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診療科・部門紹介
診療科・部門紹介

婦人科

婦人科

最終更新日 : 2015年5月15日

婦人科とは|診療科の特徴|診療実績スタッフ紹介

診療科の特徴

私たちは、化学療法科や放射線科の助言を得つつ、婦人科医が責任を持って手術・化学療法・放射線療法などの治療手段のなかから、患者の皆様の状況に応じて、最適な治療方針を決定し、それを安全に実施するシステム(集学的治療)を構築しています。

特徴

  1. 個別化治療―個々の患者さんのがんの特徴、身体的精神的状況、要望に合わせた治療。
  2. 正確な細胞診断、組織診断に立脚したがん治療。
  3. 治療後の検診―再発の早期発見。
  4. がん治療に伴う後遺症・合併症によるQOL低下を予防(内分泌・骨外来、リンパ浮腫予防外来、また脱毛などに対応する帽子 クラブなど)。

私たちが計画している臨床研究

  1. 子宮頸がん臨床進行期。b1期に術前化学療法(NAC)を用いて、治療成績を損なうことなく縮小手術を適用し、後遺症(神経因性膀胱による排尿障害など)を軽減する。
  2. 子宮頸がん臨床進行期。Ib2(bulky)-、IVa期の治療成績を改善するための、同時的化学放射線療法(CCRT)は日本人についてもアメリカ人と同じく有用か、もし有用ならどういう化学療法のレジメンを用いるべきか。タキソールとシスプラチンを毎週一度併用投与する第I相、第II相試験が開始された。
  3. 子宮体がんの根治手術に含まれる傍大動脈リンパ節郭清は、診断的意義のみならず治療的意義もあることを証明できないか。
    あわせて、手術照射を行わず、術後化学用法(タキソール+カルポプラチン)の有効性も検討している。

先進医療:「子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術」

1. はじめに

先進医療とは厚生労働大臣が承認した先進性の高い医療技術のことで、高度な技術を持つ医療スタッフと施設設備を持つ保険医療機関で行うことが許されています。2015年2月より当院において子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術を先進医療として行うことが認可されました。

2. 腹腔鏡下広汎子宮全摘出術の実際

手術方法はまず臍内に筒(12o)を挿入し、そこから腹腔鏡下手術に使用する自動従圧式送気装置を使って腹腔内に炭酸ガスを送り、手術に必要な操作空間や視野の確保を行います。つづいてスコープを挿入して腹腔内を観察し、腹壁より腹腔鏡手術用の細い筒(5o)数本を挿入して、その筒を通して細長いマジックハンドのような道具類(さまざまな種類の鉗子、電気メス、超音波メス、吸引洗浄管など)を挿入し手術を行います。腹腔内で行われる手術操作、摘出される範囲などは開腹手術でも腹腔鏡下手術でも全く変わりません。

3. 腹腔鏡下広汎子宮全摘出術のメリットとデメリット

メリット

通常の開腹手術では20cm以上の傷ができるのに対し、腹腔鏡手術では5~12mmの傷が数か所つく程度であり傷を縮小させることが可能です。また術後の痛みの軽減や、手術全体で被るダメージを軽減できる可能性があり、その結果入院期間を1週間〜10日間(通常の開腹手術では約3週間の入院期間が必要)程度に短縮することが可能と考えられます。

しかし、腹腔鏡下手術の利点は、傷の縮小や早期回復だけではありません。腹腔鏡下手術は深部到達能に優れ、拡大視可能であり、骨盤を扱う婦人科手術に適していると考えられます。つまり、骨盤底での手術操作に関して、腹腔鏡下手術の方が開腹手術より有利な点も多いのです。

デメリット

腹腔鏡手術は、開腹操作よりも1-2時間程度余分に時間がかかることが予想されます。また、開腹操作では予想できないような有害事象(モニタ視野外の他臓器損傷など)がまれに生じることがあります。腹腔鏡操作中に困難な局面に遭遇した場合や不測の事態が予想される場合は、直ちに開腹に移行し、通常の開腹広汎子宮全摘出術に切り替えることで安全性を担保します。

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