がんに関する情報
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上顎がん

上顎がん

最終更新日 : 2019年3月12日
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上顎洞がんについての知識

上顎洞がんとは

鼻腔(びくう)の中は鼻中隔(びちゅうかく)で左右に別れています。左右の鼻腔は外側にある3つのヒダで入りくんだトンネル状になっています。その外側に左右4つずつ空洞があり、これを副鼻腔(ふくびくう)といいます。上顎(じょうがく)洞(どう)は副鼻腔のなかで最大の空洞で鼻腔の外下方に位置し、この上顎洞に発生した悪性腫瘍を上顎洞がんと呼びます。

上顎洞がんは、胃がんや子宮がんなどに比べるとずっと少なく、かつては耳鼻咽喉科領域の悪性腫瘍の約1/4を占めていましたが、副鼻腔炎の減少とともに上顎洞がんは減ってきています。病理組織学的には扁平上皮がんという種類がほとんどです。

頚部リンパ節転移は少なく、最初から転移のある症例は15%以下です。

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症状

がんが上顎洞内に限局している状態では自覚症状がないことが多いのですが、副鼻腔に炎症が起きた時と同様の症状(鼻閉、膿性・血性の鼻漏など)を呈することもあります。

しかし普通はがんが増大し、上顎洞の骨壁を破壊して周囲の組織を圧迫してはじめて、その進展方向によって様々な症状をきたします。

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診断

上顎洞内にがんが限局している場合の診断はなかなか困難で、症状を自覚して来院する時にはすでにがんが進行している場合が多いようです。

1. 視診

鼻腔内や上あごにがんがみられることがほとんどです。

2. 触診

顔の腫れや、押した時の痛み、骨の欠損、はぐきや上あごの腫れに左右で差がないかどうかをみます。

3. 画像診断

画像診断:CT,MRIなどを組み合わせて判断します。

4. 病理組織検査

最終的診断は、細胞の検査(上顎洞の中に針を刺して細胞を吸引する方法があります)や生体検査(生検)といって組織を一部採って顕微鏡で診断する方法で行ないます。

細胞の検査より確実なのは生検で、がんが視診で見える場合はその一部を切除しますが、見えない場合は歯ぐきを切って、その下の上顎洞の骨に一部穴を開けて直接上顎洞の中を観察し、腫れている部分を一部切除して検査します。

検査は外来で行える場合がほとんどですが、組織採取が困難であると考えられるときは入院して全身麻酔下で行います。

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病期診断

上顎洞がんの進展よる分類は以下のように決められています。

T1 上顎洞粘膜に限局
T2 骨吸収/骨破壊(上顎洞後壁および翼状突起進展を除く)
T3 上顎洞後壁の骨、皮下組織、眼窩底/眼窩内側壁、翼突窩、篩骨洞
T4a 眼窩内容前部、頬部皮膚、翼状突起、側頭下窩、篩板、蝶形洞、前頭洞
T4b 眼窩尖端、硬膜、脳、中頭蓋窩、脳神経(V2除く)、上咽頭、斜台

以上のような局所の進展範囲の分類と頚部リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無を評価して病期が決められます。

上顎洞がんは発見されたときは症状が出現している場合がほとんどですから、リンパ節転移がなくてもstageV以上の進行症例が大多数を占めることが特徴です。

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治療法

上顎洞がんの治療を考える上で重要なポイントがあります。

一般的に進行がんには広範囲の外科切除で対処しますが、腫瘍近傍には眼球等の重要臓器があり、むやみに切除を大きくするわけにはいきません。治癒率を下げずに顔面形態や視機能を損なわないような工夫が必要となるのです。そこで上顎がんの治療では手術療法、化学療法、放射線療法の良いところを組み合わせた三者併用療法が広く行なわれています。当科での治療は病期と患者さんの年齢、全身状態(合併症)、社会的背景を総合的に判断して決められます。たとえば、化学療法を併用して放射線照射を行い、その治療効果に応じて追加の手術治療を組んでいくという具合です。超選択動注療法を選択する場合もあります。また、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の上顎癌に対する超選択的動注化学放射線療法の多施設共同試験にも参加しています。

腫瘍を含んだ上顎骨を摘出した場合は、欠損部に応じて腹部筋肉皮弁や骨を用いて、整容面を考慮し顔面形態の保存を図ります。

頸部リンパ節に転移が出現した場合は頸部郭清術(周囲組織とともに決められた範囲のリンパ節を一塊として取り除くこと)を施行します。

2015-2018年 手術件数

  再建術の有無など 2015年 2016年 2017年 2018年
症例数 小計 症例数 小計 症例数 小計 症例数 小計
鼻・副鼻腔
腫瘍手術
再建なし 4 13 3 13 5 7 11 16
再建あり 9 10 2 5

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再発の診断と治療

再発の確定診断には病理組織検査が行われます。ただし、深部再発で病理組織検査が不能であればCTやMRI、あるいはPET画像が代用されます。再発と判断されたときには治療が行われますが、摘出可能なら再手術が試みられます。しかしながらそういったケースは僅少で多くは限定的放射線治療や化学療法などの緩和的治療となります。

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当科における治療成績

生存成績とともに重要な因子である顔面形態・視機能の保存についても積極的に行なっています。

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