サービスの利用の手続き
  • 市区町村役所(介護保険担当課) または 地域包括支援センターで相談・申請をして、要介護(要支援)認定を受けることが必要です。
  • 一度手続きをして認定を受けておくと、体調の変化時に、スムーズな対応が可能です。
  • 早めに「地域包括支援センター」に相談しておくと、安心につながることもあります。
参考

●身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、法の別表に掲げる障害程度に該当すると認定された方に対して交付されるものです。各種の福祉サービスを受けるために必要になります。身体障害者障害程度等級表により1級から7級までの区分が設けられています。

7級の障害は、単独では身体障害者手帳の交付の対象にはなりません。ただし、7級の障害が2つ以上ある場合や、7級の障害と6級以上の障害が重複する場合は交付対象となります。

問い合わせ窓口
  • お住いの区市町村の福祉事務所または役所の障害福祉担当窓口
手帳の交付対象となる障害
視覚障害 1級から6級
聴覚障害 2・3・4・6級
平衡機能障害 3・5級
音声・言語、・そしゃく機能障害 3・4級
肢体不自由 上肢・下肢 1級から7級
体幹 1・2・3・5級
内部障害 心臓 1・3・4級
じん臓 1・3・4級
呼吸器 1・3・4級
ぼうこう又は直腸 1・3・4級
小腸 1・3・4級
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害 1級から4級
肝臓 1級から4級
がん患者さんが身体障害者手帳を取得した例
状態 障害の種類 等級
手術にて声帯を失い声が出なくなった 音声・言語機能障害 3級
永久ストマ(人工肛門や人工膀胱)、
腎ろうを造設した
膀胱または直腸機能障害 1つの場合:4級
2つの場合:3級
人工骨頭、人工関節置換 肢体不自由 4級
上肢・下肢を切断した 切断部位により異なる
申請書類
  • 申請書
  • 身体障害者診断書・意見書(障害により異なる)
  • 写真(たて4cm×よこ3cm)1〜2枚 1年以内 上半身・脱帽(宗教上又は医療上の理由により、顔の輪郭が分かる範囲で頭部を布などで覆うことを都道府県知事が認めた場合を除く)
  • 印鑑
申請から手帳交付までの流れ
  1. 市区町村の障害福祉担当窓口にて申請書類の入手
    • 申請書
    • 身体障害者診断書・意見書
  2. 医療機関(身体障害者福祉法指定医師)に書類の作成を依頼
    • 身体障害者診断書・意見書
  3. 本人または家族による準備
    • 申請書の記載
    • 写真の準備
  4. 申請
    • 申請書、身体障害者診断書・意見書、写真が揃ったら、市区町村の障害福祉担当窓口で申請する
  5. 身体障害者手帳の交付
    • 都道府県の判定を受け、身体障害者手帳が交付される(1〜2か月)
身体障害者手帳で利用できる主な福祉制度
  • 心身障害者医療費助成
  • 自立支援医療(更生医療)の給付
  • 手当金
  • 障害者総合支援法の利用:ホームヘルパーの利用、福祉用具・日常生活用具の給付など
  • 各種交通運賃の割引
  • 駐車禁止除外の交付
  • 障害者雇用枠としての就労の支援
  • 住民税・所得税の障害者控除 など
  • 各都道府県や自治体、機能障害や等級の種類により受けられるサービスがことなります。
    詳細は、身体障害者手帳が交付された窓口でご確認ください。
参考

●障害年金

障害年金は、国民年金(主に自営業者などが加入)と厚生年金(会社員・公務員などが加入)の加入中の病気やケガで障害が残った場合に、国民年金から「障害基礎年金」、厚生年金から「障害厚生年金」が支給される年金制度です。

なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残った時には、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。

問い合わせ・申請窓口
  • 障害基礎年金:市区町村役所、区市町村の年金事務所または街角の年金相談センター
  • 障害厚生年金:区市町村の年金事務所または街角の年金相談センター
相談窓口
障害年金を受けるための3つの条件
@初診日に被保険者であること 初診日(※)において、国民年金または厚生年金保険の被保険者であるか、または、国民年金の被保険者であった人で、60歳以上65歳未満の国内居住者であること
【20歳前傷病による障害基礎年金】
初診日において、20歳未満であった人が、20歳に達した日において1級または2級の障害の状態にあるときは、障害基礎年金が支給される。
※初診日:障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師などの診療を受けた日
A保険料の納付要件を満たしていること 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あること
【上記要件を満たせない場合の特例】
初診日が令和8年4月1日前のときは、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納機関がないこと
B一定の障害状態にあること 障害認定日(※)に障害の状態が1級または2級(障害厚生年金については1級〜3級)に該当すること、または障害認定日後に、障害の程度が増進し、65歳になるまでに障害の状態が1級または2級(障害厚生年金については1級〜3級)に該当すること
※障害認定日:障害の原因となった傷病の初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日、または1年6ヵ月以内にその傷病が治った場合(障害が固定した場合)はその日 
※初診日から1年6ヵ月を経過しなくても障害認定日となる例
  • 喉頭全摘出をした日
  • 人工肛門造設、尿路変更術、完全排尿障害状態となった場合はその状態になってから6ヵ月経過した日
  • 新膀胱を造設した日
  • 人工骨頭置換術をした日 
  • 肢体を切断した日    など
障害手当金を受けるための4つの条件
  1. 厚生年金に加入している間に初診日があること
  2. 病気・ケガが初診日から5年以内に治った、または症状が固定していること
  3. 一定の障害の状態にあること
  4. 保険料の納付要件を満たしていること
がん患者さんが障害年金や障害手当金を受給した例 

※身体障害者手帳の等級がそのままあてはまるわけではありません

状態 障害の種類 等級
手術にて声帯を失い声が出なくなった 障害基礎年金/障害厚生年金 2級
永久ストマ(人工肛門・人工膀胱)、腎ろう・新膀胱を造設した 1つの場合:障害厚生年金
2つの場合:障害基礎年金/障害厚生年金
3級
2級
人工骨頭、人工関節置換 障害厚生年金 3級
がんそのものによるかまたは、がんの治療による副作用により日常生活や就労状況に影響がある 障害基礎年金/障害厚生年金 1〜3級
片眼の失明 厚生年金加入者のみ 障害手当金
障害年金・障害一時金に該当する状態とは
障害年金1級 他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態。身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方
障害年金2級 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることが出来ないほどの障害。例えば、家庭内で軽食を作るなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られているような方
障害年金3級 労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることが必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方
障害一時金 障害年金の3級の障害よりやや程度の軽い障害
障害年金の請求時期
障害認定日による請求 ●障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から年金を受け取ることができる。
<例>

<解説>
このケースでは、初診日が2019/4/25のため、障害認定日は1年6カ月をすぎた日である2020/10/25となる。障害認定日の症状が法令に定める障害の状態にあれば、 障害認定日以降に障害年金を請求することで、2020/11分から受け取れる。 ●遡及請求(障害認定日にさかのぼり、障害年金の受給の請求する)で、さかのぼれる期間は最大5年。
事後重症による請求 ●障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後病状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには請求日の翌月から障害年金を受け取ることができる。
<例>


<解説>
このケースでは、初診日は2017/10となる。障害認定日には、症状が軽かったので、障害年金には該当せず。しかし、2020/11に障害に該当したため、障害年金を請求することで事後重症による障害年金を請求日の翌月分(請求日が2020/11の場合、2020/12分からの受け取り)から受け取れる。
*請求日が2020年12月となった場合は、2021/1月分からの受け取りになり、請求日が遅くなると受け取りの開始時期が遅くなる。
申請に必要な書類 (詳細は問い合わせ・申請窓口で確認)
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
  • 医師の診断書(所定様式あり)
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 受取先金融機関の通帳など
  • 印鑑 など
手続きの流れ
  1. 障害年金を受けるための3つの条件に該当するか調べる
  2. 書類の入手
    • 市区町村役所
    • 年金事務所・街角の年金相談センター
  3. 医療機関に書類作成を依頼
    • 受診状況等証明書
    • 診断書
  4. 書類の準備
    • 病歴・就労状況等申立書の作成
    • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれかを入手
  5. 障害年金の申請
    • 申請に必要な書類が揃ったら、窓口で申請する
障害年金と傷病手当金の調整について
  • 同一傷病では、障害年金と傷病手当金の重複受給はできません。
  • 障害年金の支給が優先されますが、傷病手当金の受給額が多い場合は、障害年金との差額を傷病手当金としての受給ができます。
老齢年金を繰り上げ受給した場合について
  • 一般的に、老齢年金を繰り上げすると、65歳に達している者として扱われるため、原則として障害年金の受給権がなくなります。ただし、初診日や繰り上げ請求の時期によっては、障害認定日請求が可能なことがあります。
参考

●医療費控除

1年間(1月〜12月)に所得のあった人が、納税の過不足を清算する手続きとして確定申告があります。医療費控除はその項目の1つです。

医療費控除とは、1年間(1月〜12月)で支払った医療費の合計が一定の金額(10万円 または 所得の5%)を超えたときに、その医療費を基に計算した金額分の「所得控除」を受けることができ、所得税が軽減される制度です。支払った医療費が戻ってくるわけではありませんのでご注意ください。

問い合わせ窓口
  • 区市町村の税務署
手続きに必要な書類
  • 確定申告書
  • 給与所得源泉徴収票
  • 健康保険から届く「医療費通知(医療費のお知らせ)」
  • 「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費は「医療費の明細書」を作成
  • 還付金を受け取る金融機関の口座番号がわかるもの
  • マイナンバーが分かる書類
    ※領収証の提出は必要ありませんが、5年間保管が必要です。
手続きの流れ
  1. 申告する年の領収証をまとめる
    • 人ごと
    • 病院ごと
    • 日付ごと
  2. 書類の入手と作成
    • 税務署やe-Taxで申告書類を入手し、書類を作成する
  3. 税務署へ提出する
    • 直接持ち込み
    • 郵送
    • 電子申告
対象になる費用・ならない費用
対象になる費用 対象にならない費用
  • 病院や歯科医院での治療費
  • 治療のために購入した薬の代金(市販薬でもOK)
  • 病院などへの交通費(電車やバスなど)
    • タクシー代は、タクシーを利用した時の体調により可能な場合がある。医師の診断書を求められることがある
  • 介護保険制度にもとづいて受けた一定の介護サービスの自己負担額
  • 領収書に医療費控除の対象となる医療費として記載されている額
  • 治療に必要なコルセット、サポーターの費用、義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用
  • けがや病気で6ヵ月以上寝たきりとなり医師の治療を受けている場合のおむつ代(医師発行の「おむつ使用証明書」が必要)
  • ストマ装具の購入費用(医師発行の「ストマ用装具使用証明書」が必要)
  • 骨髄移植や臓器移植のあっせんのための患者負担金
  • 骨髄移植推進財団、日本臓器移植ネットワークに支払う患者負担金
など
  • 人間ドック・健康診断など

ただし、検査の結果重大な病気が発見されて治療した場合は対象となる

  • 予防接種費用
  • 通院に自家用車を利用した場合のガソリン代、駐車料金
  • 入院時に使用するパジャマや洗面用具などの購入費
  • 入院時にテレビや冷蔵庫使用のためのテレビカード
  • ウィッグの購入費用
  • 診断書作成料
  • 本人都合による差額ベッド代
など
参考

●生活保護

生活保護制度は、生活に困窮している方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障すること共に、自立を助長することを目的としています。

世帯員全員が、その利用できる資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提です。

年金を受給している、働いているといった場合でも、その金額が最低生活費を下回っている場合、足りない部分の扶助を受けることになります。

問い合わせ・申請窓口
  • お住いの区市町村の福祉事務所
申請に必要な書類 (詳細は福祉事務所で確認)
  • 記帳済みの通帳
  • 賃貸借契約書
  • 年金手帳
  • 印鑑
  • 健康保険証
  • 給与明細 など
申請から決定の流れ
  1. 申請
    • お住いの区市町村の福祉事務所で申請
  2. 調査
    • 生活状況等を把握するための家庭訪問
    • 預貯金、保険、不動産などの資産調査
    • 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
    • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
    • 就労の可能性の調査
  3. 生活保護の決定
    • 基本的に14日以内(最長30日以内に決定される)
    • 申請日に遡って生活保護費が支給となる
保護の種類と内容
生活扶助 日常生活に必要な費用 (食費・被服費・光熱費など) 基準額
  1. 食事などの個人的費用
  2. 光熱水費などの世帯共通費用を合算して算出
住宅扶助 アパートなどの家賃 定められた範囲内で実費を支給
医療扶助 医療サービスの費用 費用は直接医療機関へ支払う
(本人負担なし)
介助扶助 介護サービスの費用 費用は直接介護事業者へ支払う
(本人負担なし)
教育扶助 義務教育を受けるために必要な学用品 定められた基準額を支給
出産扶助 出産費用 定められた範囲内で実費を支給
生業扶助 就労に必要な技能の習得などにかかる費用 定められた範囲内で実費を支給
葬祭扶助 葬祭費用 定められた範囲内で実費を支給
参考

●病院のなかの社会保障制度に関する相談口

「利用できる制度が知りたい」、「〇〇の制度がよくわからない」など、社会保障制度に関することは、以下にお気軽にご相談ください。

病院1F「がん情報コーナー」に、傷病手当金や介護保険、身体障碍者手帳、障害年金、医療被控除など関する資料を準備しています。ご自由にお持ちください。

 

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