
お知らせ
【更新】ロボット支援下手術は毎年1000件以上施行しています
2025年05月09日
当院で2018年から行ってきたロボット支援下手術が、2023年に初めて年間1000件を超え1027件、2024年には1104件になりました。
2019年4月から多くの臓器でロボット支援下手術が保険収載され、当院で先行していた泌尿器科・大腸外科に続いて、同年に呼吸器外科・胃外科・婦人科も開始しました。そして、2020年に食道外科と肝胆膵外科、2022年には頭頸科が開始しました。手術用ロボット(ダビンチXi)は2018年末から2台体制となっていましたが、2020年1月に3台体制となり、2022年9月からは4台体制になりました。コロナ禍においても適正な症例を選択して多くの科で実施され、手術件数を増やしてきました。鏡視下手術は多くの科で行われていますが、ロボット支援下手術は拡大視野のメリットに加えて多関節による細かな剥離や縫合操作が必要となる術式に特にその有用性が発揮されています。
【各診療科コメント】
頭頸科
当科では、本邦で普及している内視鏡を使った経口的切除を多く施行していますが、併せて2022年4月から保険診療でロボット支援下・咽喉頭癌切除手術が行えるようになりました。ロボット手術は早期がんを対象にした、体の負担が少ない、機能温存を目的とした手術です。細いアームを口の中に挿入し先端が360度自由に可動するため、いままでの内視鏡下経口的手術では操作困難な部位でも切除が可能となり、適応が徐々に広がっています。
頭頸部がんの低侵襲治療について
頭頸部がんについて
呼吸器外科
当科では肺がん、転移性肺腫瘍、前縦隔腫瘍に対してロボット支援下手術を行っています。当科独自に開発したアプローチで開胸手術・胸腔鏡手術と同じ視野での安全な手術が可能になっています。これまでに214例施行し手術関連死亡、開胸手術への移行はありません。ロボット支援下手術が可能かどうかは担当医にご相談ください。
食道外科
食道がん手術は手術範囲が広く、体への負担が大きい手術です。がん研食道外科ではこれまでの1000例を超える胸腔鏡手術の経験を経て、2020年よりロボット手術を開始し、これまでに170例を超える患者さんに安全に施行して参りました。胸腔内吻合など複雑な縫合や、拡大視による精緻なリンパ節郭清において特にロボットの有用性が発揮されています。詳しくは遠慮なく担当医までご相談下さい。
胃外科
当科は2019年からロボット支援下胃切除術を導入し、現在では胃癌手術の約40%をロボット支援下に行っております。(詳細は胃外科のページもご参照ください)
特にロボットの繊細さを生かした噴門側胃切除術や進行胃癌に対する手術も積極的に行っています。詳しくは担当医にご相談ください。
肝胆膵外科
ロボット手術を導入して4年以上が経過し、現在までに360例の肝胆膵ロボット手術を術関連死亡なく実施しています。当科では現在「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」「ロボット支援下膵体尾部切除術」「ロボット支援下肝部分切除術」「ロボット支援下肝切除術・亜区域以上」を保険診療下に実施しています。動脈周囲の癌郭清や、膵空腸吻合などmm単位の精密な剥離が求められる膵切除、出血を最小化する精緻な肝離断に於いて、繊細なロボットの動きと鮮明な拡大視効果が有用です。(肝胆膵外科のページにて詳述しています。)肝胆膵手術は切除臓器も多く、元来侵襲の大きな手術ですが、ロボットの力を借りることにより、患者さんの負担を軽減し、合併症率も低く抑えることが可能となっています。自費診療になりますが、膵実質温存術式である『中央膵切除』もロボット支援下に実施可能です。
ロボット肝胆膵切除ご希望の方は、是非外来にてご相談ください。
大腸外科
ロボット手術は、小さな創から3Dカメラを挿入し、手術野を立体的に拡大できるため、従来型の腹腔鏡手術よりも細かい解剖が見やすくなりました。また、先端が自由に曲がり、手振れを補正する機能のついた鉗子(かんし)を使うことで、細かい作業を安定して行えます。狭くて深い骨盤内は、開腹手術や腹腔鏡手術では技術的に難しくなりますが、ロボット手術はそういった難しい局面で力を発揮します。
当科では、2025年3月までに1015人の患者さんがロボット手術を受けられました。ロボット手術の様子は、大腸外科のホームページにて動画でご紹介しています。ぜひご覧下さい。
泌尿器科
当科では2014年よりロボット手術を開始しています。前立腺・膀胱・腎臓・腎盂尿管がんに対して積極的にロボット支援下手術を行なっており、現在年間300例以上に施行しております。安全な手術を心がけており、従来の開腹手術と比べて早期退院が可能となっております。ロボット支援下手術が可能かどうかは担当医に遠慮なくご相談ください。
婦人科
婦人科では2017年よりロボット手術を開始し、現在までに800例以上の症例数を実施しております。
子宮体癌および子宮前癌病変に対する手術を保険診療で実施しております。従来の開腹手術に比べ、早期離床、早期退院が可能となっております。ロボット手術が実施可能であるかは外来の担当医にご相談ください。