がんに関する情報
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Radixact

Radixact

最終更新日 : 2023年4月17日

当院で、2021年4月から臨床稼働した放射線治療装置です。ヘリカルCT技術と放射線治療技術を融合したもので、診断用CTのようなドーナツ状の装置内の中に治療用のX線を発生させる直線加速器(リニアック)が搭載されています。寝台が進むと同時に、360°方向から放射線を照射することにより強度変調放射線治療(IMRT)を行います。頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、肉腫などさまざまな症例を対象としています。

特徴1 広範囲の腫瘍、複数部位を治療することができる

寝台を移動させながら治療を行うため、最大で135cmの範囲を一度で治療することが可能です。 従来のリニアックでは複数回に分けて治療していたものもRadixactでは一度に治療することが出来ます。

特徴2  MVCTを用いた位置合わせ 

RadixactはCT撮影と治療を同一機構で行うので、精度の高い位置合わせを行うことが出来ます。毎回の治療直前に撮影するMVCTで画像誘導放射線治療(IGRT : Image guided Radio Therapy)を用いた治療を行います。

特徴3 最適なタイミングでの再計画が可能

治療時に取得したMVCTから腫瘍の形状や大きさなどの変化に逸早く気づくことが出来ます。腫瘍の形状などに大きな変化が生じてきた場合には、再度治療計画を立案するなどして最適な放射線治療を行います。

特徴4 シンクロニー機能を用いた動体追尾照射

シンクロニー機能とは動く腫瘍に対して安全に放射線治療を行うための3つの役割(追尾・検出・補正)を担う技術です。呼吸などで移動する腫瘍をカメラ・X線で監視し、その情報をもとに追尾して照射を行います。この技術を用いることで放射線を照射する範囲を小さくすることができ、副作用の少ない放射線治療が可能となります。 当院では現在前立腺がんに対して体内留置マーカー(金マーカー)を用いた追尾照射を行っています。治療中にX線画像を一定の間隔で撮影することで、「金マーカー位置を取得→位置モデルを構築→位置補正」を行い、前立腺の動きに対して自動追尾を行うことが可能です。呼吸や体内環境(尿量、ガス、便)筋肉の緊張や弛緩などによって位置変動があると言われる前立腺に対して、より高精度な治療を行うことが可能です。金マーカーは1回の刺入により2つのマーカーを留置する手法で行います。それ以外は通常の前立腺の放射線治療と同じ流れで行っていきます。

シンクロニー機能を用いると、体表面LEDマーカーを使用した呼吸同期も可能であり、今後のニーズに合わせて準備をしていく予定です。

図1. 複数部位を照射した際の線量分布
図2. 位置合わせの画面
左側が位置補正前、右側が位置補正後
黄色で表示されているものがMVCT画像