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呼吸器グループ
メンバー:二宮、杉田、黒瀬
呼吸器グループは、がん研有明病院呼吸器センターをはじめとする各診療科と緊密に連携し、病理診断および関連研究を行っています。がん研有明病院の呼吸器科では、年間約500例に及ぶ原発性肺がん、転移性肺がん、胸部腫瘍の診療実績があり、これらの手術および生検材料の病理診断を当グループが担当しています。豊富な症例の蓄積があり、稀少がんを含む多様な病変に対する診断経験を積み重ねています。
診断においては、癌取扱規約およびWHO分類に準拠しながら、専門性の高い評価を実施しています。特に腺癌の非浸潤所見(肺胞虚脱や複雑なパターンを示す肺胞上皮置換性増殖など)の詳細な検討や、予後不良因子(新たに導入されたhigh-gradeサブタイプ、各種亜型の定義に基づく分類と分化度)の評価を厳密に行い、より精緻な病理診断を提供しています。これにより、腫瘍の生物学的特性を正確に把握し、治療戦略の最適化に貢献しています。
また、術中迅速診断・検体採取も手術症例ほぼ全例で行い、全ゲノムシークエンスやフローサイトメトリーなど新鮮検体を用いた各種検査が適切に実施できる体制を整えています。近年、周術期治療の導入が進む中ますます重要性が増している肺癌マルチ遺伝子検査においても、限られた検体から高い成功率を確保するための運用最適化を進めています。さらに免疫染色、FISH、遺伝子検査については、関連部署と連携し、迅速かつ的確に実施できる環境を整備しています。
研究面では、早期肺腺癌の病理学的予後予測因子、臨床検体を用いた診断・治療に役立つ新規バイオマーカーの探索を推進しています。また、部内での遺伝子解析技術を応用した、原発性肺がんと転移性肺がんの鑑別法の確立を目指しています。これらの取り組みにより、病理診断の精度向上と肺癌診療の発展に貢献することを目指しています。










