【第7回先端研究セミナー(1月31日)のお知らせ 「クラスリン小胞形成因子SMAP1の欠損は 細胞内小胞輸送の異常をきたし、骨髄異形成症候群を誘引する」昆 俊亮 博士 (東北大学加齢医学研究所免疫遺伝子制御分野)】
2013年01月08日
第7回先端研究セミナー(1月31日)のお知らせ
演題:クラスリン小胞形成因子SMAP1の欠損は 細胞内小胞輸送の異常をきたし、骨髄異形成症候群を誘引する
演者:昆 俊亮 博士
東北大学加齢医学研究所免疫遺伝子制御分野
抄録:クラスリン小胞は細胞内小器官間での輸送を担っており、低分子量GたんぱくのArfがクラスリン小胞形成を調節している。我々は以前に新規のArf6 GAPとしてsmall Arf GAP1 (SMAP1)を同定し、クラスリン依存性のエンドサイトーシスに関わることを報告した。近年、クラスリン輸送系の異常ががんと密接に関わっていることが報告されているため、我々はSMAP1欠損マウスを作成し、その生体内機能を評価した。SMAP1欠損マウスは一見正常に成長するものの、およそ50%の老齢SMAP1欠損マウスは貧血を呈し、赤芽球、骨髄球で異型細胞を認めた。この病態は、ヒト血液疾患の一つである骨髄異型性症候群(MDS)と酷似していた。さらに、MDSを発症したマウスの一部には、急性骨髄性白血病への移行が認められた。SMAP1欠損血液細胞内での輸送挙動を検討した結果、骨髄赤芽球においてトランスフェリンの取り込みが亢進していることを見出した。また、増殖因子受容体であるc-Kitの取り込み速度には違いが認められなかったが、Multi-Vesicular Bodies (MVB)からリソソームへの輸送が遅延しており、これに伴ってc-Kitシグナルが継続していた。これらの結果より、トランスフェリン受容体やc-Kitに代表されるクラスリン輸送系の異常がMDSならびに急性白血病の素因となりうることをマウスモデルで初めて証明した。
日時:2013年 1月31日(木) 16:00〜17:00
場所:研究所3階 332セミナー室
連絡先:中村 卓郎(内線5391)
*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学生物学分野の研究に携わる方を対象としています。