がんに関する情報

肝細胞がんの手術と成績

系統的肝切除
系統的肝切除

肝臓にできるがんには、肝臓原発の腫瘍(肝細胞がん、肝内胆管がんなど)と、他臓器から転移した転移性肝がんとがあります。原発性肝がんには、肝細胞に由来する肝細胞がんと、胆管上皮に由来する胆管細胞がんとがありますが、その内訳は94% vs 4%で、一般に肝がんといえば、肝細胞がんをさします。日本の肝細胞がんは、慢性B型もしくはC型ウィルス肝炎が原因となったものが90%ほどを占めています。他に、アルコール性肝障害も原因となりますし、最近では、メタボリック症候群と関連の深い非アルコール性脂肪性肝炎から発生する肝細胞がんも注目され始めています。

肝がん診療ガイドラインでは、肝障害度と腫瘍のサイズ、個数に応じて、肝切除、ラジオ波などの局所治療、肝動脈塞栓術、全身化学療法、肝移植、緩和ケアを選択することが提唱されています。個々の患者さんにおいては、腫瘍の場所や悪性度(血管へ浸潤しているかなど)といった所見も踏まえ、治療方針を決定します。最も確実な治療法は外科的切除です。肝細胞がんは腫瘍近くの門脈の血の流れに沿って広がるため、当科でも系統的肝切除と呼ばれる腫瘍にいちばん近い門脈の流れる領域の肝臓を切除する術式を標準としています。また、腫瘍が小さく肝臓の表面にあり系統的切除が必要ないと判断された場合や、腫瘍が肝臓の左の端のほう(肝左外側領域)に存在する時には、腹腔鏡(補助)下肝切除も適応となる事があります。

肝細胞がんは再発率が高く、切除術後2年以内に70%で再発するとされています。しかし、その90%は、残った肝臓内の再発であり、多くの場合、再度の肝切除、ラジオ波、肝動脈塞栓などの局所治療が可能です。
当科では、肝胆膵内科、放射線科などとの連携で、個々の状況に合わせた最適な治療を提供しています。2006年から2010年までの5年間に行った肝細胞がん切除手術件数と、これまでに行った肝細胞がんの手術後の生存率を示します。

  • 図:肝細胞がん切除件数
  • 図:肝細胞がん切除後生存率

腹腔鏡(補助)下肝切除

腹腔鏡下肝切除の創部の一例
腹腔鏡下肝切除の創部の一例

腹腔鏡手術とはおなかに5〜12oの穴を数か所開け、そこから手術用の細長い内視鏡や手術器具を入れてモニターを見ながら行う手術です。

腹腔鏡を用いた外科手術は、胆石や胆嚢ポリープの手術では標準治療となり、大腸がんの手術でもいまや標準的な方法となりつつあります。肝臓の腹腔鏡手術は肝臓手術の難しさの為に、普及が遅れていましたが、経験の豊富な施設で行う腹腔鏡(補助)下肝切除が保険の適応となり、当科での腹腔鏡(補助)下肝切除も2010年より保険適応で行える事となりました。腫瘍を取り出すまで全て腹腔鏡で行う完全腹腔鏡下肝切除と、腫瘍を取り出す為の小さな傷も利用して行う腹腔鏡補助下肝切除があります。

腹腔鏡手術は、傷が小さく、入院期間が短いといった利点があります。しかし、がんが治る事を最優先に考えるべきと考えており、当科では腹腔鏡(補助)下肝切除の適応をおなかの中にこれまでの手術の癒着が少ないと考えられ、腫瘍がひとつで大きさ3cm以内、肝臓の表面や肝臓の左の端のほう(肝左外側領域)に存在する場合としています。また、肝細胞がんの場合は、系統的肝切除を優先します。

腹腔鏡手術をご希望の患者さんに対しては、腹腔鏡で手術可能かどうか以上に、腹腔鏡で手術をしてもがんの治療として十分かどうかに重きを置いて専門医が治療方針を検討させて頂きます。

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