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診療科・部門紹介
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リンパ浮腫治療室

リンパ浮腫治療室とは|リンパ浮腫に関する解説|スタッフ紹介

リンパ浮腫に関する解説

循環系の概念について

@身体の中の水分

人間の体の6〜7割は水分で占めています。この水分は細胞の中にある水分(細胞内液)と細胞の外にある水分(細胞外液:血液・組織液・リンパ液)に分類されます。
血液は血球成分(白血球・赤血球・血小板)と血漿成分(水分・血漿タンパク質・微量の脂肪・糖類無機塩類)に大別されます。

A血液の役割

血液の循環により、動脈側の毛細血管から各組織に酸素や栄養素を送り、静脈側の毛細血管から代謝物や二酸化炭素を回収する役割を担っています。これを物質交換と呼びます。

B毛細血管

毛細血管の先端は5〜10μm(マイクロメートル:1マイクロメートルは0.001mm)と細く、血管の壁がとても薄いのが特徴です。(動脈と静脈は毛細血管を介して繋がっています。)

C血液の循環の仕組みとリンパ液の産生

体の中を循環する血液は、安静にしている時で1分間に5L(成人の場合、心拍数1回で約700ml)の血液が心臓から送り出されています。
心臓から動脈に血液を送り出す際に圧力がかかり、動脈側の毛細血管の壁から分子の小さな血漿成分(血漿タンパクを除く)が 押し出 されます。
動脈側の毛細血管から押し出される組織液は1日約20Lです。
また動脈側の毛細血管の壁を通過出来ない、 アルブミン等の多くのタンパク質は、静脈側の毛細血管に残されます。
このタンパク質は、水分を引き寄せる力(浸透圧)を持っている為、静脈側の毛細血管の壁ら押し出された血漿成分の殆どを吸収します。
静脈側の毛細血管から再吸収される血漿成分は1日18Lです。
静脈側の毛細血管で再吸収されなかった、残り2Lの血漿成分がリンパ管で吸収されリンパ液となります。

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リンパ管とリンパ液について

@リンパ液って?

リンパ液は、タンパク・水分・細胞・異物(壊れた細胞、細菌やウィルス、塵埃)・脂肪などが含まれます。

Aリンパ管の種類

リンパ管は、表在リンパ管(毛細リンパ管、前集合管、集合管)と深部リンパ管(集合管)に分類されます。

Bリンパ液の流れ方

  • 表在リンパ管について
    筋膜上(筋肉より浅い層)、真皮〜皮下脂肪組織等を流れています。毛細リンパ管は、皮膚直下の2〜3mm下(真皮層)にあり、各領域に流れていますが、流れ込むリンパ節は決まっています。
    次に、皮下脂肪組織を通り前集合管によって、集合管へ運ばれます。
  • 深部リンパ管について
    筋膜下(筋肉より深い層)にあり流れています。毛細リンパ管、前集合リンパ管を経て集合管に流れ込みます。
    毛細リンパ管とは違い、一方にしか流れません。表在リンパ管と深部リンパ管の間でも交通がありますが、最終的にリンパ液は、首の所から静脈に合流しています。
    リンパ節を経由することにより、病原体やがんなどの侵入を防御したり、免疫系を機能させています。

C流れに障害を受けるとどうなるのか?

リンパ節郭清術後や放射線治療の影響を受けると、リンパ管やリンパ節に障害を来たした場合、身体は新しいリンパの流れ(バイパス)が作り流れを補います。
しかし、何らかの原因でリンパ液の流れを補えない場合に、それが皮下に溜まります。
これをリンパ浮腫と呼びます。

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婦人科がん術後のリンパ浮腫ついて

所属リンパ節の郭清術(取り除く手術)を行うと、それまでソケイリンパ節から骨盤リンパ節に流れ込んでいた、足のリンパ液は流れにくくなり行き場をなくします。
その結果、腹部や殿部などの皮下脂肪の中を流れている表在リンパ管へと、新しい流れを作って行く様になります。
術後1〜2週で、太ももの内側や陰部に一時的なむくみが現れますが、これは、リンパ液の流れが新しい流れを探している状態と思われます。 (一旦、このむくみは改善します。)
一部の方では、その後、慢性的なリンパ浮腫になる場合があります。
個人差はありますが、腰やお尻・くるぶし周りから、むくみに気付く方もいます。
多くは片足にむくみが目立ちますが、両足むくむ場合があります。
何れにしても左右差を伴うのが、リンパ浮腫の特徴の一つです。
報告者によって頻度は違いますが、慢性的なリンパ浮腫の出現は約20%です。

婦人科術後以外にも、骨盤リンパ節の郭清術を行う事でリンパ液の流れに障害を来たしリンパ浮腫を起す場合があります。(前立腺がん、大腸がん等)

所属リンパ節

○子宮頚がん
→骨盤リンパ節

○子宮体がん・卵巣がん
→骨盤リンパ節および傍大動脈リンパ節

<初期症状として出現し易い部位>

  • 下腹部、陰部、ソケイ部
  • 太ももの内側
  • 膝の内側
    (皮膚を指で摘まみ上げる。正常の場合は左右で厚みがほぼ同じである。)
  • スネ、足首の周り(くるぶしやアキレス腱)
    (むくんでいれば指で10秒程軽く押すと凹む場合がある、痕が残る様であればむくみがある可能性がある。)
  • 朝起きてもスッキリしない等、症状が続く様でしたら医師または看護師に御相談下さい。

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乳がん術後のリンパ浮腫ついて

手術でリンパ節を郭清行ったり、センチネルリンパ節生検後に放射線照射をした場合、リンパ節やリンパ管が障害を受けます。
所属リンパ節の郭清術(取り除く手術)を行うと、それまでワキのリンパ節から鎖骨下リンパ節に流れ込んでいた、腕のリンパ液は流れにくくなり行き場をなくします。
その結果、胸、背中などの皮下脂肪の中を流れている浅リンパ管へと、新しい流れを作って行く様になります。
術後、二の腕の内側等に腫れぼったさが出るという方も居ますが一時的の場合がありますが、これは、リンパ液の流れが新しい流れを探している状態と思われます。 (一旦、このむくみは改善します。)
一部の方では、その後、慢性的なリンパ浮腫になる場合があります。
リンパ節郭清術を行った側の腕や胸・背中にリンパ浮腫が起こる可能性があります。
下肢同様に郭清したリンパ節の近くから初期の浮腫は発生し易いです。
リンパ浮腫の症状がある場合は、主治医または看護師にご相談下さい。

所属リンパ節

  • 腋窩リンパ節
  • 鎖骨上リンパ節
  • 鎖骨下リンパ節
  • 胸筋リンパ節
  • 傍胸骨リンパ節

初期症状として出現し易い部位

  • 腋や肩の周囲
  • 二の腕の内側
  • 肘先の内側
    (皮膚を指で摘まみ上げる。正常の場合は左右で厚みがほぼ同じである。)
  • 手先
  • 朝起きてもスッキリしない等、症状が続く様でしたら医師または看護師に御相談下さい。
  • 上肢・下肢ともに、リンパ浮腫の症状がない方にも、相談やセルフケア指導等を行っています。
  • 主治医の許可があればリンパケアルームの予約は可能です。

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外科的治療:リンパ管静脈吻合術

ICG蛍光リンパ管造影法という検査を行い、リンパ管の位置や、リンパ管の流れに障害がないかを調べる事が出来ます。
リンパ管静脈吻合術は、リンパ液が皮下組織にうっ滞している部分より、上流側のリンパ管と静脈を顕微鏡下で繋いで(バイパスを作る)流れを改善する目的で行われる手術です。

(複数箇所のリンパ管と静脈のバイパスを作ります。)

リンパ管の状態によって効果の差はあります。

当院では、形成外科でリンパ管吻合術を行っています。

(保険適応、入院が必要となります。)

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