がんに関する情報
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子宮がん

子宮がん

最終更新日 : 2020年6月1日
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がん研有明病院の子宮がん診療の特徴

がん研有明病院の子宮がん診療の特徴

がん研有明病院婦人科は、化学療法科や放射線科の助言を得つつ、婦人科医が責任を持って手術・化学療法・放射線療法などの治療手段のなかから、患者の皆様の状況に応じて、最適な治療方針を決定し、それを安全に実施するシステム(集学的治療)を構築しています。

特徴

  1. 個別化治療―個々の患者さんのがんの特徴、身体的精神的状況、要望に合わせた治療。
  2. 正確な細胞診断、組織診断に立脚したがん治療。
  3. 治療後の検診―再発の早期発見。
  4. がん治療に伴う後遺症・合併症によるQOL低下を予防(内分泌・骨外来、リンパ浮腫予防外来、また脱毛などに対応する帽子クラブなど)。

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子宮がんについての知識

子宮がんとは

子宮頸がんと子宮体がん

女性の生殖臓器である子宮は骨盤の中央に位置しており、その両側には左右の卵巣があります。子宮は、解剖学的に子宮の下部、つまり子宮の出口にあたる子宮頸部と、子宮の上部、子宮の袋の部分に相当する子宮体部より構成されています。子宮がんとは子宮の上皮性悪性腫瘍を指し、子宮頸部に発生する子宮頸がんと子宮体部に発生する子宮体がんに大別されます。 子宮体がんがほとんど全て腺がん(内膜腺由来)であるのに対して、子宮頸がんは扁平上皮がんと腺がんに分類されます。子宮頸がんにおいては、諸外国では扁平上皮がんが多いのに比べ、本邦では腺がんが多いのが特徴です。年間罹患数は、子宮頸癌11283人、子宮体癌16304人、年間死亡数は子宮頸癌2871人、子宮体癌2601人と増加傾向であります。(2018年)

図1
図1
図2
図2

子宮頸がんと子宮体がんにおける患者年令分布、発症頻度(図1)と年間死亡数の推移(図2)を示しました。

最も注目されるのは、子宮頸がんの発症が、20才台より急速に増加している点で、この病気が若い妊孕性を有する世代に重大な影響を及ぼしていることがわかります。幸いにしてこの世代の病変はほとんどが早期がんであるため、子宮温存が可能である場合が多いと考えられます。

一方、子宮体がんでは、50-60才を明確なピークとしており、閉経期前後から閉経期以降比較的早い時期の疾患であることがわかります

病因

子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスによる感染であることがかなり明確になってきています。

この感染に何らかの他の要因が加わり、発がんすると考えられています。感染は性行為によって発生し、それ以外の感染は極めて稀とされます。現在までのところ、感染から何年で発症するかは諸説があり、はっきりしていませんが、先(さき)の患者年令分布は性行為の開始年令と大きな関係があるとされます。

前がん病変である子宮頸部異形成(軽度、中等度、高度の3段階)を経て、がん化すると考えられており、がん組織はもちろん、異形成の組織よりも高率にヒトパピローマウイルスが証明されます。

なお、ヒトパピローマウイルスには100種類以上の型があり、一般にハイリスク型(16,33,52,58型など)とローリスク型(6,11型など)に分けられます。個々の症例における型決定は、子宮頸部細胞の採取(PCR法)などにより可能です。もちろんハイリスク型がより病変の進行を誘発しますが、異形成でハイリスク型のウイルスが検出された場合でも、がん化する確率は20%程度ではないか(諸説がある)と見られており、それほど高いものではないと考えられます。がん研有明病院婦人科は、「子宮頸部前がん病変患者のHPV型判定」を外来で実施しています。この検査方法についてのわかりやすい説明(HPV型説明)とより詳しい解説(HPV型解説)を掲載しました。

一方、子宮体がんはホルモン環境が主たる因子とされるエストロゲン依存性のI型と、非依存性のII型に分けられます。I型は、未婚、未妊、月経周期異常、多嚢胞性卵巣症候群、排卵障害、ホルモン剤服用などの危険因子があり、高エストロゲン状態が発症に大きな影響を与えると考えられています。また、I型は子宮内膜増殖症を前がん病変としており、異型を伴う子宮内膜異型増殖症と、伴わない子宮内膜増殖症に分類されます。子宮内膜異型増殖症は約20%が子宮体癌に進行するとされ、治療の対象になります。I型の大半が類内膜癌と言われる組織型であり、細胞異型、構造異型によって3つの異型度(悪性度)Grade1〜3に分けられ、子宮体癌全体の約80%を占め、比較的予後が良いとされます。類内膜癌Grade3は悪性度が高く、II型に分類されることがありますが、明確な結論はありません。II型は、類内膜癌以外の漿液性癌、粘液性癌、明細胞癌、神経内分泌腫瘍、未分化癌等が含まれます。前がん病変を介すことは少ないとされており、悪性度が高く、進行も早いため予後は不良とされています。

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診断

臨床症状

子宮頸がんでは、不正出血、接触出血が主体ですが、初期の場合は無症状のことがむしろ普通と考えられます。これら無症状患者の多くは子宮がん検診で発見されています。子宮体がんでは圧倒的に不正出血が多く、特に閉経期以降の出血という形で発見される場合が多いとされます。子宮内腔に腫瘍が存在するため異常な帯下を主訴とする場合もありますが、集団検診で発見される場合には無症状のことも多いとされます。

検査

1.細胞診
図2
図2

子宮がんにおける細胞診の役割は極めて大きいものがあります。婦人科領域における細胞診は子宮頸部(腟部)に対するものと子宮体部に対するものに分けることができます。

一般に、集団検診では、子宮頸部に対してのみ細胞診が行われる事が多く、子宮頸がんにおける診断率は99%以上という信頼性です。子宮体がんに関しては、頸部のみの検索では不十分で、その場合の発見率は約50%にすぎません(図2)。

従って、近年増加傾向にある、子宮体がんの早期発見の向上ためには、集団検診での体部の細胞検査が必須となりますが、コストの問題に加え手技上の問題もあり、あまり普及していません。子宮体部細胞診の子宮体がんの正診率は約90%とされています。子宮体がんではクラスI、 Uが正常を、Vは子宮内膜増殖症を、IV、Vはがんを概(おおむ)ね想定しています。

実際の手技には、子宮内膜吸引法、エンドサイト法などがあり、いずれも何らかの器具を子宮内腔まで挿入する必要があります。なお、子宮体がんの細胞診では、卵巣がんの13%前後、卵管がんの約50%が発見可能とされ、その他の腹腔内悪性腫瘍が偶発的に発見される場合もあります。

2.コルポスコピーとヒステロスコピー

コルポスコピーは、通常頸部細胞診による疑陽性以上の症例に対して行われます。

子宮頸部(腟部)病変に対しては、コルポスコピー(腟拡大鏡)で病変の質的診断をするとともに、このガイド下に狙い組織診(パンチバイオプシー)を施行します。コルポスコピーは単に病変を拡大するだけではなく、酢酸処理をすることにより、病変部と健常部を識別させることができます。

ヒステロスコピー(子宮鏡)は子宮内腔を観察するものですが、子宮内腔は潜在的な空間であるため、通常は何らかの液体もしくはガスによる子宮内腔の拡張が観察には必要となります。子宮体部の組織検査は、このガイド下に行うことも可能ですが普及しておらず、ブラインド(盲目下)での部分掻爬あるいは全面掻爬が一般的です。

3.円錐切除

一般に子宮頸部の高度異形成、微少浸潤がんを疑う症例を対象として行います。

子宮頸部の組織を円錐状に広範囲に切除し、得られた組織は連続的に切片が作成されるため、病変が全て切除されている場合は確定診断に至ります。

従って、この手技は、確定診断を導く検査法であると同時に、病変のマージン(辺縁)が十分切除されていれば、この手技で治療を終えてしまうこともあります。

実際の臨床の場では、様々な器具が使用されていますが、通常のメス(コールドメス)で切除し縫合する場合、レーザーメスを使用する場合、高周波電気(リープ)を使用する場合に大別されます。当院では麻酔をかけて施行するため、入院が必要です。

4.画像診断

MRIは今日必須の検査で、明確な浸潤がんの治療前では、子宮がんのほぼ全例に施行される傾向にあります。原発巣の状況、近接臓器(特に膀胱と直腸)との関係などがよく把握されるため、術前検査としての価値は極めて大きいと考えられます。CT及びPET(Positron Emission Tomography)は、原発巣に関する解析の他に、子宮外進展の有無の診断に用いています。遠隔転移の存在は治療方針に重大な影響を与えるため、可能な限り綿密に行われます。

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子宮頸部異形成のHPV-DNA診断

診断の対象

わたしもこの検査を受けたほうがいいんでしょうか?
子宮頸がんの検診で、軽度もしくは中等度の子宮頸部異形成と診断された方にお勧めしています。

子宮頸部異形成とは

がん検診を受けたら「異形成」だから3ヵ月後に再検査しましょうって言われて心配しています。
子宮頸がんでは、子宮頸部の正常な粘膜からがんができる過程で、途中に子宮頸部異形成という段階があると考えられています。
子宮頸がん検診はがんを初期に発見することを目的に行われていますが、がんばかりではなく子宮頸部異形成の段階で病気が発見され精密検査を勧められる場合もあります。
子宮頸部軽度異形成は大部分が治療なしで自然治癒してしまい、その全てががんへと進行していくわけではないので、切除などの治療はせずに、多くの場合経過観察されます。
最近の研究で子宮頸部異形成はヒト乳頭腫ウイルス(Human Papillomavirus;HPV)というヒトにイボをつくることで知られていたウイルスによって引き起こされることが明らかになってきました。
現在、HPVには約100種類の型・タイプが確認されています。
タイプというのは、ヒトでいうと人種にあたるものですが、大切なのはウイルスのタイプによって出来上がってくる病気にそれぞれ特徴があるということです。
子宮頸部異形成の場合、その組織中から見つかるHPVのタイプによってがんへの進行増悪の率がちがうことがわかっています。
そこで、子宮頸部異形成と診断された場合に、その病変中のHPVのタイプを調べることで異形成ががんへと進行していく危険率が予測できないものだろうかと考えられるようになりました。この試みを実践しているのが「子宮頸部異形成のHPV-DNA診断」です。

検査時の患者さんの負担

検査って大変なんですか?
通常の検診で行われている細胞診と同じ検体をつかい、細胞の中のHPV-DNA(ウイルスの遺伝子)を検出し、タイプを判定します。

治療方針の変更

検査の結果によって、治療が必要になることもあるんでしょうか?
検査の結果はその後の経過観察において参考とされますが、結果によって経過観察の方法や治療方針が変わることは原則としてはありません。私たちの研究結果では,高危険群に分類されているタイプのHPVが見つかった場合でも、それらの病変の80%は自然治癒しています。

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス

子宮頸部に感染しているHPVのタイプが判れば異形成の経過、運命が100%正確に予測できるかというと、残念ながら現時点ではまだそうではありません。しかし、HPVを検出、DNA診断することは従来から用いられている検査方法の補助診断方法として役に立つと考えられています。

集団検診、あるいは病院で行われている子宮頸がんの検査は、細胞診、組織診という方法です。これらの検査方法は、共に細胞や組織の形の上での異常から病気を診断しようという方法です。形のおかしな細胞・組織には性格にも異常があるというわけです。顕微鏡で観察して形のおかしな細胞を見つけ出し、形の異常の程度によって性格の異常の程度を診断していきます。

しかし、形から性格を判断しようとする方法には限界があります。従来の診断方法で同程度の異形成と診断されても、がんになっていくものもあれば、自然に消えてしまうものもあるわけですが、この性格の違いは形の上からだけでは判別できません。異形成と診断された場合には、皆さんに同じ割合、同じ回数で検診に来ていただき、同じやり方、同じ条件で念入りに経過観察を続けているのが現状です。

ここにHPVの型の情報を取り入れることによって、従来と同じように念入りな検診が必要な患者さんと、病変消失の可能性が高く検診を間引いてもかまわない患者さんとに分けることができないだろうかというのが私たちの第1の狙いです。本来必要がないかもしれないのに検査のために病院を受診する必要がなくなり、患者さんの負担が減るだろうと考えています。

また、こんな場合も考えられます。従来の検査方法で病変が消失していても、相変わらず高危険型のHPVが続けて見つかる場合、経過観察の手を緩めてはならないと判断できるかもしれません。HPV検査をすることによって、病気の潜伏的な進行増悪を見過ごしてしまうことを防ぐという第2の狙いです。

HPV検査の問題点

HPV6型、11型が見つかる病変はがん化しないということはほぼ間違いがないと考えられています。しかし、高危険型のHPVが見つかった場合、その異形成が確実にがん化するかというとそうではないのです。最もがん化の率が高いと考えられているHPV16型が見つかった場合でさえ、約20%にしかがん化は起こりません。HPV18型は欧米での研究から高危険型に分類されています。HPV18型は、先に述べました子宮頸部腺がんでは約50%に見つかりますので、確かに高危険型のウイルスと言ってよいと思います。しかし、病変の経過について研究がより進んでいる扁平上皮がんに限って言えば、話は違ってきます。がん研の患者さんについて調べてみると、HPV18型が見つかった扁平上皮異形成でがん化したものは1例もなく、すべて無治療で自然消失、治癒しています。

HPV52型、58型は欧米の報告ではがんから見つかることが少ないとされ、あまり注目されていません。しかし、日本ではHPV52型、58型ががん組織から高率に見つかる傾向があり、私たちはこれらHPV52型、58型を高危険型HPVと考えています。調査、研究がどこの国、どの地域で行われたかによって、高危険型に分類されるHPVの型が違ってきてしまう可能性があります。 日本人にとっての高危険型HPVをきちんと見きわめるためには、日本人の患者さんについての日本独自の研究がまだまだ必要だということになります。ハイリスクタイプのHPVに感染している異形成が子宮頸がんへと進んでいくという仮説を証明するためには長期間にわたる経過観察による研究が必要です。

私たちがん研 婦人科では、10年以上前からこの命題に取り組み、HPV16型、33型、52型、58型が見つかった軽度異形成は、それ以外の型のHPVが見つかった軽度異形成に比べてがん化の危険が数倍高いという結果を出しました。しかし、これら高危険型と考えられるHPVが見つかった異形成でもがん化するのは6-7人に1人です。

現在、同じ型のHPVを持っているのにがん化する病変と自然治癒する病変とがあるのは何故か、その違いを明らかにする研究に取り組んでいます。現在のところHPV検査はその結果だけで治療方針が決定されるような検査ではありません。また、現在広く行われている異形成の診断方法や、経過観察の方法を変えてしまう根拠になるものでもありません。高危険型HPVが見つかったからといって、それだけの理由で手術を行ってしまったとしたら、それは行き過ぎた治療といえます。

HPV検査は従来の検査方法と組み合わせることによって有用性を発揮します。細胞診、組織診とHPV検査を組み合わせて行うことによって、経過観察のための検診をより効率的に行い、皆さんの定期検診に費やす負担を減らせるのではないかと考えています。

子宮頸部異形成と診断された場合、従来の検査方法での検診に加えて、HPV検査の結果を参考としながら適正な検診間隔を考えていくことが、現時点における最良の治療方針ではないでしょうか。

説明文にて掲載している諸症状で思い当たる節があった場合など、がんについての疑問・不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

自己判断で迷わず、まずは専門家である医師の検診を受けることをお勧めします。

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治療

子宮頸がん

子宮頸がんでは子宮全摘術もしくは放射線治療が治療の原則です。しかし、若い世代の早期がん(IA期やIB期の一部)で妊娠を強く希望される患者さんでは、子宮温存手術が適応になる症例もあります。子宮温存手術には、円錐切除またはレーザー治療や子宮頸部広汎全摘術があります。 子宮頸部広汎全摘術は腹腔鏡下に子宮頸部を広汎に切除して、下腹部の小さな創から摘出し、腟と残った子宮とを縫合する術式です。子宮全摘術には単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術の3種類があり、切除範囲が徐々に広くなります。一般的には子宮頸がんIA期では準広汎子宮全摘術まで(リンパ節郭清を行う場合もある)、IB期以降の病期では広汎子宮全摘術(リンパ節郭清を含む)を行います。広汎子宮全摘術では膀胱子宮靱帯、基靱帯等の処理を行い、子宮周辺の組織を幅広く切除します。その結果、膀胱及び直腸関連の神経が広範囲に切断される場合があり、術後これらの障害が問題となる場合があります。V期以降の症例は一般的には放射線同時化学療法が行われます。IV期症例には放射線治療や化学療法が行われる場合が多いです。他には化学療法で、腫瘍の縮小を計った後、根治手術を行う場合もあります。また、当院では、子宮頸がんに対する腹腔鏡下手術を行っています。腹腔鏡下手術はその整容面や術後の回復の早さなど多くのメリットがありますが、全ての方を腹腔鏡で手術できれば良いというわけではなく、最も大切なことは安全に子宮頸がんの治療が行える事であると私達は考えています。そのため、その適応についてはお一人お一人慎重に検討させていただいております。

子宮体がん

子宮体癌治療は原則子宮の摘出です。しかし早期の子宮体癌(TA期)で妊娠を強く希望される患者さんでは、慎重に経過をみながらホルモン療法による子宮温存療法を行っています。手術は子宮全摘、両側附属器切除に加えて骨盤内及び傍大動脈リンパ節廓清が標準的な術式です。ただし、子宮頸部への浸潤を伴うU期症例に広汎性子宮全摘術を行う施設も多いです。

子宮体がんにおける所属リンパ節は、骨盤内リンパ節と傍大動脈リンパ節であり(子宮頸がんでは骨盤内リンパ節のみ)、両方の廓清が必要と考えられています。しかし、がん浸潤の浅い早期のもの、何らかの合併症を有する症例などに、リンパ節廓清を省略する場合があります。

早期子宮体がんに対しては、2014年4月1日より腹腔鏡下手術が保険となり、当院でも積極的に腹腔鏡下手術を行っています。また、当院ではロボット支援手術『ダビンチ』を用いた手術も行っています。『ダビンチ』は医師が患者さんから離れた場所で行った手術操作をロボットが正確に行います。腹腔鏡下手術同様に傷口が小さい他に、操作ポートの挫滅が少なく創の痛みが軽いのがメリットです。

V期またはIV期では、治療開始時に既に広汎な転移を認める症例においては、まず化学療法を行い、その後手術が可能になる範囲まで腫瘍が縮小する場合に、治療効果が期待できます。

リンパ節廓清の必要性

子宮体がんにおいては早期の症例にリンパ節廓清を省略しようとする動きも見られます。リンパ節廓清を省略できれば、リンパ浮腫などの問題も解決され、患者のQOLも改善されることになります。

しかし、リンパ節転移の有無を術前に察知するのは容易ではなく、リンパ節転移の有無により予後に大きな差があることが知られています。また、リンパ節転移があっても術後適切な治療をすれば、かなりの生命予後が得られることもわかってきています。従って、リンパ節廓清は、実質的な転移巣を除去する意味と、リンパ節転移を有するハイリスク群を同定し、これに対する補助療法をガイドするという役割を持っているといえます。

術後療法

子宮頸がんも子宮体がんも、リンパ節転移を有する症例、あるいは浸潤の深さ、腫瘍の大きさなどにより再発率が高いと考えられる症例に対しては、術後補助療法を行います。術後補療法には化学療法と放射線療法があり、患者さん一人一人の病状などによって適切と思われる治療をおすすめします。

治療成績と予後因子

子宮頸がんでは進行期によって治療成績がかわります。一般的には進行期があがるほど予後は不良ですが、当院では手術においては術式の改良や腹腔鏡手術など、放射線治療においては積極的な小線源治療の施行、化学療法においては分子標的薬の導入やご希望される患者様への治験など、日々根治性を高めるために努力をしております。

子宮体がんでは、組織の分化度が重要な予後因子となっています。子宮体がんの腫瘍組織像は、腺腔部分と充実部分よりの構成となっており、充実部分の多い(悪性度が高い)程、予後不良となります。手術でのリンパ節転移の有無、卵巣転移の有無も重要で、これらにより大きな予後の差がみとめられます。

また、近年では遺伝子変異による癌化が注目されており、マイクロサテライト不安定性(MSI)が一部の子宮体癌に関連していることがわかってきました。MSIはLynch症候群といわれる大腸癌のほか子宮体癌、卵巣癌、胃癌、肝胆道系癌、腎盂・尿管癌等の発症リスクが高まる遺伝性腫瘍の原因遺伝子とされております。当院でも子宮体癌の進行症例や再発症例に対してMSI検査を施行しており、近年発展してきている免疫チェックポイント阻害薬も治療戦略の一つとしております。それらの免疫チェックポイント阻害薬を含めた治験もいくつか取り扱っており、患者様ひとりひとりにあった治療を提供できるように日々精進しております。

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