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研究内容

最終更新日 : 2025年6月9日

研究内容目次

ポドプラニン標的抗体の抗腫瘍効果の検討

がん化学療法センターでは、血小板凝集を引き起こすポドプラニン分子を同定し、ポドプラニンを標的とした中和抗体の作製が進められてきた。ポドプラニン分子は骨肉腫や肺扁平上皮がんなどで過剰発現しており、血小板凝集を惹起することを介して血小板内に含まれる様々な増殖因子やサイトカイン放出を誘導し、その結果として腫瘍増殖をも促進することが分かっている。そこでまずはマウスで中和抗体産生ハイブリドーマを樹立し、その中より中和活性の高い抗体を選抜してヒト化することにより臨床開発予定抗体を作製した。ただし、ポドプラニンは正常組織にもある程度は発現しており、安全性の事前確認は欠かせない。そこで、サルなど大型動物で発現しているポドプラニンホモログへの開発予定抗体の反応性を検討したが、ヒト以外の異種の動物種に発現しているポドプラニンに対しては中和活性を示さないことがわかった。そこで、開発予定抗体が認識するドメインをマウスホモログの相同部位にノックインしたヒトーマウスキメラポドプラニンを発現するノックインマウスを作製し、そのノックインマウスを用いて安全性試験を実施した。作製したノックインマウスにマウスで作製した中和抗体を反復投与しても、毒性を示すような所見は全く認められなかった。さらに、ヒト化した開発予定抗体を単回投与しても急性毒性を示すような所見は全く認められなかった。そこで、開発予定抗体がなぜ安全性が高いのかを検証するとともに、作製したノックインマウスでは免疫系が野生型と同様に働いているといった特性を活かして、免疫系に対する影響が検討されている。

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