がんと上手に付き合うためのヒント
利用できる制度を知りたい
病気や治療と付き合うようになって、「何か利用できる制度があるのかなぁ」と思うことがあるかもしれません。各種制度には利用条件があり、申請手続きが必要になります。まずは、自分が該当しそうな制度があるかを知っておくことは大切です。
ここでは、主な制度について解説します。
●高額療養費制度
みなさんが加入している健康保険では、1ヶ月間に支払う医療費の自己負担限度額が設定されています。
高額療養費制度は、支払う医療費が自己負担限度額を超えたときに、超えた額を支給する制度です。
●傷病手当金
会社員や公務員の方が、病気やケガのために仕事を休んで収入が減少した場合に、申請して給付を受けるための制度です。
国民健康保険加入者は、対象外となります。ただし、保険者が市区町村以外で「国民健康保険組合」の場合には、給付の内容は異なりますが「傷病手当金」の制度がある場合もあります。加入している国民健康保険組合にご確認ください。
●介護保険
病気や高齢によって介護が必要な状態と判断された場合に、医療・福祉サービスを受けることができる制度です。
●身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、法の別表に掲げる障害程度に該当すると認定された方に対して交付されるものです。各種の福祉サービスを受けるために必要になります。身体障害者障害程度等級表により1級から7級までの区分が設けられています。
●障害年金
障害年金は、国民年金(主に自営業者などが加入)と厚生年金(会社員・公務員などが加入)の加入中の病気やケガで障害が残った場合に、国民年金から「障害基礎年金」、厚生年金から「障害厚生年金」が支給される年金制度です。
●心身障害者医療費助成
重度の障害がある者に対して、医療機関を受診した場合にかかった医療費の一部を助成する制度です。
自治体により対象者や費用負担が異なります。
●ひとり親家庭等医療費助成
ひとり親家庭の方(親・子)が医療機関を受診した場合に、支払った医療費またはその一部を助成する制度です。
自治体によって、所得制限や自己負担の有無は異なります。
●小児慢性特定疾病医療費助成
小児慢性特定疾病の診断を受け、長期的な治療が必要な児童に対して、患者さんやその家庭の負担軽減を図るため、その医療費の自己負担分の一部を助成する制度です。
●医療費控除
医療費控除とは、1年間(1月〜12月)で支払った医療費の合計が一定の金額(10万円 または 所得の5%)を超えたときに、その医療費を基に計算した金額分の「所得控除」を受けることができ、所得税が軽減される制度です。支払った医療費が戻ってくるわけではありませんのでご注意ください。
●生活保護
生活保護制度は、生活に困窮している方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障すること共に、自立を助長することを目的としています。
●ウイッグ・胸部補正具等の助成制度
ウィッグ(かつら)や補整具の購入費の一部を助成し、がん治療に伴う外見の変化による不安や悩みを軽減し、自分らしい生活を送ることができるようにすることを目的としています。自治体による制度です。お住まいの市区町村の役所でご確認ください。
●小児・AYA世代のがん患者等の生殖機能温存治療費の助成制度
将来子どもを産み育てることを望む小児・AYA世代のがん患者さんなどが、希望をもってがん治療等に取り組めるように、がん治療の前に卵子や精子、受精卵、卵巣組織の凍結保存を行う治療等の費用の一部を助成する制度です。
詳しくは、厚生労働省ホームページでご確認ください。
●がん研有明病院のなかの主な相談窓口
- がん相談支援センターの医療ソーシャルワーカーにお気軽にご相談ください。
病院1階がん情報コーナーに、傷病手当金や障害年金などに関する資料を準備しています。ご自由にお持ちください。

