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診療科・部門紹介
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頭頸科

頭頸科

最終更新日 : 2023年4月11日

頭頸部がんとは|診療科の特徴|診療実績新患予約枠スタッフ紹介よくある質問

診療科の特徴

頭頸部カンファレンスによる診断および治療方針の決定

担当医師個人の独断による偏らない体制

頭頸部のがんをもった患者さんを中心に、担当医師のみでなく、診断・治療に関わる頭頸部外科医、放射線治療医、化学療法科医、放射線診断医、病理医などが検討した上で、総合的に診断し、治療法を提案しています。担当医師個人の独断に偏らない、それぞれの専門家によるより高質な医療を提供するのが目的です。がん研有明病院頭頸科では、カンファレンスを通して、頭頸部のがんをもった患者さんの診断や治療法が検討されます。

多層にわたるカンファレンス

ひとりの患者さんに対し、場合によっては数度にもわたり、話し合われ検討されます。これは診断・治療にかかわる医師たちの一致した意見をつくるほか、さまざまな医師からの指摘をうけることによって、より適切で安全な治療につながると考えています。たとえば、手術治療が適応となるような患者さんに対しては、外来での複数の頭頸科スタッフによる診察、方針決定のカンファレンス、術前に行われる術式に関するカンファレンス、実際に行われた手術内容の検証を主な目的とした術後のカンファレンスなどが実施されます。

専門医師による診断・治療

がんの治療に当たっては、画像診断、病理組織学的診断が必須です。頭頸部放射線診断学を専門とする医師を擁する放射線診断部門、病理部門、細胞診断部門とのタイアップを密にして、診断の正確性を向上する体制を整えています。

頸部食道進行がん
下咽頭早期がん

また、治療に関しては、頭頸部外科医、放射線科医、抗がん剤の専門である化学療法科医といった各治療の専門医によって患者さんへの説明や治療がおこなわれています。

多くの専門医による頭頸部がん患者さんへの関与により、以前にも増して安全で適切な治療ができるようになったと考えています。

丁寧な説明

病名、病状、当院での治療方針、治療の効果やリスク、後遺症・副作用など十分な時間をかけてのご説明を心がけています。患者さんにはきちんと正確な病名や病状をお話しします。それをせずに治療のよい面ばかりを強調する説明は行っていません。

手術パンフレット、DVDの活用

病気や術後の状態を一度も見たことのない患者さんやご家族にとって、頭頸部がんの手術はイメージがわきにくいものです。患者さんや看護師、事務の方々、医師などに協力していただき、さまざまな手術のパンフレットやDVDを作成、患者さんにお渡ししています。ほかの患者さんとまったく同じようにはならないものの、術前の心構えの方法の一つとしてDVDは分かりやすいと好評を得ています。

コミュニケーションに対する努力

たとえば、がんの手術により発声器官である喉頭を摘出せざるを得ない方がおられますが、頭頸科外来看護師が中心になって、電話での応対が難しい喉頭摘出者に対象を限定してE-mailまたはFAXによる対応をしています。

手術後遺症の緩和への介助

頭頸部がんの最大の特徴は、摂食、会話などに直接関与する部位であり、また首から上という衣服に覆われず、常に人目にさらされる場所に生じるがんであるという点にあります。頭頸部がんの治療では、これらの形態機能に多かれ少なかれ障害をもたらすことは避けられませんが、腫瘍が進行していればいるほど、発声機能喪失や、咀嚼・嚥下機能低下、顔面の変形など、治療後の障害は大きくなり、社会生活に大きなハンディキャップを負うことになります。必ずしも十分ではないかもしれませんが、これら手術後遺症を緩和するため努力しています。たとえば、手術前と同様な100%の回復を期待するものではありませんが、頸部手術後の拘縮や運動障害に対しての頸部リハビリテーションや、摂食嚥下障害に対するリハビリテーションを看護師が中心になって入院中の患者さんを対象に積極的に関与しています。

また、がんの治療によって喉頭摘出をせざるを得なかった患者さんに対して、適応を考慮した上で、声帯のかわりに食道と気管の間に発声のためのチューブ(シャントチューブ:プロヴォックス)を留置する治療も積極的に行っております。

頭頸部がんの治療成績

がん研有明病院で実施される頭頸部腫瘍関連の年間の手術件数は約650件(甲状腺疾患含む)です。そのうちマイクロサージャリーによる再建手術は約120件おこなわれ、口腔や咽頭の欠損に皮弁を移植したり、下顎骨の切除後に肩甲骨や腓骨、肋骨を移植するなど困難な手術に取り組んでいます。その結果、従来は社会復帰が難しかったような患者さんのQOLも向上しました。

がん研有明病院頭頸科でおこなったマイクロサージャリーによる再建手術は、これまでに4000例を超え、その成功率は97%に達しています。拡大切除ばかりでなく、喉頭がんや下咽頭がんに対する音声保存手術にも、再建手術のテクニックはいかされています。また、咽頭早期癌に対する経口腔的内視鏡手術(ESD・TOVS・TORS)も積極的におこなっています。

手術以外の治療にも力を入れています。放射線科とチームを組み、副作用を極力少なくするように照射範囲を精密に管理したり(IMRT)、化学療法を併用した放射線治療など臓器温存治療も取り入れています。難治性のがんに対しての抗がん剤治療を導入するなどです。

診断の分野でも近年の進歩はめざましく、NBI内視鏡、CT、MRI、エコーを駆使して、腫瘍の拡がりを的確に知ることができます。検査に要する日数の短縮にも努力しています。

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