がんに関する情報

胆膵IVR (胆膵疾患に対する内視鏡的/経皮的インターベンション)

最終更新日 : 2018年3月6日

●内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連手技

ERCP は、内視鏡を口から入れて十二指腸乳頭部まですすめ、胆管や膵管に造影剤を直接注入してレントゲン写真をとり、胆のう・胆管や膵管の異常の有無を調べる画像検査ですが、同時に、以下のような、精密検査や治療も行っています。胆管・膵管にアプローチする、体への負担が最も少ない方法ですが、小さな十二指腸乳頭から胆管・膵管にカテーテルその他の処置具を挿入するのには、しばしば高い技術が必要とされ、また、処置により急性膵炎(時に重症膵炎)などを併発することもあるため、慎重な適応判断が必要です。

  • 胆道鏡・膵管鏡検査:胆管・膵管内に3mm径程度の細径内視鏡を挿入し、直接観察する検査です。がんの拡がりの診断や直視下での生検が可能です。
  • 管腔内超音波検査(IDUS):胆管・膵管内に細径の超音波プローブを挿入し、がんの拡がり、特に深さや周辺の血管への浸潤などを調べる検査です。
  • 内視鏡的乳頭切開術(EST)、内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD):十二指腸乳頭(総胆管の十二指腸への出口)を広くする目的で、乳頭部を電気メスで切開したり、バルーン(小さな風船)を入れて短時間膨らませて乳頭部を拡張したりする処置です。
  • 内視鏡的結石除去術・砕石術:乳頭処置に引き続き、バスケット状のワイヤーや石を引きずり出す為の風船(バルーン)を胆管や膵管に入れて結石を除去します。結石が大きい場合は、硬いバスケットカテーテルを挿入して石を砕いて取り出します。
  • 内視鏡的経鼻胆道/膵管ドレナージ(ENBD/ENPD):胆管・膵管の閉塞部位の上流に細いカテーテルを留置し、対側を鼻から外へ出して、胆汁、膵液を一時的に体外に逃がす治療です。
  • 内視鏡的ステント留置術(EBS/EPS):胆管・膵管の閉塞部位にステントというストロー状の短い管を入れて、胆汁や膵液の流れを良くする治療です。病態によってプラスチック製のものや金属製のものを使います。
  • バルーン内視鏡を用いたERCP:胃や胆道・膵臓の術後の場合には、再建の方法によっては、通常のERCP用内視鏡では十二指腸乳頭部まで内視鏡が届かないため、バルーン内視鏡という小腸用の長い内視鏡を用い、小腸をたぐり寄せながら、乳頭部または胆管・膵管空腸吻合部まで内視鏡を進めていくことで、ERCPが可能となります。

当院のERCPは、そのほとんどをがんによる胆管狭窄の精密検査とドレナージが占め、金属ステントの留置件数が非常に多いのが特徴です。また、近年、小腸内視鏡の開発・改良に伴い、胃切除/R-Y再建後の症例や膵頭十二指腸切除術後の症例に対してもERCPが可能となり、術後の症例が急速に増加しています。

●経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)関連手技

PTBDは、体外から肝臓内を走る胆管や胆のうに針を刺し、細い管を入れて胆汁を体外に導き出す(ドレナージ)治療です。これにより黄疸や胆管炎の改善が期待できます。内視鏡を用いて十二指腸側から胆管に到達する方法が一般に選択されますが、内視鏡治療が困難な場合や治療効果が期待できない場合にPTBDが選択されます。PTCDとも呼ばれています。体外に誘導された胆汁を貯めるための袋をぶら下げる必要があり、日常生活に制限が加わりますが、胆管炎などの感染対策としては最も確実な治療法です。PTBDによる胆管にアクセスした後、以下の検査・治療を行うことが出来ます。

  • 胆道鏡検査:PTBDの穿刺ルートを十分太くした後に、このルートから胆管内に細径の内視鏡を入れて胆管内を直接見る検査です。がんの拡がりの診断や直視下での生検が可能です。
  • 胆道内瘻術:胆管の閉塞部位を越えて下流までカテーテルを進めることにより、上流の胆汁を下流(生理的な向き)に流れるようにします。理論どおりに胆汁が下流に流れてくれれば、体外に出ているカテーテルの一端に栓をすることで、胆汁をためるための袋をぶら下げる必要がなく、日常生活の制限も軽くなります。
  • 胆管ステント留置術:PTBDのルートからでも胆管の閉塞部位にステントを埋め込むことができます。これにより、体外には何も出ていない状態になり、通常の日常生活を送ることが可能です。
  • 結石除去:PTBDのルートからバルーンカテーテルを用いて、胆管内の結石を腸に押し出す治療です。

●超音波内視鏡検査(EUS)関連手技

EUSとは、先端に超音波プローブ(超音波発生装置)のついた内視鏡で消化管内から膵臓、胆嚢、胆管、リンパ節などの消化管周囲の臓器や、消化管粘膜下の病変を観察する検査です。体外式超音波検査と比べ、EUSでは目的とする臓器のすぐ近くから観察するため、より鮮明な画像を得やすくなります。ただし内臓脂肪が多い場合や胃の手術をされた方では観察が難しい場合もあります。EUSを利用して、近年、さまざまな検査・治療が出来るようになってきました。

  • 超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA):EUSで病変を観察しながら、専用の針を病変に刺し(穿刺)、組織を採取する検査です。採取した組織や細胞を用いて病理診断を行います。消化管周辺の腫瘍、消化管粘膜下腫瘍、腫大リンパ節・腹水などが対象となります。画像検査のみで診断が困難な場合や、組織により診断を確定させる必要がある場合にこの検査が必要となります。90%以上の確率で十分な組織が採取でき、正確な診断が可能になります。
  • 超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD):EUS-FNAの技術を用いて、胃や十二指腸から胆管を穿刺し、PTBDの技術を用いて、その穿刺ルートから胆管にステントを留置することで、胆汁を直接胃や十二指腸にドレナージする治療です。ERCPによるステント治療が不向きな病態で、PTBDの最大の欠点である“体外にカテーテルが出る状態”を回避しうる、新たなドレナージ方法として注目されていますが、まだ効果や安全性が確立されておらず、十分な注意が必要です。
  • 超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック(EUS-CPN):EUSガイド下で腹腔神経叢に局所麻酔薬・無水エタノールを注入し、上腹部悪性腫瘍の疼痛緩和を図る治療です。安全かつ正確に手技を行うことができます。

●胆膵IVRに関する臨床研究

胆膵領域の内視鏡検査・治療は、高度の技術を要する手技が多いのが特徴です。当院ではこれらの技術を開発・実施すると共に、その安全性と有効性を科学的に検証するための臨床研究を行っています。

<2018年3月時点で実施中の臨床研究>

  1. 悪性肝門部胆管閉塞に対する術前胆管内ステント(Inside-stent)の安全性と有用性に関する前向き研究

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