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進行膵がんに対する集学的治療

進行膵がんに対する集学的治療

最終更新日 : 2020年6月25日

近年の化学療法の進歩により、膵癌の治療は手術と化学療法を組み合わせることが常識となってきています。当院では2000年代より、膵癌切除後の術後補助化学療法に積極的に取り組み、経験豊富な化学療法担当医により、大侵襲手術と言われる膵癌切除後も安全な補助化学療法を提供しています。

当院の使命である進行膵癌の治療成績向上のため、2015年以降、主要脈管(上腸間膜静脈、門脈、上腸間膜動脈、腹腔動脈)への浸潤が疑われる、解剖学的切除可能境界域膵癌(Borderline resectable pancreatic cancer, BRPC)に対して、術前補助化学療法も組み合わせて、補助化学療法(GEM+Nab-paclitaxel)→切除→術後補助化学療法(S-1)による集学的治療を実施しています。薬剤の選択には、有効性と同時に安全性を考慮する必要があり、本薬剤は、現時点で報告されている薬剤の中でも原発巣に対して十分な腫瘍縮小効果を期待でき、4コースの化学療法後に比較的短期間で膵頭十二指腸切除や膵体尾部切除が安全に施行可能であるという条件を満たしております。実際に、本試験を開始してからの切除率は良好で、8割以上の患者さんが安全に切除まで施行可能であり、今後治療成績の向上に寄与すると考えております。現在までに同戦略で100例の治療実績があり、以前の切除先行時代と比べて2倍近い長期生存成績を得ています。

切除可能境界域膵癌よりもさらに進行し、初診時点では切除不能である癌を切除不能癌(Unresectable pancreatic cancer)と呼びます。切除不能癌には、膵主病巣が局所で進行して技術的に切除出来ないもの(局所進行膵癌:UR-LA[膵癌取り扱い規約第7版])と、遠隔転移により切除しても根治にならないもの(遠隔転移膵癌:UR-M[膵癌取り扱い規約第7版])に分かれます。切除不能癌は長らく有効な治療法がないと言われていましたが、近年の化学療法の進歩に伴い、化学療法が長期奏効して腫瘍が縮小したり遠隔転移が消失したりなどして、切除が可能となった患者さんが少しずつ増えてきています(Conversion切除といいます)。このデータは、初診時に切除不能と診断されても、最終的に切除に持ち込める可能性があると信じて集学的治療に取り組む患者さんの大きな希望となっています。

また、進行度が比較的低い切除可能膵癌(腫瘍脈管への浸潤がない)の中にも、再発リスクの高い患者さんが存在することもわかってきています。2019年からは、解剖学的切除可能膵癌に分類される患者さんも個別に推定し、術前化学療法 (GEM+S-1) を導入しています。常に最新・最良とされる治療戦略を早期に導入し、最難治癌である膵がんと戦う患者さんをサポートして参ります。

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