がんに関する情報
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機能温存を目指した胃を残す取り組み

最終更新日 : 2024年12月3日

「患者さんに優しい治療」を目指して:胃を残す取り組み

胃の手術後はどうしても一度に食べられる食事量が減るため、栄養状態が悪化したり、食べ物がすぐに小腸にながれていくことで、食事後に気分が悪くなったりすること(ダンピング症候群といいます)があります。腹腔鏡手術の対象となる早期胃がんは治る可能性が高く、手術後の消化管機能をいかに保ち、術後の障害をどう予防するが重要になります。そこで当院では、術後の生活の質の向上を目指し、がんの治療に問題ない範囲で残せる部分は極力残すように心がけています。

  • 幽門保存胃切除術:胃中部に存在する早期胃がんで、胃の出口(幽門)から5cm以上離れているものを対象としています。幽門を残すことで、食べ物がすぐに十二指腸へ流れ込まないようにし、また十二指腸液の逆流を防ぐことで手術後の生活の質の向上を図っています。胃の機能を保つことで、ダンピング症候群や体重減少を予防することが可能となっています。
  • 噴門側胃切除術:胃上部の早期胃がんもしくは食道胃接合部がんで、基本的に2/3以上の胃を温存できるものを対象としています。
    噴門側胃切除術では、われわれが生まれながらにして持っている食道と胃の間の逆流防止の機構を切除する必要があります。したがって、手術後に胃酸の逆流が起こることが長年の問題であり、この手術では手術前と同じような生活ができるように再建することが重要です。再建する方法はいくつかありますが、当院では食道と胃を直接つなぐ再建法を行っています。なかでも逆流などの後遺症を少しでも予防するために、【観音開き法】と呼ばれる吻合法を主に行っています。これにより、従来の再建法よりも逆流を起こしている頻度は大幅に減少しています。
  • 胃亜全摘術:胃上部に存在する早期胃がんを対象としています。
    当科ではなるべく胃を残すという基本方針のもと、胃の上部に存在する早期胃がんで、多くの施設で胃全摘術が施行されている病変に対しても、可能な限り胃を残す手術「胃亜全摘術」を行っています。
    胃亜全摘術では胃の入り口にある逆流防止弁と食欲などに関連するホルモンを分泌する胃の上部が温存できます。胃全摘を行った場合と比べて逆流症状や、術後の栄養状態が優れていると報告されています。

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