がんに関する情報

胆道がん

最終更新日 : 2017年3月1日
外来担当医師一覧

がん研有明病院の胆道がん診療の特徴

がん研有明病院の胆道がん診療の特徴

診療

1.チーム医療

肝胆膵外科、肝胆膵内科、腫瘍内科、放射線診断部や病理部などを含めた“チーム肝胆膵”が常に患者さんの最善の治療法を考えます。それぞれの分野に精通したエキスパートが患者さんに最善の治療法と最大の効果をもたらすことができると思います。

2.迅速な診断、治療

胆道がんのなかには非常に進行の速いものがあります。それらのがんの患者さんは診断後できるだけ速やかに治療ができるように速やかな診断、治療を行います。進行の速いがんに対しては2-4週間以内に手術ができるように予定をたてています。

3.研究と臨床の架け橋

診断・治療にあたるとともに、同意のいただけた患者さんに関しては、新しい治療法、手術手技などの臨床研究も積極的に行っています。

内科

1. 正確な診断、確実な胆道ドレナージ

内科では、主として、診断、黄疸に対するステント治療、および手術以外の治療としての薬物療法を担当します。診断においては、がんと診断された方のみならず、がんの可能性が疑われた時点から診療を行い、通常行われる腹部超音波検査やCT検査、MRI/MRCP検査に加え、超音波内視鏡(EUS)検査を積極的に行い、小さながんの発見に努めています。特に胆道がんはその拡がり次第で手術の方法が大きく異なることから、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)検査や同時に行う腔内超音波(IDUS)検査、胆管生検等による正確な進展度診断は非常に重要です。特に胆道がんでは、ドレナージチューブを入れるとがんの進展度がわからなくなることがあります。また不適切な部位にドレナージチューブが入ってしまうと、手術にも影響を及ぼしてしまうことがあります。そのため黄疸を起こしている患者さんであっても、安易なドレナージはその後の運命を大きく変えることにもつながりかねません。可能ならば胆道がんに対する専門的なドレナージに精通した施設において、最初の段階から診療を受けることをお薦めいたします。私たちは、常に外科医と密な連携を取りながら、根治手術を視野に入れた診断戦略を練り、一歩先を読んだERCPを心がけています。

一方で切除不能・術後再発胆道がんに対して薬物療法を行う際にも、確実な胆道ドレナージは不可欠です。適切な胆道ドレナージが行えないと感染を繰り返し、薬物療法をたびたび中断しなくてはいけなくなることもあります。どんなに有効な薬物療法であっても安定して投薬できなければ効果は期待できません。とりわけ胆道がんにおいては、胆道ドレナージの質によって薬物療法の成績も大きく影響すると言われております。切除が困難な胆道がんでは、がんが高度進行している影響でより複雑に胆管が分断していることがあります。また切除後に再発をして胆管がつまった場合には、手術によって胆管や腸管をつなぎ替えた状況にあるため、より高度な技術によって胆管閉塞の対応をする必要があります。従来は手術後の胆管閉塞に対してはおなかから胆管にチューブを留置する方法(経皮経肝的胆道ドレナージ;PTBD)が一般的で、おなかからチューブをぶらさげながら生活をすることもたびたびありました。近年内視鏡技術の進歩により、手術でつなぎ替えた腸管をさかのぼることで胆管と腸管のつなぎ目までアプローチし、胆管ドレナージをすることも可能になってきております。私たちは、QOL(生活の質)を追及しながら、より安定した胆道ドレナージを行うことで、切除不能・術後再発胆道がんに対してもより高い薬物療法の効果を追及するように心がけています。

2.より有効な薬物療法の追求

胆道がんの薬物療法は、徐々に進歩しているとはいえ使用可能な抗がん剤の種類もその成績も十分とは言えず、新たな治療法開発のために、多くの病院が協力して大勢の患者さんの参加のもとに行われる臨床研究が不可欠です。私たちは、常に最良の標準治療を大切にするとともに、多施設共同臨床試験や治験(企業主導臨床試験)にも積極的に参加し、お一人の治療を通じて、より早く、多くの患者さんに新たな治療法を還元することを目標としています。

外科

1.あきらめない外科

内視鏡で診断可能な消化管の癌と異なり、肝がん、胆道がん、膵がんの進展を画像だけで判断することは時に困難なことがあります。また 手術適応も施設により異なるのが現状であり、ある病院で手術ができないといわれても別の病院では手術ができるということもまれではありません。手術の経験や技量のほか、医師の考え方も大きく手術適応に影響するのが肝胆膵外科の領域です。我々は 難治癌であっても外科的な立場から可能性を最後まで追求します。“あきらめない外科”をモットーとし、患者さんとともに、がんに立ち向かって参ります。

2.安全かつ正確な手術

肝がん、胆道がん、膵がんはおなかの中の最も複雑な部位にでき、手術が非常に複雑で切除が困難であり、出血量も多くなりがちです。私たち外科医の習熟した手技にさまざまな医療機器を組み合わせることで、手術中の出血をできるだけ少なくなるよう工夫しています。出血のすくない手術は安全かつ正確な手術につながります。血管をいっしょに切除する拡大手術から腹腔鏡手術という非常に小さい傷でできる手術まで過不足のない手術を選択しています。

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胆道がんの治療の実績

胆管は肝臓で作られる胆汁を十二指腸まで導く管で、肝臓の中を走る肝内胆管と、肝臓の外に出てから十二指腸までの肝外胆管に分けられます。発生学的には、消化管の芽である肝外胆管と肝内に樹脂状に発達した肝内胆管は別のものですが、それがつながった状態ではどこからが肝外胆管なのかは明確にはわかりません。肝外胆管の途中で胆汁の一部をためておき濃縮する袋が胆嚢(たんのう)です。これら肝内外胆管と胆嚢をあわせて「胆道」と呼びます。

胆管がんは胆管の上皮から発生する悪性腫瘍で、その発生した胆管の部位により、肝内胆管がんと肝外胆管がんの2種類に分けられます。普通「胆管がん」と呼ばれるのは、主に肝外胆管に発生したがんをさします。肝内胆管がんは肝臓にできたがん(原発性肝がん)として取り扱われることが多いのです。

外科治療の実績

2010年から2014年までの5年間に行った胆道がん切除手術件数と、これまでに行った胆道がんの手術後の生存率を示します。

内科診療の実績

●胆道がんに対する化学療法

2012年から2016年までの5年間に行った、胆道がんに対する化学療法の推移を示します。

胆道がんに対する全化学療法

胆道がんの化学療法は、膵がんの後を追いかけるように開発が行われてきました。ジェムザール(Gem)療法がみなし標準治療とされた上で、近年、ジェムザール・シスプラチン併用(Gem/CDDP)療法やジェムザール・ティーエスワン併用(Gem/S1)療法などの併用療法の有用性が報告され、最良の標準療法や術後補助療法の是非を検証する多施設共同臨床試験が行われていますが、承認されている薬物もごく限られており、手詰まり感は否めません。新たな治療法を研究・開発していくことが急務です。

●閉塞性黄疸に対する胆道ドレナージ

2012年から2016年までの5年間に行った、全内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)および経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)関連手技の推移を示します。

(リンク:胆膵IVR

総胆管ならびに肝門部領域の胆管に広がる胆管がんはしばしば胆管閉塞を引き起こし、黄疸の原因となります。手術や化学療法を行う上で、黄疸の治療は非常に重要な第一歩であり、その成否によりその後のがん治療が大きく左右されることもあります。特に複数の胆管枝が分断される肝門部領域の胆管閉塞の場合、より専門的な判断や技術が必要とされます。通常は、内視鏡(ERCP)を用いたステント治療を行いますが、閉塞の状況や感染(胆管炎)の有無によって、体外から経皮的にカテーテルを挿入するPTBDを選択する場合もあります。 一方で手術後の再発により胆管が閉塞した場合には、従来よりPTBDを選択するしかありませんでしたが、近年の内視鏡の進歩もあり、内視鏡によっておなかからチューブを出すことなく、ドレナージすることも可能となってきております。

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胆道がんの知識について

胆道がんとは

胆道がん胆道は、山に生まれ平地を流れ海に注ぐ大きな川にたとえることができます。胆汁は肝臓の無数の肝細胞からつくられ、いくつもの小さな流れは徐々に集まって太い流れとなり、肝臓のへそ(肝門部)で一本にまとまって大きな川となり、肝臓の外にでて途中ため池(胆のう)につながりつつ、膵臓の脇を通って河口(十二指腸乳頭部)に至ります。

胆道がんは川岸の細胞ががん化し大きなかたまりとなったものです。川岸の細胞は川の上流でも下流でもほとんどが同じ形態で、胆道がんも胆道のどの部分で出来てもほとんどが腺がんという種類のかたまりです。このかたまりが川の流れを堰き止めると、その上流側は川の水であふれかえることになります。胆汁がかたまり(胆道がん)の上流(肝臓側)であふれると、胆汁は血液中に流れ出し白眼や皮膚が黄色くなります(閉塞性黄疸)。黄疸の出方は、がんの場所が川の上流か、下流か、ため池かで大きく違ってきます。また、がんの場所が上流(肝臓側)か下流(十二指腸側)かで手術の方法も違います。したがって、胆道がんはそのできた場所によって名前をつけます。

胆道がんの種類

胆道がんは、胆管がん(肝外胆管がん)、胆のうがん、乳頭部がんに分けることができます。肝外胆管がんは文字どおり肝臓の外の胆管からできたがんで、肝門部(領域)胆管がんと遠位胆管がんと細分することもあります。肝臓の中にも肝外胆管の上流にあたる細い胆管があります。このような肝臓内の胆管からできたがんは、肝内胆管がんといいます。がん治療のルールブック(規約)では、肝内胆管がんは、最初から肝臓の中にできたがん(原発性肝がん)のひとつとして扱うことになっています。原発性肝がんの多くは肝細胞がんです。胆管細胞由来の肝内胆管がん(胆管細胞がんともいいます)は肝細胞がんとは性格が大きく異なり、同じステージでも治療方法がちがいます。したがって、実際には肝内胆管がんは胆道がんのひとつとして治療することが少なくありません。

胆道がん罹患者数

2011年の資料によると、我が国の胆道がんの年間罹患者(りかんしゃ:新しい患者)は2.3万人で、年間死亡者数は1.8万人と6番目に多いがんです。胆道がんは欧米先進国ではまれながんですが、南アメリカや東アジアでは罹患率が高く、なかでも、日本人は他の東アジアの人やアメリカの日系人と比べても罹患率が高い傾向にあります。人種差や地域差の原因はよくわかっていません。

胆道がん罹患率

年令別にみた胆道がんの罹患率、死亡率は、ともに50歳台から増加します。罹患率の年次推移は、男女とも増加傾向でしたが、1980年代後半から2000年にかけて男性は横ばい、女性は減少傾向です。胆のうがんの死亡率は女性>男性(1.2倍)、胆管がん死亡率は男性>女性(1.7倍)で、性差があります。胆道がんの死亡率は、男女ともに増加傾向にありましたが、1990年代から減少傾向にあります。

胆道がんの危険因子

胆石症、胆管炎、先天性膵胆管合流異常症などの胆道疾患や、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患は、胆道がんのリスクになるといわれています。また、女性であること、肥満、高カロリー摂取、野菜果物の低摂取、出産回数が多いこと、などがリスクの候補と考えられています。近年、印刷会社で使用された有機溶剤が原因となって胆管がんが多発したケースが報告され、社会問題となりましたが、残念ながら、その他の原因は十分わかっているとはいえません。

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症状

胆道閉塞による症状が中心です。皮膚がだんだん黄色くなり(黄疸)、かゆみが出る、尿が濃くなったりします。

胆道の病気で、がん以外に黄疸を来す病気に胆石があります。胆石の黄疸は発作性の痛みや発熱をしばしば伴いますが、胆道がんが黄疸とともに発作性のいたみや発熱を来すことは少ないです。痛くない、熱のない黄疸は、胆道がんを疑う症状です。

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診断

胆道がんが疑われたときに行う検査は、血液検査と腹部超音波検査や CT 検査などの画像診断検査です。血液検査では、黄疸の程度(総ビリルビン値)や肝障害の程度をみます。画像診断では閉塞性黄疸の確認(上流の胆道の拡張)とその原因(がんか、胆石か)が検討されます。胆道のどの部位が閉塞しているかを確認するにはMRI/MRCP検査が有用です。画像診断で胆道がんらしいと判断した場合は、超音波内視鏡検査(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)/胆管内超音波検査(IDUS)により詳細に所見を検討してがんの進行程度を判断します(病期診断)。

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病期診断

病期は、手術できるか、できないかに大別できます。

胆道がんを治す唯一の方法は、手術です。したがって、手術できるかできないかの判断はきわめて大事です。この判断は、セカンドオピニオンを求めるときの大きなポイントになるでしょう。

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治療法

●胆道がんの手術

手術の成功のみが、胆道がんを治す前提であり、病期診断で手術できる時期と診断された場合、手術療法を強くおすすめします。手術の方法は、胆道がんの場所によって変わります。いずれも難易度の高い手術ですので、可能な限り定評のある病院で手術してもらうのがよいでしょう。病期診断で手術できない時期と判断された場合、特に、転移がなく、がんの拡がりのみによって手術できないと判断された場合には、施設によっては手術可能と判断される場合もありますので、経験豊富な病院にセカンドオピニオンを求めるのも一法です。

●胆道がんの化学療法

病期診断で手術できない時期と判断された場合、抗がん剤による全身性化学療法をお勧めします。胆道がんに対する標準化学療法はゲムシタビン(ジェムザール®)・シスプラチン(GC)療法、ゲムシタビン療法、ティーエスワン®(S1)療法などですが、保険承認されている薬剤が少なく、手詰まり感が否めません。今後の開発が期待されています。

●黄疸の治療

閉塞性黄疸は、手術療法や全身化学療法を安全に行う妨げになるので、治療開始前に黄疸を解消する処置(減黄術といいます)をします。一般的には、内視鏡を用い、十二指腸乳頭から、がんの狭窄を越えた場所までステントを埋め込みます。ステントには、細径のプラスチック製のものと、太径の金属のメッシュ状に編まれたものがあり、長期的に管理する必要がある場合には、金属ステントが用いられます。胆管の狭窄が、胆管が細かく分岐している肝門部にかかる場合には、複数本のステントが必要になることもあり、より専門的な施設での管理をお勧めします。

胆管ステントを留置した後は、胆汁や食物などによるステントの閉塞や、ステントを介した十二指腸液の胆管内逆流により、胆管炎(高熱)が生じやすい状態になります。閉塞時にはステントの交換や追加が必要ですが、肝門部の閉塞の場合には、追加処置が困難な場合も少なくありません。また、頻回に胆管炎を繰り返すこともあり、高熱には注意が必要です。

再発の診断と治療

胆道がんは手術後も再発することが少なくありません。したがって、手術後の最初の5年くらいは3ー4ヶ月ごとに腫瘍マーカーを含めた血液検査や CT 検査などの画像診断を行い、再発の有無を確認します。再発の多くは転移ですので、再度手術することはまれです(Chapter.4: 病期診断をご覧ください)。再発した場合は、Chapter.5で示した病期診断で手術できない時期と判断された場合と同じ治療法、すなわち抗がん剤治療が考慮されます。再発を予防する治療を補助療法といいますが、胆道がんに効果のある補助療法は明らかにはされていません。再発に対する治癒や延命を目的とした手術療法や放射線療法はありませんが、症状を和らげる目的の手術療法や放射線療法はありえます。たとえば、骨への転移に対して痛みを和らげる放射線療法があります。

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治癒率

胆道がんは、膵がんと並んで治りにくいがんの筆頭です。一般的に病期診断で手術できる時期と診断された場合の5年生存率は10-30%くらい、手術できない時期と診断された場合の1年生存率は10-40%くらいです。当院での当院での外科治療成績はリンクを参照してください。

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