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診療科・部門紹介
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超音波診断・IVR部

超音波診断・IVR部

最終更新日 : 2023年8月22日

超音波診断・IVR部とは超音波診断(検査)について|IVR(画像下治療)について|スタッフ紹介

Interventional Radiology ; IVR(画像下治療)について

Interventional Radiology(インターベンショナル・ラジオロジー)は、画像誘導下におこなう診療手技の総称です。適切な日本語表記がないまま、IVR(アイ・ヴイ・アール)と略称されてきましたが、みなさんのご理解を得やすくするため、“画像下治療”と日本語表記されるようになりました。なお、日本ではInterventional Radiologyを“IVR”と略しますが、国際的な略称は “IR”です。

Interventional Radiology;IVR(画像下治療)では、X線透視、超音波、X線CTあるいはMRIといった画像診断装置を用いてからだの中を透見しながら、経皮的あるいは経管的に病巣に到達し、針やガイドワイア、カテーテルなどのデバイスを、体外から遠隔操作して、さまざまな診断・治療手技をおこないます。しばしば病巣への到達および診療手技自体に内視鏡が併用され、内視鏡下IVRとも呼ばれます。

Interventional Radiology;IVR(画像下治療)は、からだへの侵襲性が少ない(低侵襲性)、速やかに効果が得られる(迅速性)、さまざまな病態に対応できる(多様性・汎用性)を特徴としています。

関連リンク

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がん研有明病院におけるInterventional Radiology;IVR(画像下治療)

がん研有明病院では、2016年にがん研パワーアッププロジェクトにより新棟がオープンし、この新棟2階にIVR(画像下治療)を専門に行う部門が拡充されました。

新棟2階案内板
新棟2階案内板

IVR21,22室には、多目的X線透視装置、内視鏡装置、超音波装置が備えられ、呼吸器系・消化器・胆膵系そして泌尿器系の内視鏡下IVRを主体として、画像ガイド下生検など多目的用途に用いられています。

IVR21.22室
IVR21.22室

IVR23室には、血管造影装置とCTが機能的に動作するAngio-CT装置と超音波装置が備えられており、主に超音波診断・IVR部で担当する様々なIVRが行われています。

IVR23室
IVR23室

超音波診断・IVR部で担当しているIVRの種類

超音波診断・IVR部で主に担当しているIVRは、症状緩和を目的としたIVR、抗腫瘍効果を目的としたIVR、そして診断や治療(手術療法や薬物療法)を補う支持的IVRに大別されます。

症状緩和IVR

  • 栄養管理・疼痛緩和を目的とした中心静脈アクセス、中心静脈ポート造設
  • 体液腔液体貯留(胸水・腹水・心嚢液)、リンパ嚢腫、膿瘍などに対する経皮的ドレナージ
  • さまざまな原因による出血に対する止血あるいは腫瘍による疼痛緩和を目的とした血管塞栓
  • 腫瘍による疼痛緩和を目的としたアブレーション
  • がん性疼痛緩和を目的とした神経ブロック(内臓神経・上下腹神経叢など)
  • 難治性腹水に対する腹腔静脈シャント(デンバーシャント™)造設
  • 血管閉塞による諸症状に対する血管形成・血管ステント留置(大静脈、静脈、門脈)
  • 経頸部食道胃管挿入(PTEG)
  • 経皮的胃瘻造設
  • 骨盤・下肢静脈の深部静脈血栓症に対する下大静脈フィルター
  • リンパ漏に対するリンパ管造影・塞栓

抗腫瘍IVR

  • 肝動脈(化学)塞栓
  • 肝動注リザーバー・カテーテル留置
  • 外頚動注リザーバー・カテーテル留置
  • 超選択的動注化学療法(肝・頭頸部)
  • 腫瘍に対するアブレーション(RFA)

抗腫瘍効果を目的としたIVRには、肝悪性腫瘍に対する肝動脈化学塞栓(そくせん)療法や、肝悪性腫瘍や頭頸部がんなどに対する動注化学療法、肝がんに対するラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法やマイクロ波焼灼療法および腎がんに対する凍結療法といった腫瘍アブレーション療法があります。肝動脈化学塞栓療法は、腫瘍の栄養動脈から抗がん薬と塞栓剤を注入して腫瘍を壊死(えし)におちいらせる治療で、わが国で開発され、現在(2022年4月)世界的に肝細胞がんに対する標準治療の一角を支えています。

動注化学療法は、抗がん薬を腫瘍栄養動脈に選択的に注入し、高濃度の薬剤を分布させて抗腫瘍効果を高め、薬剤を局所的に使用することで全身的な副作用の軽減をはかろうとした治療で、悪性肝腫瘍や頭頸部悪性腫瘍に適応されています。血管内にカテーテルと呼ばれる細い管をあらかじめ留置し、リザーバーという器具に接続してこれを皮下に埋め込んでおこなうリザーバー動注化学療法では、反復的あるいは持続的な治療を入院せずに実施することができます。

腫瘍アブレーションには、専用の針を画像誘導下に腫瘍あるいは腫瘍の近傍へ経皮的に刺入し、ラジオ波やマイクロ波によって焼灼する(ラジオ波焼灼療法・マイクロ波焼灼療法)、あるいはアルゴンガスを用いて針の先端を超低温にして腫瘍を凍結させる(凍結療法)があります。これまではラジオ波焼灼療法,マイクロ波焼灼療法が肝悪性腫瘍に,凍結療法が小径腎癌に承認,保険収載されているのみでしたが、2021年12月にラジオ波焼灼療法の適応が、小径腎がんや、標準治療に不応・不適の肺悪性腫瘍 ・悪性骨腫瘍 ・類骨骨腫 ・骨盤内悪性腫瘍 ・四肢、胸腔内及び腹腔内に生じた軟部腫瘍にも拡大されており、がん治療に貢献するものと考えられます。

支持的IVR

  • 化学療法や栄養管理を目的とした中心静脈アクセス、中心静脈ポート造設
  • 組織採取を目的とした画像ガイド下経皮的生検(深部臓器)
    (乳腺に対するマンモトーム生検や超音波ガイド下吸引式生検はレディースセンター内の専用室でおこなっています。また甲状腺・副甲状腺や乳腺、表在リンパ節・表在性腫瘍に対する超音波ガイド下生検は、超音波検査室で実施しています)
  • 拡大肝切除術前処置としての門脈塞栓(PTPE)
  • 骨盤・下肢静脈の深部静脈血栓症に対する周術期下大静脈フィルター(IVCフィルター)
  • 化学療法による血小板減少症に対する部分的脾動脈枝塞栓(PSE)
  • 手術による血管処理を前提とした血流改変

関連リンク

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がん研有明病院におけるInterventional Radiology : IVR(画像下治療)の診療実績

IVR部門(IVR21〜23室)では、呼吸器系・消化器・肝胆膵(消化管)系そして泌尿器系のさまざまなIVRが実施されており、2022年度集計では5385件(2021年度4,955件、2020年度4,054件)のIVRが行われました。それぞれの診療科で実施されているIVRの詳細は、各診療科のページをご参照ください。

IVR部門(IVR21〜23室)で超音波診断・IVR部が担当したIVRは、2022年度集計で1849件(2021年度1527件、2020年度1,163件)で、レディースセンター内の専用室でおこなわれる乳房生検や、超音波検査室で超音波診断・IVR部医師によっておこなわれる乳腺、甲状腺、表在リンパ節・表在性腫瘍に対する超音波ガイド下生検は、2022年度集計で751件(2021年度952件)でしたので、合わせて2515件のIVRに携わりました。

関連サイト

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