【がん研セミナー(3月7日)のお知らせ 】「分裂期染色体制御の理解を目指して 〜キナーゼとホスファターゼによるコンデンシン制御と染色体阻害剤のスクリーニング〜」竹本 愛 博士 (前所属:ロックフェラー大学)
2013年02月27日
【がん研セミナー(3月7日)のお知らせ 】
演題:分裂期染色体制御の理解を目指して 〜キナーゼとホスファターゼによるコンデンシン制御と染色体阻害剤のスクリーニング〜
演者:竹本 愛 博士 (前所属:ロックフェラー大学)
日時:2013年 3月7日(木)11:00-12:00
場所:吉田講堂
連絡先:藤田直也 (内線5421)
抄録:
クロマチン構造は、細胞周期においてダイナミックな変化を遂げる。間期クロマチンは、分裂期(M期)になると高度に凝縮し、棒状のM期染色体へと構造変換する。この染色体のコンパクトな構造は、分裂後期に狭い細胞内で染色体を正確に分配するのに不可欠である。分配の失敗による染色体の欠落や過多は細胞死やがん化に繋がる。M期染色体の構造自体がまだ完全に明らかになっていないため、どのようにして構築されるのか明確な答えは出ていない。しかしながら、様々なM期のイベント同様、染色体構造変換は可逆的なリン酸化により制御されると考えられている。実際、染色体構築因子のコンデンシンの染色体結合やDNA高次構造変換活性はM期キナーゼによるリン酸化で促進されることが示されてきた。一方、それ以外のリン酸化や、ホスファターゼによる染色体構造制御は明らかになっていなかった。我々は、M期特異的リン酸化以外に、間期におけるリン酸化でコンデンシンが抑制的に制御されていることを示した。また、PP2Aホスファターゼがコンデンシンを含む染色体因子のリクルーターとして機能しているという新規の役割についても明らかにした。一方、染色体構築過程をより直接的に解析するツールの取得を目指し、ケミカルバイオロジーと分裂酵母の遺伝学を組み合わせたスクリーニングの系を構築した。それを用いて行った染色体阻害剤の探索とターゲットの同定法について紹介する。
*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。