がんに関する情報

手術療法

目次

血液のがん(白血病、リンパ腫など)をのぞいて、手術療法はがんの治療法として第一に選択すべき治療法といわれています。しかし常に手術療法がオールマイティであるわけではありません。 がんの治療法の中で手術療法がどのような役割を果たしているか説明します。

Chapter.1:がんの発生と転移

がんの治療が有効であるかないかはがんの進行の程度と密接な関係があります。
がんはもともとは自分の体の細胞が突然変異を起こしてがん化するものです。がんは発生してしばらくの間は発生した場所に留まっていますが、やがてリンパや血液に乗って、離れた場所に植民地を作ります。これをがんの転移と言います。がんの治療が難しいのはがん細胞が転移するためです。がん細胞が塊を作っている時は肉眼でも見ることができますが、がん細胞がばらばらになって細胞レベルで転移していると肉眼では見ることができません。 すなわち転移の有る無しが手術療法の有効性を大いに左右します。

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Chapter.2:手術療法

手術療法はメスでがん組織を切り取ってしまう治療法です。
がんの組織だけを切ろうとするとがん組織を取り残す心配がありますので、普通はがん組織の周りの正常組織を含めて切除します。完全に切除できればがんは完全に治りますから、治療法としては最も直接的な方法です。
たとえば早期の胃がんで転移が無い場合は手術療法でほぼ100%治すことができます。

最近は小さながんは内視鏡的に切除することができるようになりました。内視鏡的切除も一種の手術療法ですが、昔のように全身麻酔をかけて胸やお腹を切らなくても済むようになりました。このようにがんが発生した場所に留まっている限り、がんは手術で完全に治すことができます。

手術は早期がんばかりではなく、進行がんにも行われます。普通のがんの手術ではもともとのがん巣(原発巣)と、転移を想定して周辺のリンパ節を切除します。リンパ節に転移がある場合は目に見える場合も見えない場合も取り残せば再発しますから、転移の恐れの有る範囲よりやや広めにリンパ節を取ります。このように手術療法ではがんが原発部位に留まっているか、転移があっても比較的少数のリンパ節にとどまっている場合に完全に治すことができます。

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Chapter.3:再発 / 手術療法の限界 −集学的治療へ−

しかし現実には手術の後にかなりの程度に再発が見られます。癌研のデータでは100人の胃がん患者を手術するとおよそ70%が完全に治ります。逆に言うと30%近くが再発します。これはがん細胞がざるの目から落ちるように手術後に残ってしまうためです。
細胞レベルのがん細胞は肉眼では見えないので、手術の時に取り残してしまうためです。またがん細胞が血液やリンパに乗って手術の範囲を越えたリンパ節や肝臓、肺、骨、脳などに飛び火して、後からこうしたがん細胞が再発してくることもあります。

このように手術療法は局所療法ですので、取り残したがんをどのように治療するかが問題になってきます。一般には手術後には抗がん剤による治療、すなわち化学療法を併用することが行われています。また放射線療法を併用することもあります。このようにいろいろな種類の治療法を組み合わせて、総合的に治療を進める方法を集学的治療と呼んでいます。

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Chapter.4:治療成績

今、がんはどこまで治るでしょうか?一般に手術の治療成績は100人治療した際に何人の人が5年以上生存するか、すなわち5年生存率で表します。 治療成績の一例として胃がんの場合を取り上げて見ましょう。
胃がんの進行度はIA, IB, 2, 3A, 3B, IVの6段階に分けられます。
最近10年間の癌研の成績ではIAの5年生存率は97.4%です。数人の死亡者はがん以外の原因で死亡した人で、実質的にはがんは完全に治癒したと言っていいでしょう。 同様にIBの5年生存率は93.7%, 2:84.3%, 3A:69.7%, 3B:44.3%, IV:12.1%となっています。

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Chapter.5:がんで死なないために

がんは早期に発見して治療すればかなり治ることがわかりました。早期発見、早期治療が大原則です。
早期治療の場合は手術による打撃を最小限にする機能温存手術も可能です。これによって、手術の後で種々の障害に悩まされなくて済むようになります。

未だがんの発生の原因がわかっていない部分もありますが、がん予防のための食事や喫煙、その他の生活習慣を改善して、がんの予防に努めることも重要です。

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