【がん研セミナー2月24日のお知らせ】「腸管上皮幹細胞培養の確立-マウスからヒトへ」佐藤 俊朗 博士 (慶応義塾大学 医学部 消化器内科)
2012年01月20日
がん研セミナー(2月24日)のお知らせ
演題:腸管上皮幹細胞培養の確立-マウスからヒトへ
演者:佐藤 俊朗 博士
慶応義塾大学 医学部 消化器内科
日時:2012年 2月24日(金) 16:00〜17:00
場所:吉田講堂
連絡先:八尾良司(内線5454)
抄録:
消化管上皮は体内でも最も早い増殖サイクルを有する組織である.近年,マウスにおいて腸管上皮幹細胞が同定されるとともに,培養技術が確立され,腸管上皮幹細胞の理解は飛躍的に深まってきた.我々はマウス小腸腸管上皮幹細胞をEGF, Noggin, R-spondin1とともにマトリジェル中で三次元培養することで,長期間の培養に成功した.しかしながら,ヒト腸管上皮細胞培養は,マウスの培養条件では培養困難であった.今回,我々はたった一つの小腸および大腸内視鏡生検検体(大腸癌,大腸腺腫,正常粘膜)より,効率的な腸管上皮幹細胞培養を確立した.さらに,陰窩底部に発現するEphB2強陽性細胞のソーティングと培養により,自己複製と多分化能を示すヒト腸管上皮幹細胞を同定した.本培養法は,正常腸管上皮のみならず,大腸癌,大腸腺腫,食道バレット上皮細胞にも応用でき,今後の消化器病研究,再生医療,薬剤感受性試験など,様々な用途に応用可能な有用な技術である.培養技術の応用例とともに発表したい.
Sato et al. Nature 459, 262 (2009) Sato et al. Nature 469, 415 (2011)
*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学生物分野の研究に携わる方を対象としております。