リンパケア室
リンパケア室
今井洋文
リンパケア室室長
形成外科副医長
がん治療においては、所属リンパ節の郭清や放射線療法、またはリンパ管を含む組織切除が必要になることがあります。それにより体液の一部であるリンパ液の流れが滞るとリンパ浮腫を発症します。リンパ浮腫は慢性進行性で、気がついた時には重症化していることも多い疾患です。
がん専門病院であるがん研有明病院では、以前よりリンパ浮腫治療に積極的に取り組み、2009年にはリンパケア室を開設して、初代室長の宇津木久仁子先生を中心に多くのリンパ浮腫患者さんの治療を行ってきました。
宇津木先生と2代目室長の関先生のご退任に伴い、この度3代目室長に就任いたしました。近年、リンパ浮腫に対する外科治療(リンパ管静脈吻合、リンパ節移植)は保険診療で行える低侵襲で効果的な治療として急速に発展しています。顕微鏡下の脈管吻合を専門とする形成外科が主にリンパ浮腫外科治療を担い、私も手術と保存療法を含めたリンパ浮腫治療に長年携わってまいりました。当院のリンパケア室は年間延べ4,800名以上の患者さんの治療を行う全国的にも大きな組織です。患者さんが安心して生活を送れるよう、ケア負担を最小限にできるよう支援をしていくことがリンパケア室の使命であり、研究から治療を通して、また多職種の医療者と連携してリンパ浮腫で困っている方に貢献できるように努めてまいります。
私たちの業務内容 (保険診察)
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- 術後のリンパ浮腫予防指導(入院中、退院後初回外来時)
- リンパ浮腫の治療
- 状態の把握 (InBodyによる細胞外水分量の測定、周囲径の測定)
- 生活指導
- 弾性着衣の選定
- 弾性着衣指示書の発行
- 弾性包帯の装着
- 用手的リンパドレナージ
受診方法
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初診の場合は、主治医の紹介が必要です。(前回受診から1年以上経っている場合は初診となります。)主治医にリンパケアルーム受診希望の旨をお伝えいただき、予約を入れてもらってください。
再診の場合(1年以内の場合)は、以下の方法があります。
- リンパケア室受診時に次回の予約を直接お取りになる。
- 前回リンパケアルーム受診より1年以内であれば、再診予約センターで予約をおとりください。
- 再診の日程変更は、再診予約センターに電話して頂き、そこで調整できない場合は、リンパケア室から患者さんに折り返し電話させて頂きます。
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また、近隣の施設で治療を受けたい場合や、自費治療をご希望の場合は、紹介状をお書きしますので、主治医あるいはリンパケアルーム看護師にご相談ください。
- リンパケアルームでは、常時3人のセラピストの資格を有する看護師が対応しております。またリンパ浮腫外来の医師と常に連携し、相談しながら治療にあたります。
- 蜂窩織炎の場合は、投薬や入院が必要になる場合があり、主科での治療となりますので、主科にご連絡ください。
- リンパ浮腫に対する手術治療については、形成外科でリンパ管-静脈吻合術、リンパ節移植などを行っております。手術の適応の有無については形成外科医師の診断によります。治療対象かどうかの検査や手術を希望される方は、主治医、あるいはリンパケアルーム看護師にお尋ねください。
患者会との連携
当病院には、リンパスマイルという患者会があります。年4回対面あるいはオンラインで、情報交換、情報発信をしています。がん研HPに参加方法などございますので、気軽に御参加ください。リンパ浮腫外来の医師あるいはその他の医療者も参加しています。
関連リンク
- リンパスマイル
- リンパ浮腫について知っておきたいこと
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