がんに関する情報
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切除が困難な胃がんに対するコンバージョン手術

ロボット支援下手術

最終更新日 : 2024年12月4日

コンバージョン(conversion)手術とは、診断時に手術による根治切除が不可能と判断された進行癌に対して化学療法が良く効いて腫瘍が小さくなったり消失したりすることで、根治切除を目指せるようになり手術を行う治療です。最近では分子標的治療などの薬物療法の開発が進むとともに、コンバージョン手術を目指すことができる患者さんに遭遇するようになりました。コンバージョン手術の適応やその適切なタイミングについてはまだ明らかになって点も多いですが、外科と化学療法科が力を合わせて、治癒が困難とされてきた胃がんに対しても積極的に治療に取り組んでいます。

実際の症例を提示します。内視鏡検査では胃の中部から下部にかけて腫瘍を認め、CT検査では胃壁の外側に露出する大きな腫瘍として描出されました。さらに、門脈という肝臓に向かう太い血管の中にも腫瘍が入り込んでおり(門脈腫瘍栓)、切除不能と診断されました。しかし、化学療法を施行後、胃の原発巣は著明に縮小し、門脈腫瘍栓も消失ししたため、胃全摘術により根治切除を行うことができました。

このように、もともと延命のためと考えていた化学療法がとても良く効いて、最終的に手術で病巣を切除できることで治癒が期待できる治療戦略であり、患者さん一人ひとりの病状に応じた個別化された治療計画が重要です。

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