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子宮がん

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がん研有明病院の子宮がん診療の特徴

がん研有明病院の卵巣がん診療の特徴

婦人科がんの治療数が全国一であるがん研有明病院婦人科は、化学療法科や放射線科の助言を得つつ、婦人科医が責任を持って手術・化学療法・放射線療法などの治療手段のなかから、患者の皆様の状況に応じて、最適な治療方針を決定し、それを安全に実施するシステム(集学的治療)を構築しています。

特徴

  1. 個別化治療―個々の患者さんのがんの特徴、身体的精神的状況、要望に合わせた治療。
  2. 正確な細胞診断、組織診断に立脚したがん治療。
  3. 治療後の検診―再発の早期発見。
  4. がん治療に伴う後遺症・合併症によるQOL低下を予防(内分泌・骨外来、リンパ浮腫予防外来、また脱毛などに対応する帽子 クラブなど)。

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子宮がんの治療成績

子宮頸がんの治療数

子宮頸がん症例数

進行期 2007年 2008年 2009年 2010年
0 107 120 118 195
I 68 83 93 81
Ia1 23 19 16 21
Ia2 1 1 4 0
Ib1 31 45 53 34
Ib2 13 16 16 19
II 19 19 30 32
IIa 12 10 15 17
IIb 7 9 15 15
III 13 16 9 25
IIIa 2 0 0 3
IIIb 11 16 9 22
IV 15 16 11 8
IVa 3 2 0 0
IVb 12 14 11 8
合計 222 254 261 341

2010年頸がん 治療法別内訳

臨床進行期
(症例数)\治療法
円錐切除(レーザー蒸散含む) 単純子宮全摘術(腹式/膣式) 準広汎子宮全摘術 準広汎子宮全摘術(リンパ節廓清あり) 広汎子宮全摘術 放射線療法
0期(195) 151 31(17/14) 9 3 1 0
臨床進行期
(症例数)\治療法
円錐切除(レーザー蒸散含む) 単純子宮全摘術(腹式/膣式) 準広汎子宮全摘術 準広汎子宮全摘術(リンパ節廓清あり) 広汎子宮全摘術 放射線療法
Ia1(21) 9 7(6/1) 5 0 0 0
Ia2(0) 0 0(0/0) 0 0 0 0
Ia(亜不明)(7) 1 0 2 3 1 0
計(28) 10 7 7 3 1 0
臨床進行期
(症例数)\治療法
円錐切除(レーザー蒸散含む) 単純子宮全摘術(腹式/膣式) 広汎子宮全摘術 広汎子宮全摘術(術後化学療法あり) 術前化学療法施行例 同時化学放射線療法(CCRT) 放射線療法 化学療法 その他(術後放射線治療例)
Ib1(34) 2 1 11 11 2 0 5 1 1
Ib2(19) 0 0 4 11 2 2 0 0 0
IIa(17) 0 0 1 9 1 1 2 0 3
IIb(15) 0 0 0 2 1 12 0 0 0
IIIa(3) 0 0 0 0 0 3 0 0 0
IIIb(22) 0 0 0 0 0 20 2 0 0
IVa(0) 0 0 0 0 0 0 0 0 0
IVb(8) 0 0 0 0 1 6 0 1 0
計(118) 2 1 16 33 7 44 9 2 4

子宮体がんの治療数

子宮体がんの治療症例数

進行期 2007年 2008年 2009年 2010年
0 2 3 3 4
I 86 92 106 103
Ia 34 32 55 54
Ib 33 47 38 39
Ic 19 13 13 10
II 9 8 7 6
IIa 7 5 3 2
IIb 2 3 4 4
III 40 32 54 32
IIIa 21 17 30 18
IIIb 0 0 1 0
IIIc 19 15 23 14
IV 6 5 4 8
IVa 1 0 0 0
IVb 5 5 4 7
IV(亜分類不明) 0 0 0 1
小計 143 137 174 153
子宮がん肉腫 14 9 13 5
子宮肉腫 13 2 1 3
合計 170 148 188 161

2010年体がん 治療法別内訳

進行期 手術 手術&化療 手術&放射線 手術&CCRT 化療 放射線 放射線&化療 MPA
0期 (4例) 3             1 4
I 期 (104例)                 103
I a (54例) 48 2           4 54
I b (39例) 34 5             39
I c (10例) 2 6 2           10
II 期 (6例)                 6
II a (2例) 2               2
II b (4例) 1 3             4
III 期 (32例)                 32
III a (18例) 3 15             18
III b (0例)                 0
III c (14例)   13         1   14
IV期 (7例)                 8
IVa (0例)                 0
IVb (7例)   3   1 2   1   7
IV(亜分類不明) 1               1
子宮がん肉腫 (5例) 3 2             5
子宮肉腫 (3例) 1 2             3
合計 (161例)                 161

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子宮がんについての知識

子宮がんとは

子宮頚がんと子宮体がん

女性の生殖臓器である子宮は骨盤の中央に位置しており、その両側には左右の卵巣があります。子宮は、解剖学的に子宮の下部、つまり子宮の出口にあたる子宮頚部と、子宮の上部、子宮の袋の部分に相当する子宮体部より構成されています。子宮がんとは子宮の上皮性悪性腫瘍を指し、子宮頚部に発生する子宮頚がんと子宮体部に発生する子宮体がんに大別されます。
前者は全体の約7割を占めているが、子宮がん検診の普及により減少傾向にあり、また上皮内がん(0期)を始めとする、ごく早期のがんが主体をなしてきています。これに対して後者は増加傾向にあり、上皮内がんの段階で発見されることは稀です。また、子宮体がんがほとんど全て腺がん(内膜腺由来)であるのに対して、子宮頚がんは扁平上皮がんと腺がんに分類されます。かつては大多数を扁平上皮がんが占めていたが、ここでも腺がんが近年急速に数を増やし、進行子宮頚がんのかなりの割合を占めるに至っています。

年令分布

図1子宮頚がんと子宮体がんにおける患者年令分布、発症頻度を(図1)示しました。
最も注目されるのは、子宮頚がんの発症が、20才台より急速に増加している点で、この病気が若い妊孕性を有する世代に重大な影響を及ぼしていることがわかります。幸いにしてこの世代の病変はほとんどが早期がんであるため、子宮温存が可能である場合が多いと考えられます。
これに対して、老年期に発見される子宮頚がんは、多くの場合が進行がんの形をとります。
一方、子宮体がんでは、50-60才を明確なピークとしており、閉経期前後から閉経期以降比較的早い時期の疾患であることがわかります。

病因

子宮頚がんの原因はヒトパピローマウイルスによる感染であることがかなり明確になってきています。
この感染に何らかの他の要因が加わり、発がんすると考えられています。感染は性行為によって発生し、それ以外の感染は極めて稀とされます。現在までのところ、感染から何年で発症するかは諸説があり、はっきりしていませんが、先(さき)の患者年令分布は性行為の開始年令と大きな関係があるとされます。
前がん病変である子宮頚部異形成(軽度、中等度、高度の3段階がある)を経て、がん化すると考えられており、がん組織はもちろん、異形成の組織よりも高率にヒトパピローマウイルスが証明されます。
なお、ヒトパピローマウイルスには100種類以上の型があり、一般にハイリスク型(16,33,52,58型など)とローリスク型(6,11型など)に分けられます。個々の症例における型決定は、子宮頚部細胞の採取(PCR法)などにより可能です。もちろんハイリスク型がより病変の進行を誘発しますが、異形成でハイリスク型のウイルスが検出された場合でも、がん化する確率は20%程度ではないか(諸説がある)と見られており、それほど高いものではないと考えられます。がん研有明病院婦人科は、「子宮頸部前がん病変患者のHPV型判定」を外来で実施しています。この検査方法についてのわかりやすい説明(HPV型説明)とより詳しい解説(HPV型解説)を掲載しました。
一方、子宮体がんの原因はこれとは全く異なっており、ホルモン環境が主たる因子とされます。従来より子宮体がん患者には、未婚、未妊、ホルモン剤服用などの因子が多いことが知られていましたが、何らかの原因による高エストロゲン状態が、発症に大きな影響を与えると考えられています。子宮体がんの場合も、前がん病変として子宮内膜増殖症が注目されています。現在、子宮内膜増殖症は単純型子宮内膜増殖症、複雑型子宮内膜増殖症、単純型子宮内膜異型増殖症、複雑型子宮内膜異型増殖症の4つに分類されています。このうち子宮内膜異型増殖症複合型は子宮体がんの前段階と考えられており、このタイプの増殖症が、がん組織と共に存在していることもしばしば認められます。これ以外の3つの増殖症は、いずれもがん化率は低いと考えられています。

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診断

臨床症状

子宮頚がんでは、不正出血、接触出血が主体ですが、初期の場合は無症状のことがむしろ普通と考えられます。これら無症状患者の多くは子宮がん検診で発見されています。子宮体がんでは圧倒的に不正出血が多く、特に閉経期以降の出血という形で発見される場合が多いとされます。子宮内腔に腫瘍が存在するため異常な帯下を主訴とする場合もありますが、集団検診で発見される場合には無症状のことも多いとされます。

検査

1.細胞診

表1子宮がんにおける細胞診の役割は極めて大きいものがあります。婦人科領域における細胞診は子宮頚部(膣部)に対するものと子宮体部に対するものに分けることができます。

一般に、集団検診では、子宮頚部に対してのみ細胞診が行われる事が多く、子宮頚がんにおける診断率は99%以上という信頼性です。検査結果は通常5段階(クラスI-クラスV)に表示され、I, 2は正常を、3aは軽度ないし中等度の異形成を、3bは高度異形成を、IVは上皮内がんを、Vは浸潤がんをそれぞれ想定しています(表1)。子宮体がんに関しては、頚部のみの検索では不十分で、その場合の発見率は約50%にすぎません(図2)。
従って、近年増加傾向にある、子宮体がんの早期発見の向上ためには、集団検診での体部の細胞検査が必須となりますが、コストの問題に加え手技上の問題もあり、あまり普及していません。子宮体部細胞診の子宮体がんの正診率は約90%とされています。子宮体がんではクラスI、 2が正常を、3は子宮内膜増殖症を、IV、Vはがんを概(おおむ)ね想定しています。

図2実際の手技には、増淵式吸引法、エンドサイト法などがあり、いずれも何らかの器具を子宮内腔まで挿入する必要があります。なお、子宮体がんの細胞診では、経卵管的な悪性細胞の採取が見られ、卵巣がんの13%前後、卵管がんの約50%が発見可能とされ、その他の腹腔内悪性腫瘍が偶発的に発見される場合もあります。

2.コルポスコピーとヒステロスコピー

コルポスコピーは、通常頸部細胞診による疑陽性以上(クラス3以上)の症例に対して行われます。
子宮頚部(膣部)病変に対しては、コルポスコピー(膣拡大鏡)で病変の質的診断をするとともに、このガイド下に狙い組織診(パンチバイオプシー)を施行します。コルポスコピーは単に病変を拡大するだけではなく、酢酸処理をすることにより、病変部と健常部を識別させることができます。
ヒステロスコピー(子宮鏡)は子宮内腔を観察するものですが、子宮内腔は潜在的な空間であるため、通常は何らかの液体もしくはガスによる子宮内腔の拡張が観察には必要となります。子宮体部の組織検査は、このガイド下に行うことも可能ですが普及しておらず、ブラインド(盲目下)での部分掻爬あるいは全面掻爬が一般的です。

3.円錐切除

一般に子宮頚部の高度異形成、上皮内がん、微少浸潤がんを疑う症例を対象として行います。
子宮頚部の組織を円錐状に広範囲に切除し、得られた組織は連続的に切片が作成されるため、病変が全て切除されている場合は確定診断に至ります。
従って、この手技は、確定診断を導く検査法であると同時に、病変のマージン(辺縁)が十分切除されていれば、この手技で治療を終えてしまうこともあります。
実際の臨床の場では、様々な器具が使用されていますが、通常のメス(コールドメス)で切除し縫合する場合、レーザーメスを使用する場合、高周波電気(リープ)を使用する場合に大別されます。切除範囲、麻酔法、外来処置か入院処置かなどに関して施設間で大きな隔たりがあります。なお、一部の施設では、子宮体がんの頚部浸潤の有無の判定にこの手技が用いられています。

4.画像診断

MRIは今日必須の検査で、明確な浸潤がんの治療前では、子宮がんのほぼ全例に施行される傾向にあります。原発巣の状況、近接臓器(特に膀胱と直腸)との関係などがよく把握されるため、術前検査としての価値は極めて大きいと考えられます。CT及び超音波検査は、原発巣に関する解析の他に、子宮外進展の有無に大きな情報を与えます。遠隔転移の存在は治療方針に重大な影響を与えるため、可能な限り綿密に行われます。
また近年、PET(Positron Emission Tomography)を術前に行う試みもあります。まだ、一般的でありませんが、微少がん病巣の発見及びその臨床応用に期待が持たれています。

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子宮頸部異形成のDNA診断

診断の対象

わたしもこの検査を受けたほうがいいんでしょうか?
子宮頸がんの検診で異常を指摘された方、あるいは子宮頸部異形成と診断された方にお勧めしています。

子宮頸部異形成とは

がん検診を受けたら「異形成」だから3ヵ月後に再検査しましょうって言われて心配しています。
子宮頸がんでは、子宮頸部の正常な粘膜からがんができる過程で、途中に子宮頸部異形成という段階があると考えられています。
子宮頸がん検診はがんを初期に発見することを目的に行われていますが、がんばかりではなく子宮頸部異形成の段階で病気が発見され精密検査を勧められる場合もあります。
子宮頸部異形成は大部分が治療なしで自然治癒してしまい、その全てががんへと進行していくわけではないので、切除などの治療はせずに、多くの場合経過観察されます。
最近の研究で子宮頸部異形成はヒト乳頭腫ウイルス(Human Papillomavirus;HPV)というヒトにイボをつくることで知られていたウイルスによって引き起こされることが明らかになってきました。
現在、HPVには約100種類の型・タイプが確認されています。
タイプというのは、ヒトでいうと人種にあたるものですが、大切なのはウイルスのタイプによって出来上がってくる病気にそれぞれ特徴があるということです。
子宮頸部異形成の場合、その組織中から見つかるHPVのタイプによってがんへの進行増悪の率がちがうことがわかっています。
そこで、子宮頸部異形成と診断された場合に、その病変中のHPVのタイプを調べることで異形成ががんへと進行していく危険率が予測できないものだろうかと考えられるようになりました。この試みを実践しているのが「子宮頸部異形成のDNA診断」です。

検査時の患者さんの負担

検査って大変なんですか?
通常の検診で行われている細胞診と同じ検体をつかい、細胞の中のHPV・DNA(ウイルスの遺伝子)を検出し、タイプを判定します。

治療方針の変更

検査の結果によって、治療が必要になることもあるんでしょうか?
検査の結果はその後の経過観察において参考とされますが、結果によって経過観察の方法や治療方針が変わることは原則としてはありません。私たちの研究結果では,高危険群に分類されているタイプのHPVが見つかった場合でも、それらの病変の80%は自然治癒しています。

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス

子宮頸部に感染しているHPVの型が判れば異形成の経過、運命が100%正確に予測できるかというと、残念ながら現時点ではまだそうではありません。しかし、HPVを検出、型判定することは従来から用いられている検査方法の補助診断方法として役に立つと考えられています。

集団検診、あるいは病院で行われている子宮頸がんの検査は、細胞診、組織診という方法です。これらの検査方法は、共に細胞や組織の形の上での異常から病気を診断しようという方法です。形のおかしな細胞、組織は性格にも異常があるというわけです。顕微鏡で観察して形のおかしな細胞を見つけ出し、形の異常の程度によって性格の異常の程度を診断していきます。

しかし、形から性格を判断しようとする方法には限界があります。従来の診断方法で同程度の異形成と診断されても、がんになっていくものもあれば、自然に消えてしまうものもあるわけですが、この性格の違いは形の上からだけでは判別できません。異形成と診断された場合には、皆さんに同じ割合、同じ回数で検診に来ていただき、同じやり方、同じ条件で念入りに経過観察を続けているのが現状です。

ここにHPVの型の情報を取り入れることによって、従来と同じように念入りな検診が必要な患者さんと、病変消失の可能性が高く検診を間引いてもかまわない患者さんとに分けることができないだろうかというのが私たちの第1の狙いです。本来必要がないかもしれないのに検査のために病院を受診する必要がなくなり、患者さんの負担が減るだろうと考えています。

また、こんな場合も考えられます。従来の検査方法で病変が消失していても、相変わらず高危険型のHPVが続けて見つかる場合、経過観察の手を緩めてはならないと判断できるかもしれません。HPV検査をすることによって、病気の潜伏的な進行増悪を見過ごしてしまうことを防ぐという第2の狙いです。

HPV検査の問題点

HPV6型、11型が見つかる病変はがん化しないということはほぼ間違いがないと考えられています。しかし、高危険型のHPVが見つかった場合、その異形成が確実にがん化するかというとそうではないのです。最もがん化の率が高いと考えられているHPV16型が見つかった場合でさえ、約20%にしかがん化は起こりません。HPV18型は欧米での研究から高危険型に分類されています。HPV18型は、先に述べました子宮頸部腺がんでは約50%に見つかりますので、確かに高危険型のウイルスと言ってよいと思います。しかし、病変の経過について研究がより進んでいる扁平上皮がんに限って言えば、お話は違ってきます。がん研の患者さんについて調べてみると、HPV18型が見つかった扁平上皮異形成でがん化したものは1例もなく、すべて無治療で自然消失、治癒しています。

HPV52型、58型は欧米の報告ではがんから見つかることが少ないとされ、あまり注目されていません。しかし、日本ではHPV52型、58型ががん組織から高率に見つかる傾向があり、私たちはこれらHPV52型、58型を高危険型HPVと考えています。調査、研究がどこの国、どの地域で行われたかによって、高危険型に分類されるHPVの型が違ってきてしまう可能性があります。 日本人にとっての高危険型HPVをきちんと見きわめるためには、日本人の患者さんについての日本独自の研究がまだまだ必要だということになります。high risk type のHPVに感染している異形成が子宮頸がんへと進んでいくという仮説を証明するためには長期間にわたる経過観察による研究が必要です。

私たちがん研婦人科では、10年以上前からこの命題に取り組み、HPV16型、33型、52型、58型が見つかった軽度異形成は、それ以外の型のHPVが見つかった軽度異形成に比べてがん化の危険が数倍高いという結果を出しました。しかし、これら高危険型と考えられるHPVが見つかった異形成でもがん化するのは6-7人に1人です。

現在、同じ型のHPVを持っているのにがん化する病変と自然治癒する病変とがあるのは何故か、その違いを明らかにする研究に取り組んでいます。現在のところHPV検査はその結果だけで治療方針が決定されるような検査ではありません。また、現在広く行われている異形成の診断方法や、経過観察の方法を変えてしまう根拠になるものでもありません。高危険型HPVが見つかったからといって、それだけの理由で手術を行ってしまったとしたら、それは行き過ぎた治療といえます。

HPV検査は従来の検査方法と組み合わせることによって有用性を発揮します。細胞診、組織診とHPV検査を組み合わせて行うことによって、経過観察のための検診をより効率的に行い、皆さんの定期検診に費やす負担を減らせるのではないかと考えています。

子宮頸部異形成と診断された場合、従来の検査方法での検診に加えて、HPV検査の結果を参考としながら適正な検診間隔を考えていくことが、現時点における最良の治療方針ではないでしょうか。

説明文にて掲載している諸症状で思い当たる節があった場合など、
がんについての疑問・不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
自己判断で迷わず、まずは専門家である医師の検診を受けることをお勧めします。

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治療

子宮頚がん

図3子宮頚がんの治療方針のまとめを示します(図3)。
上皮内がん(0期)、微少浸潤がん(IA期)においては、単純子宮全摘術が治療の原則です。これにより高い治癒率(0期ではほぼ100%)が得られます。しかし、若い世代の患者には、妊孕性保持の目的で、保存的治療が積極的に行われています。近年の全国集計でも、上皮内がんに対する治療は、保存的治療が子宮全摘術を頻度的に上回るようになっています。保存的治療は、円錐切除またはレーザー治療(あるいは両方)を指し、子宮頚部に対してのみ治療を行い子宮は温存されます。
IB期以上の手術可能症例(通常2期までを指す)に対しては、広汎性子宮全摘術及び骨盤リンパ節廓清を行います。本術式は、単純子宮全摘術では行わない膀胱子宮靱帯、基靱帯等の処理を行い、子宮周辺の組織を幅広く切除します。その結果、膀胱及び直腸関連の神経が広範囲に切断される場合があり、術後これらの障害が問題となる場合があります。3期の症例は一般的には放射線療法が単独で行われ、IV期症例には化学療法が行われる場合が多いと考えられます。しかし、ネオアジュバント化学療法などで、腫瘍の縮小を計った後、根治手術を行う場合や、放射線療法と同時に化学療法を行う(コンカレント化学療法)など、新しい治療法が多数登場しています。

子宮体がん

一部の早期の症例にホルモン療法による子宮温存療法が可能であるが、原則として子宮の摘出が行われます。手術可能症例に対しては、子宮全摘、両側附属器切除に加えて骨盤内及び傍大動脈リンパ節廓清が標準的な術式です。ただし、2期症例に広汎性子宮全摘術を行う施設も多いです。
子宮体がんにおける所属リンパ節は、骨盤内リンパ節と傍大動脈リンパ節であり(子宮頚がんでは骨盤内リンパ節のみ)、両方の廓清が必要と考えられています。しかし、がん浸潤の浅い早期のもの、何らかの合併症を有する症例などに、リンパ節廓清を省略する場合があります。
3期またはIV期の、治療開始時に既に広汎な転移を認める症例においては、まず化学療法を行い、その後手術が可能になる範囲まで腫瘍が縮小する場合に、治療効果が期待できます。

術後療法

リンパ節転移を有する症例、あるいは浸潤の深さ、腫瘍の大きさなどにより再発率が高いと考えられる症例に対しては、術後補助療法を行います。これらのハイリスク症例に対して、かつては放射線治療が広く行われていましたが、今日では化学療法(抗がん剤投与)が主体です。
通常、一ヶ月に1クール、個々の症例の重症度により3-7クール前後の化学療法を施行しています。但し、特に子宮頚がんにおいては、現在でも術後放射線治療を施行する施設も多く、その場合は体外照射を骨盤部に50Gy前後行います。

治療成績と予後因子

子宮頚がんにおいては、まず第一に正確な臨床進行期の決定が予後推定に重要と考えられます。
0-IA期までの比較的早期の症例では、円錐切除で進行期の決定を行うが、手術療法によるこの臨床進行期での再発はかなり稀です。子宮温存療法における再発率は、0期で5%前後と考えられますが、生命予後まで侵されることは極めてまれで、これらの症例に再度温存療法を試みることも可能です。
IB期以上の症例では、腫瘍の大きさとリンパ節転移の有無が重要な因子で、現在IB期は腫瘍直径4cm以下のIB1期と4cmを越すIB2期に分類され、両者の間に大きな予後の差があることがわかっています。また、扁平上皮がんと腺がんの比較では、後者の方が腫瘍の進展が早く、予後も前者にくらべて不良と考えられています。
進行症例である3期においては、手術が不可能であるが、扁平上皮がんの場合は放射線の感受性がよく、放射線治療単独で50%前後の5年生存率が確保されます。遠隔転移を有するIV期症例はかつては絶望的と考えられてきましたが、抗がん剤治療の進歩により、腫瘍縮小後の根治治療が行われる症例もでてきています。
子宮体がんでは、組織の分化度が重要な予後因子となっている。子宮体がんの腫瘍組織像は、腺腔部分と充実部分よりの構成となっており、充実部分の多い程予後不良となります。手術でのリンパ節転移の有無、卵巣転移の有無も重要で、これらにより大きな予後の差がみとめられます。

リンパ節廓清の必要性

子宮体がんにおいては早期の症例にリンパ節廓清を省略しようとする動きも見られます。リンパ節廓清を省略できれば、リンパ浮腫などの問題も解決され、患者のQOLも改善されることになります。
しかし、リンパ節転移の有無を術前に察知するのは容易ではなく、リンパ節転移の有無により予後に大きな差があることが知られています。また、リンパ節転移があっても術後適切な治療をすれば、かなりの生命予後が得られることもわかってきています。従って、リンパ節廓清は、実質的な転移巣を除去する意味と、リンパ節転移を有するハイリスク群を同定し、これに対する補助療法をガイドするという役割を持っているといえます。

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