がんに関する情報
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原発性肝がんの手術と成績

原発性肝がんの手術と成績

最終更新日 : 2020年6月24日

肝臓に発生する悪性腫瘍には、肝臓の細胞が癌化してできる「原発性」肝癌と、他の臓器から癌細胞が移ってきて肝臓で発育してできる「転移性」肝癌があります。原発性肝癌はさらに、肝細胞に由来する肝細胞癌と、胆管上皮に由来する胆管細胞癌に分けられますが、肝細胞癌が原発性肝癌の90%以上を占めているため、一般に肝癌といえば肝細胞癌を意味します。日本の肝細胞癌は、慢性のB型・C型肝炎ウィルスが原因となったものが90%ほどを占めています。他に、アルコール性肝障害も原因となりますし、最近では、メタボリック症候群と関連の深い非アルコール性脂肪性肝炎から発生する肝細胞癌も注目されています。

肝癌診療ガイドラインでは、肝障害度と腫瘍のサイズや個数に応じて、肝切除・ラジオ波などの局所治療、肝動脈塞栓術、全身化学療法、肝移植、緩和ケアを選択することが提唱されています。個々の患者さんにおいては、腫瘍の場所や悪性度(血管へ浸潤しているかなど)といった所見も踏まえ、治療方針を決定します。最も確実な治療法は、外科的切除だと考えています。肝細胞癌の切除には、系統的肝切除と呼ばれる腫瘍にいちばん近い門脈の流れる領域の肝臓を切除する術式と、肝組織をできるだけ温存する肝部分切除の2種類がありますが、腫瘍の状態や肝機能などを考慮して、それぞれの患者さんに最適な切除の仕方を選択しています。腹腔鏡下肝切除も適応となる事があります。昨年(2019年)までの肝細胞癌切除手術件数と、これまでに行った肝細胞癌の手術後の生存率を示します。

  • 図:肝細胞がん切除件数
  • 図:肝細胞がん切除後生存率

最近の臨床試験で、比較的小さくかつ体表から穿刺可能な病変に対するラジオ波焼灼術の長期成績が手術と同等であることが示されたため、当院でもラジオ波治療が可能な患者さんに対しては、こちらを積極的におすすめしています。

肝細胞癌は再発率が高く、切除術後2年以内に約70%で再発するといわれています。しかし、再発の約90%は残った肝臓内の再発であり、可能な限り再肝切除やラジオ波焼灼術などの治癒を狙った治療を目指します。これら治癒を狙った治療が困難な場合では、肝動脈塞栓治療や肝動注抗がん剤治療、抗がん剤による全身治療で少しでも長く癌を抑えることを狙った治療を行います。 当院では、肝胆膵内科・外科・放射線科など多診療科・多部署の連携で、個々の患者さんの状況に合わせた治療を提供しています。

腹腔鏡下肝切除

転移性肝腫瘍、肝細胞癌、その他肝良性腫瘍が主な適応となります。5mmから12mmのポート創(穴)を5か所程度設置し、高解像度カメラスコープ、腹腔鏡用鉗子、エネルギーデバイスを挿入して肝離断を行います。保険適応の拡大に伴い、かなり大きな肝切除も腹腔鏡下に実施できるようになりました。開腹と比べると創の総延長は3分の1以下で済み、疼痛が少なく、術後の回復も早いことから、我々も積極的に行っています。肝切除の術中診断に重要な触診ができない点が課題ですが、これを補うために、当科では術中造影超音波を全例施行し、ICG蛍光法も併用した正確な術中診断を追求しています。ただし、多発肝転移や大きな肝腫瘍を持った患者さんに対しては、まだまだ歴史の長い開腹術に利点があります。根治性・安全性・低侵襲性のバランスを最適化し、一人一人病状の異なる患者さんに合わせた最適な治療を提供できるよう努めています。当院では2019年末までに、310名の患者さんに腹腔鏡下肝切除術を実施しております。

腹腔鏡下肝切除

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