がんに関する情報

乳がん

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担当診療科関連書籍のご紹介

乳腺センターからのお願い

外来予約制へのご協力について

がん研有明病院の外来は、予約制を原則としています。予約なしで当日いらした方も、お断りはしないこととなっていますが、乳腺センターでは患者さんが非常に多く、ほとんどの診察時間が予約の方で埋まっている状態です。このため、予約なしでいらした方は、長時間お待たせすることとなり(朝いらして夕方の診察となってしまうこともあります)、またすでに予約をしている方々に大変ご迷惑がかかります。
より安全で正確な診療のためにも、初診・再診とも必ず予約をとって下さいます様、ご協力をお願いいたします。

現在、他の医療施設にて治療中で当院への転院を希望されている方の受診について

〜まずはセカンドオピニオン外来でご相談下さい〜

がん研有明病院乳腺センターでは、当院にて乳がんの手術治療を行った患者さんに対し、術後の経過観察・薬物療法・放射線療法を行い、その後再発した方には再発治療を行っております。また、他の医療施設で治療中の方に対しては、セカンドオピニオン外来にて治療内容・方針について患者さんと先方の医療施設に対し、アドバイスを提供させていただいております。

当院で手術治療を受けられた患者さんについては、その後の治療・検査についてもスムーズに行われるように努力しておりますが、増え続ける患者さんに対して外来診療・外来化学療法・放射線治療の枠が追いつかず、大変ご迷惑をおかけしております。

そのため誠に勝手ながら、現在他の医療施設で治療(治療予定も含みます)を受けられている方が当院での診療を希望される場合、まずはセカンドオピニオン外来を受けていただいております。乳腺グループ内のキャンサーボードで検討した上で紹介元施設での診断・治療の内容が当院と同じと判断した場合は、原則的に紹介元の施設での治療をお勧めさせていただいております。なお、ご相談の際は紹介元の紹介状と共に、お聞きになりたいこと・疑問に思われていることを箇条書きにまとめてこられることをお勧めいたします。

ご相談は誠意を持ってお受けいたしますので、なにとぞご理解の程よろしくお願いいたします。

他の医療施設で乳がんの診断を受け、当院での手術を希望して来院される方へ

〜大変混雑して手術まで時間がかかり、ご迷惑をおかけしています〜

現在手術は大変混み合っており、下記のように大勢の方に治療を待っていただいている状態です。週に25件を超える手術を行っておりますが、それでも増え続ける患者さんに対応できておりません。乳がんを心配されて当院を初診してから診断がつくまで時間を要した方のことも考慮に入れ、手術予定日は診断が付いた順ではなく、当院初診日を参考に手術順を決めております。したがって、既に他の医療施設で乳がんの診断を受けてから受診される方におかれましては、その医療施設で手術をうけるより待機期間が長くなる可能性があります。このような状況をご理解の上、受診されますようお願いいたします。

初診から手術までのおおよその待ち期間   2ヶ月〜3ヶ月

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がん研有明病院の乳がん診療の特徴

がん研有明病院の乳がん診療の特徴

近年、乳がんの外科では、乳房温存手術を行うことが多くなり、乳がんの局所切除を完全なものとすることが重要となってきました。
乳がんの診断としては、単にがんか良性かの診断だけに留まらず、がんの拡がりの正確な診断、さらにどういう性格のどの程度の悪性度のがんであるかまでを見極めるよう努力しています。このために各種の診断法と生検法を駆使して温存手術の安全性を高めています。 手術についてはこの詳細な診断結果に基づいて安全、確実を目標にグループ全員の目でチェックし、最適な手術法を選択しています。
また、最近の乳がん治療では、薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤)の重要性が高くなり、手術前治療を含め、手術後の補助薬物療法を一貫して行い、患者さんの状態に応じた外来ケアを行っています。進行症例、再発症例は乳腺センターの腫瘍内科医(従来の化学療法科医師)と放射線治療医とが協力し、患者さんの状態に応じた治療を目指します。

2005年に移転した年の乳がん初回手術症例数は731例、病院が軌道に乗った2006年には、過去最高の961例となりました。
2007年の乳房温存術施行率は61%を示しています。温存手術によって摘出された標本はがん研乳腺センター方式による厳密な病理チェックを行い、がんが安全に切除されたことが保証された場合には温存乳房に照射を加えないという治療も行っています。これまでに1,462例の非照射乳房温存治療を行い、乳房内再発率は年率0.84%と、全例に照射を加える通常の乳房温存療法と変わらない成績を示しています。
センチネルリンパ節生検(SNB)に関しては3cm以下のがんで手術前に腋窩リンパ節に腫れたものが無い症例に対して色素とRI(放射性同位元素)を用いて行っており、これが術中迅速病理診断にて陰性の場合にはリンパ節の郭清を省いています。2004年からは、ごく小さながんに対して、2泊ないし3泊の入院で乳房部分切除とSNBのみの小手術を行い、後日その病理結果をみて治療方針を決める、という短期入院治療も行っています。
手術のための入院では原則前日に入院し、乳房温存、郭清省略で術後4日、乳房切除または郭清手術を行った場合は術後平均1週間で退院となります。
どの治療を選択するにしても安全で着実な質を備えることが必要であって外科医、腫瘍内科医、放射腺科医、病理医が緊密な関係を保ちながら、1例1例を決しておろそかにすることなく、大切に診療することをこころがけています。

有明移転にともない、これまでの乳腺外科、乳腺化学療法科が「乳腺科」として統合し、放射線科医の診察も同じ外来で受けられるようになり、乳腺の診断に必要な諸検査と外来点滴治療室がすべて乳腺科外来周囲に集まったことで、さらに便利で高質な医療が提供できるようになりました。

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乳がんの治療成績

2010年

乳がん初回手術症例数:約1044例
乳房温存実施率:57%
センチネルリンパ節生検実施数:838例、このうち、リンパ節郭清省略677例(81%)

乳腺科入院手術数
初回手術数(入院+外来) 1045 1044+1
 乳房温存 599 対側拘縮形成術1件含む
 乳房切除 444 同時再建119件を含む、
他、植皮1件、筋皮弁1件も含む
 腋窩郭清のみ 2 Occult2件
その他 218
 良性手術 77 外来局麻生検を含む
癌と同時切除のものは省く
 再発手術 46 同時再建4件を含む
他、広背筋皮弁2件、肩甲皮弁1件
 追加手術 90 同時再建20件を含む
他、シリコン入替1件。
 上記以外 5 その他悪性、合併症
1263

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乳がんについての知識

増えている乳がん

日本では、乳がんが急激に増加しています。1999年には乳がんは日本人の女性のがんの中で胃がんを抜いて大腸がんに次ぐ患者数となり、第2位となっています。2006年には4万人を越える人が乳がんにかかったと推定されています。
2006年の女性の死亡数を見ると、乳がんは大腸、胃、肺についで4位ですが、1年間の死亡者数は1万1千人を越え、特に壮年女性層に限ると1位になっています。この様に、乳がんは、日本女性の最も注意しなければならないがんになっているのです。
それでも、乳がんの多い欧米に比べると、日本はまだ1/3〜1/4に過ぎません。ただし欧米では、乳がんの患者数は依然として増加しているものの、死亡率は1990年代に入って減少しはじめているのです。このことは、私たちの見習わなければならない点ですが、これは、マンモグラフィ検診による早期発見と徹底した再発予防のための薬物治療が行われるようになったことが原因です。
がん研乳腺外科入院手術数も年々増加し、2006年には年間1166例(このうち原発乳がんは961例)に達しており、1945年から2006年までの原発乳がんに対する手術数は20,000例を越えています。
患者さんの年齢分布は1990年代まで40歳台後半が一番多いとされていましたが、2000年になると欧米と同じように閉経後の乳がんが着実に増加しており、50歳台を中心とした年齢分布に変化してきています。

日本人乳がん患者の年齢構成

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乳がんのハイ・リスクグループ

乳がんは、女性ホルモン(エストロゲン)が関与しているがんで、初潮が早い、閉経が遅い、初産年齢が遅いまたは高齢で未産、など、エストロゲンにさらされる期間が長いことが乳がんにかかりやすい条件として挙げられます。また、高脂肪食、肥満なども関与し、これは特に閉経後の女性で、脂肪組織でエストロゲンが作られているからです。
もともと欧米に多かった乳がんが日本で増えているのは、女性の社会進出などのライフスタイルや食生活の欧米化が、大きく影響しているからだと考えられます。また、血のつながった家族や親戚に乳がんにかかった人がいる場合も要注意といわれています。ただし、本当の意味での遺伝性の乳がん(乳がんにかかりやすい特定の遺伝子が親から子へ引き継がれる)はごくわずかで、多くは、体質や食生活などが似ている影響かと思われます。
いずれにせよ、乳がんの家族や親戚に乳がんの人が多い場合は、特に若いうちから自分の乳房に注意して、乳がん検診も積極的にうけておいた方が良いでしょう。

乳腺の解剖と乳がんの発育

乳腺は(図1)のように、小葉という主にミルクを作る組織と、乳管というミルクを乳頭まで運ぶ管とから成り立っており、小葉と乳管は腺葉というちょうどブドウの房のような単位を作って一つの腺葉から1本の主乳管が乳頭に開口しています。このような腺葉が10〜15個集まって一つの乳腺となっており、前からみるとひとつひとつの腺葉は乳頭を中心とした扇状に分布しています。
ほとんどの乳がんは乳管の壁から発生し、乳管の中を広がる「乳管内進展」と、乳管の壁を破って乳管の外に広がる「浸潤」という、2パターンの発育をします。乳管内進展は腺葉に沿って進むので、扇形に広がることが多くなります。
浸潤の部分は腫瘤として触れやすいのですが、乳管内の部分は触診では全く触れない(非触知)かぼんやり硬くふれるだけのことが多く、マンモグラフィや超音波などの画像検査が重要となります 。

乳腺の構造

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乳がんの種類

乳がんは、非浸潤がん、浸潤がん、パジェット病の大きく3つに分けられますが、普通のしこりを触れる乳がんのほとんどは浸潤がん(前述の「浸潤」が一部にでもあるがん)で、硬がん、乳頭腺管がん、充実腺管がんなどの一般的ながんと、粘液がんなどの特殊型とがあります。
非浸潤がんは、前述の「乳管内」の部分のみから成り立っているがんで、しこりを触れない段階で乳頭分泌や画像検査で見つかったがんが多く含まれます。非浸潤がんは転移をおこさないごく早期のがんですが、日本ではとても少なく、1997年の全国統計で5%程度、がん研ではかなり多い方ですが2005年で18% です。マンモグラフィでの検診が進んだ欧米ではこの非浸潤がんが30%近くをしめており、日本でも、このようなごく早期の発見が増えることをめざしています。
パジェット病は、乳頭のびらんでみつかり多くはしこりを触れない早期のがんで、全乳がんの1%未満の稀なものです。

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乳がんの進行度と生存率

乳がんの進行度(病期分類)

乳がんの進行度は主に腫瘤の大きさとリンパ節転移の有無で0〜4期に分けられます。0期と1期が「早期乳がん」と呼ばれますが、0期は100%、1期なら90%の生存率が期待でき、早期発見がきわめて重要と言えましょう。
[2000年からの新しい病期分類]

0期 非浸潤がん
1期 しこりが2cm以下でリンパ節転移がない
2期 しこりが2cmをこえるか、リンパ節転移がある(さらに細かく2Aと2Bとに分かれる)
3期 リンパ節転移が進んでいる場合、しこりが5cmをこえてリンパ節転移もある場合、しこりが皮膚や胸壁に及ぶ場合、炎症性乳がん(乳房全体が赤くなる、特殊な乳がん)、などが含まれる(さらに細かく、3Aと3Bとに分かれる)
4期 鎖骨の上のリンパ節に転移があるか、他の臓器(肺、骨、肝臓などが多い)に転移がある

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乳がん手術件数の増加と非浸潤がんの比率

図1は当院における手術件数の変遷を示しています。件数は年々増加の傾向を示していますが、病院が有明に移転した翌年から飛躍的に増加し、2007年には年間1000例を突破しています。
早期がんの代表である非浸潤がんの割合も90年代には10%でしたが、2006年以降は17%を越える数値を記録しており、検診発見による早期乳がんの増加が現実のものとなってきたことを示しています。

表1

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乳がんの生存率

次に乳がん手術後の生存曲線をみましょう(図2)。年代毎に生存率は向上しているのがよくわかり、90年代では、乳がん全体の5年、10年生存率はそれぞれ、89%、79%、にも達しています。また2000年代ではさらに治療成績が向上し、5年生存率が93%となっています。これを腫瘍径別にみたものが図3です。がんが大きくなるにつれて生存率が低下していることがわかり、腫瘍が小さいうちの早期発見がいかに重要かが理解できると思います。
リンパ節転移(n)別の生存曲線では、転移が増加するに従って生存率が低下しています(図4)。再発の危険性を手術後に予測する場合はこのリンパ節転移の個数が最も重要な情報となります。これをもとに手術後の再発予防の治療をどこまで行うか決定しています。

  • 表:乳がん治療後の生存率(全症例)
    表:乳がん治療後の生存率
  • 表:乳がん治療後の生存率(腫瘤径別,90年以後)
    表:乳がん治療後の生存率
  • 表:乳がん治療後の生存率(リンパ節転移個数別,90年以後)
    表:乳がん治療後の生存率

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乳がんの症状

乳がんの初発症状(発見のきっかけ)は、80〜90%が乳房のしこりであり、他に乳房の疼痛が10%ほど、さらに全体からみると少数ですが、乳頭分泌(乳首から液体とくに血液などがでる)、腋窩腫瘤(わきの下のリンパ節を触れる)、Paget(パジェット=乳首のただれなど)もあります。 早期乳がんの症状については、基本的に無症状で、マンモグラフィや超音波による検診が重要といえます。非浸潤がんの発見契機を見ると半数以上がこうした画像のみで発見されています。日本ではその受診率が10%程度ときわめて低いのが問題ですが、マンモグラフィを使った検診の普及による早期発見がぜひ必要と思われます。

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乳がんの検査

乳腺の主な検査法を表6に示します。この中で、視触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)、細胞診は、乳がんの診断に必須の、いわば「4本柱」とも言うべきもので、乳房にしこりを触れる場合、視触診→マンモグラフィと超音波→細胞診の順にこれら4つを全て行うことが原則です。これら4つで診断がつかない場合や互いに矛盾する結果が出る場合には、生検(組織診)が必要となります。
どんなベテランの医師でも、触っただけでがんか良性かの診断を正確につけることはできないので、触診だけで「大丈夫」といわれても、安心してはいけません。また、視触診だけではみつからない乳がんもあるため、異常なしと思っても、マンモグラフィまたは超音波で確認しておくことが望ましいといえましょう。

乳腺のおもな検査法

視触診マンモグラフィー乳腺超音波検査、乳腺MRI、乳管造影、乳管内視鏡、穿刺吸引細胞診針生検(ステレオガイド下、針生検)外科的生検

視触診

まず乳房を観察し、左右差(図2)、くぼみ(えくぼ)(図3)や隆起、発赤(図4)や皮膚の変化がないかを見ます。次に、乳房にしこりがないか注意深く触診し、さらに乳頭からの分泌や出血(図5)、乳頭のびらん(ただれ)やかさぶた(図6)、わきの下のしこりなどをチェックします。
図2 乳房の左右差(右の乳がん) 図3 乳房皮膚のえくぼ状のくぼみ 図4 乳房の発赤(炎症性乳がん)
図5 乳頭からの出血 図6 乳頭のびらん(パジェット病)

マンモグラフィ(図7)

乳腺専用の、X線撮影装置を用い、乳房を圧迫して薄く平らにしながら撮影するレントゲン検査で、腫瘤(しこり)の他に、しこりを触れないごく早期の乳がん (非浸潤がんを含む)を石灰化で発見できるのが特徴です。閉経後や高齢者の乳房で特に診断しやすく、2000年から日本でもマンモグラフィを用いた検診が導入され、現在では40歳以上の女性の乳がん検診ではこれを使うことがすすめられています。
図7 マンモグラフィ検査

超音波(図8)

皮膚にゼリーを塗ってプローブ(探触子)をあてて内部を観察する検査で、腹部や婦人科の超音波と同様ですが、乳腺では、体の表面の浅いところを見る専用のプローブを使います。
ベッドサイドで手軽に検査でき、数ミリの小さなしこりをみつけたり、しこりの中が詳しくわかるのが特徴で、若い人では、マンモグラフィよりも診断しやすい場合があります。触診で発見される乳がんについて超音波で見えないものはほとんどないと考えられています。検診での有効性についても議論されており、2006年以降わが国でも大規模な臨床試験が計画されています。
図8 超音波(エコー)検査

細胞診

しこりに細い針を刺して注射器で細胞を吸引して、細胞ががんか良性かを顕微鏡で調べます。
細胞が十分とれればかなり正確に診断がつきますが、細胞だけではがんかどうか微妙な場合や、細胞がうまくとれない場合は、次の組織診が必要になります。

生検(組織診)

しこりや石灰化の部分を針で細く採ったり(針生検)、メスで切り取ったり(外科的生検)して、顕微鏡で組織を観察して、最終的な診断をします。
触れないがんの場合に十分組織を採取する針生検の方法としてマンモトーム生検といわれる方法があり、当院では超音波ガイド下またはレントゲン(ステレオガイド)下に活用しています。
外科的生検は局所麻酔でできますが、(a)〜(d)の検査を十分行った上でやるべきで、もし、しこりを触れるからといって他の検査をせずにすぐ「切って調べましょう」といわれたら、病院をかえてでも検査をしっかりしてから行うことを勧めます。また、外科的生検は、もしがんだった時のことを考えて、最終的な治療を受ける病院でやってもらう方がよいでしょう。

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乳がんの治療

乳がんの治療法には、手術、放射線治療、薬物療法(化学療法やホルモン療法)があり、これらを適宜組み合わせて治すのが普通です。
このうち、最も基本となるのが手術で、よほど進んだがんで手術できない場合や手術しても意味がないような特殊な場合を除いては、必ず手術は必要です。ただし、進行度によっては、先に薬物療法等でがんを小さくしてから手術する場合もあります。

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手術

1.主な術式

乳房温存手術

乳房の一部とリンパ節をとり、乳房のふくらみや乳首を残す方法で(図10)、扇状部分切除術と円状部分切除術とがあります。
術後、残った乳房に顕微鏡レベルのがんが残る可能性があるので放射線をあてるのが一般的です。(ただし、がん研を始めとして一部の施設では、病理(顕微鏡) の検査を細かく慎重に行って乳房にがんが残っていないと判断した時に限り、放射線をあてない場合もあります。)乳房温存ができる条件は、通常、しこりが1個だけで3cm以下、検査でがんが乳管の中を広がっていない、放射線があてられる、患者さん自身が温存を希望する、などです。早期のがんでも乳管の中のがんの広がりが広ければ、温存できない場合もあります。

図10a 10b

胸筋温存乳房切除術(ペイティ法、オーチンクロス法、児玉法など)

乳房とリンパ節を切除して胸筋を残します。現在の日本の乳がん手術で腋窩のリンパ節を取る「乳房全摘」「乳房切除」という時にはこの術式をさすのが普通です。
乳首のない平らな胸となりますが(図9)、筋肉が残るので胸が大きくえぐれることはなく、下着で補正して服を着れば外からは全くわかりません。

図9 右の乳房切除後

2.術式の変還

乳がんの手術法の変遷をみてみましょう。表7に日本全体での、表8にがん研乳腺外科でのグラフを示します。日本では、ハルステッド手術から胸筋温存術に切り替わったのは1986年から1987年にかけて、がん研では10年早く変化させまし た。乳房温存手術の開始は欧米に遅れて、日本では1986年ころからで、がん研でも1986年から開始しています。

  • 日本における乳がん手術術式の変遷
    日本における乳がん手術術式の変遷
  • がん研における手術術式の変遷
    がん研における手術術式の変遷

3.リンパ節郭清の縮小化

リンパ節転移の有無は術前検査では正確に分からないため、乳がんの手術ではリンパ節を一塊に採る(郭清する)ことが標準的ですが、郭清するリンパ節の範囲は以前より少なくなってきています。
また最近は、センチネルリンパ節生検といって、がんのまわりに色素や放射性物質を注射して、それがながれついたリンパ節を、がんが最初に転移するリンパ節 (「センチネル=見張りリンパ節」)と考えて、そのリンパ節に転移があるかを手術中に調べて転移があった時だけ郭清する方法に変化しています。がん研でもこの方法で2006年には乳がん手術の60%でリンパ節郭清が省略されました。

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乳房再建

乳房切除で失った乳房の形を手術で作ることも可能で、主に形成外科医が行います。お腹や背中の自分の筋肉を移植する方法と、人工的なバッグを入れる方法があります。ご希望のある方は、遠慮せずに、まず主治医に相談してみましょう。がん研の同時再建例(乳がんの手術時にティッシュエクスパンダーという拡張期を挿入する方法)は着実に増加しており、非浸潤がん(0期)だが広い範囲にひろがっているような早期の方を中心に行っています。

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放射線療法

現在最も多く行われているのは、乳房温存手術後の乳房照射で、通常、5〜6週間かけて、50〜60グレイ程度を乳房全体に当てます。また、乳房切除を行った場合でもリンパ節の転移個数が多かった時には再発予防のため、術後に胸壁やリンパ節に放射線を当てています。

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薬物療法

術後に再発予防のために補助的に使う(術後補助療法)、転移のある乳がんや再発乳がんに対する治療として使う、術前に使ってから手術する、などの使い方があります。

1. ホルモン療法

乳がん、前立腺がんなどに特徴的な治療法で、女性ホルモン(エストロゲン)が乳がんを増殖させる機構を、何らかの形でブロックします。 副作用が比較的少なく、長期間使えるのが特徴です。切除したがんを調べて、ホルモン受容体をもつがん(女性ホルモンの影響を受けやすいがん)かどうかをしらべて、受容体(+)の場合により効果的です。 抗エストロゲン剤(エストロゲンががんに働くのをブロックする=タモキシフェン、トレミフェンなど)、LH-RHアゴニスト(閉経前、卵巣からの女性ホルモンをストップさせて一時的に閉経後の状態にする=ゾラデックス(R)、リュープリン(R)など)、アロマターゼ阻害剤(閉経後、脂肪でエストロゲンをつくる酵素をブロックする=フェマーラ(R)、アリミデックス(R)、アロマシン(R)など)、合成プロゲステロン製剤(ヒスロン(R))などの種類があり、年々新しい薬が開発されています。

2. 化学療法

いくつかの薬を組み合わせて、ある程度決まった投与量や間隔で使うことが多い。ほとんどが点滴で投与されます。

主な薬剤
CA(E)F療法
C(同上)A(アドリアマイシン)またはE(エピルビシン)F(同上)の組み合わせで、Fを抜かした2剤が用いられることもあります。リンパ節転移のある場合の術後補助療法や、再発の治療として最も標準的な治療法です。
タキサン系の薬剤
比較的新しい薬で、ドセタキセル(タキソテール(R))、パクリタキセル(タキソール(R))があります。リンパ節転移があった場合にはアドリアマイシンなどを使用したあとに追加することにより、再発がさらにおさえられることがわかっています。

3.抗体療法

特定の遺伝子が異常に働いている乳がんに対して、その遺伝子の抗体を薬として点滴で投与する治療で、ハーセプチン(R)という薬が、日本でも2001年から使えるようになりました。切除したがんを検査することで、効果が期待できるがんとそうでないがんがわかるのが特徴で、「がんの個性に応じて、効果が期待できる薬を選んで使う」という、いわばオーダーメイドの治療として注目されています。現在は再発治療に関してのみ使用が可能ですが、再発予防に対しても効果があることがわかってきており、認可を申請中です。

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乳がん検診

日本では、1987年に乳がん検診が開始されましたが、ずっと視触診のみの時代が続いていました。
一方、欧米では早くからマンモグラフィを併用した検診が一般的でした。これは、視触診のみの検診では、検診をうけた人と普通に外来を受診して乳がんをみつけた人とで、死亡率が変わらないという結果が出たからです。検診の触診は、必ずしも乳がんの触診に慣れてはいない医師が、千差万別の多数の女性の乳房を短時間に診るため、微妙な病変や小さなしこりを漏れなく見つけるには十分な精度とはいえませんし、しこりとして触れない0期の乳がんを見つけることはできません。これらを補うのがマンモグラフィで、特に石灰化でみつかる非浸潤がんの発見は、100%の治癒につながります。
そこで日本でも、2000年から、「50歳以上の女性に対し、2年に1回のマンモグラフィと視触診による検診を行う」というガイドラインが出され、ようやくマンモグラフィ併用検診がはじまりました。2004年からは40〜49歳の女性についてもマンモグラフィが導入されています。

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自己触診

乳がん検診が推進されてはいるものの、現在のわが国の乳がんの初発症状の約8割は患者さんが気づいたしこりです。
一方、1期つまり2cm以下でみつかれば9割が助かるのですから、乳がんの早期発見と生存率向上に一番の近道は「2cm以下のしこりを自分でみつけること」といえましょう。2cmというのはちょうど1円玉の大きさで、日本人の乳房なら、きちんと触っていればまずわかるサイズです。しかし、1円玉というのはそれほど大きいものではないので、「たまたま何かの拍子に手が触れて気づく」というわけには行きません。
つまり、「自己触診さえしていればみつかるけれど、していなければ見落としてしまう」のが2cmという大きさで、そこに自己触診の重要性があります。具体的な自己検診法を、下記に示しますので、早速やってみて下さい。

大切なことは、定期的に自分の乳房を触って自分自身の正常な乳房を把握しておくことと、異常に気づいたら、自分でがんか否かを判断するのではなく、必ず検査を受けに行くことです。

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自己触診ってどうやってやるの?

毎月一回、検診日を決めて

乳がんは身体の表面に近い部分に発生するため自分でも見つけることが出来ます。整理が始まって1週間後、乳房のはりや痛みがなくなって柔らかい状態のときに自分でさわってチェックして見ましょう。閉経後の人は毎月一回自己検診日を決めておこないます。乳房の日ごろの書き留めておくと変化を知ることができます。

浴室でチェック

お風呂やシャワーの時、石鹸がついたてで触れると乳房の凹凸がよくわかります。左乳房を触れるときは右手で、右乳房は左手で。

  1. 4本の指をそろえて、指の腹と肋骨で乳房をはさむように触れます。「の」の字を書くように指を動かします。しこりや硬いこぶがないか、乳房の一部が硬くないか、わきの下から乳首までチェックします。
  2. 乳房や乳首を絞るようにして乳首から分泌物が出ないかチェックします。

浴室でチェック

あおむけに寝てチェック

調べる側の乳房の下に枕などを当て、浴室と同じように触れてみます。

あおむけに寝てチェック

鏡の前でチェック

腕を高く上げて、ひきつれ、くぼみ、乳輪の変換がないか、乳頭のへこみ、湿疹がないか確認します。また、両腕を腰に当ててしこりやくぼみがないか観察します。

  • ≪視診≫
  • ≪視診≫
  • ≪触診≫

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まず関心をもって!

どんなにすばらしい診断法や治療法があっても、女性が自分の乳房に関心をもって検診や医療機関を受診しなければ、検査は始まりません。
乳がんの啓蒙活動が盛んで、女性の多くが乳がんをごく身近なものと考えているアメリカでは、40歳以上の女性の7割以上が乳がん検診を受診し、乳がんによる死亡はすでに減少傾向に転じています。それに対して日本では、検診や自己触診を実践している女性は、身近な人ががんになった、職場でたまたま検診があったなど、ごく限られた数にすぎず、検診の受診率も10%台にすぎません。
多くの人は、乳がんなんて全く人ごとと考えて、乳房の話題といえば、バストアップの下着や芸能人の豊胸術、たまに有名人が乳がんになってもたまたま不運な人の闘病記として読むだけ。これでは、欧米から、乳がんになりやすい食生活やライフスタイルといういわばマイナス面ばかりを取り入れ、自分の健康に関心を持つという良い面は学んでいないことになります。
「乳がんに関心をもつことが、自分の命ばかりでなく、大切な乳房を守ることにもつながる」ということを、日本女性の誰もが、ファッションやショッピングや旅行の話題と同じようにあたりまえに考え、話し合えるようになることを、心から願っています。乳がんを早期に見つけることによって、乳房を温存できるばかりでなく、リンパ節も取らなくてよかったり、抗がん剤も省略できたりするメリットがあることをもっと多くの女性が知る必要がありそうです。

説明文にて掲載している諸症状で思い当たる節があった場合など、 がんについての疑問・不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。 自己判断で迷わず、まずは専門家である医師の検診を受けることをお勧めします。

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