がんに関する情報
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子宮頸部異形成のDNA診断

子宮頸部異形成のDNA診断

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目次

Chapter.1:子宮頸部異形成のHPV-DNA診断のご案内

診断の対象

わたしもこの検査を受けたほうがいいんでしょうか?
子宮頸がんの検診で、軽度もしくは中等度の子宮頸部異形成と診断された方にお勧めしています。

子宮頸部異形成とは

がん検診を受けたら「異形成」だから3ヵ月後に再検査しましょうって言われて心配しています。
子宮頸がんでは、子宮頸部の正常な粘膜からがんができる過程で、途中に子宮頸部異形成という段階があると考えられています。
子宮頸がん検診はがんを初期に発見することを目的に行われていますが、がんばかりではなく子宮頸部異形成の段階で病気が発見され精密検査を勧められる場合もあります。
子宮頸部軽度異形成は大部分が治療なしで自然治癒してしまい、その全てががんへと進行していくわけではないので、切除などの治療はせずに、多くの場合経過観察されます。
最近の研究で子宮頸部異形成はヒト乳頭腫ウイルス(Human Papillomavirus;HPV)というヒトにイボをつくることで知られていたウイルスによって引き起こされることが明らかになってきました。
現在、HPVには約100種類の型・タイプが確認されています。
タイプというのは、ヒトでいうと人種にあたるものですが、大切なのはウイルスのタイプによって出来上がってくる病気にそれぞれ特徴があるということです。
子宮頸部異形成の場合、その組織中から見つかるHPVのタイプによってがんへの進行増悪の率がちがうことがわかっています。
そこで、子宮頸部異形成と診断された場合に、その病変中のHPVのタイプを調べることで異形成ががんへと進行していく危険率が予測できないものだろうかと考えられるようになりました。この試みを実践しているのが「子宮頸部異形成のHPV-DNA診断」です。

検査時の患者さんの負担

検査って大変なんですか?
常の検診で行われている細胞診と同じ検体をつかい、細胞の中のHPV-DNA(ウイルスの遺伝子)を検出し、タイプを判定します。

治療方針の変更

検査の結果によって、治療が必要になることもあるんでしょうか?
検査の結果はその後の経過観察において参考とされますが、結果によって経過観察の方法や治療方針が変わることは原則としてはありません。私たちの研究結果では,高危険群に分類されているタイプのHPVが見つかった場合でも、それらの病変の80%は自然治癒しています。

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Chapter.2:子宮頸部異形成のDNA診断とは

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス

子宮頸部に感染しているHPVのタイプが判れば異形成の経過、運命が100%正確に予測できるかというと、残念ながら現時点ではまだそうではありません。しかし、HPVを検出、DNA診断することは従来から用いられている検査方法の補助診断方法として役に立つと考えられています。

集団検診、あるいは病院で行われている子宮頸がんの検査は、細胞診、組織診という方法です。これらの検査方法は、共に細胞や組織の形の上での異常から病気を診断しようという方法です。形のおかしな細胞・組織には性格にも異常があるというわけです。顕微鏡で観察して形のおかしな細胞を見つけ出し、形の異常の程度によって性格の異常の程度を診断していきます。 しかし、形から性格を判断しようとする方法には限界があります。従来の診断方法で同程度の異形成と診断されても、がんになっていくものもあれば、自然に消えてしまうものもあるわけですが、この性格の違いは形の上からだけでは判別できません。異形成と診断された場合には、皆さんに同じ割合、同じ回数で検診に来ていただき、同じやり方、同じ条件で念入りに経過観察を続けているのが現状です。

ここにHPVの型の情報を取り入れることによって、従来と同じように念入りな検診が必要な患者さんと、病変消失の可能性が高く検診を間引いてもかまわない患者さんとに分けることができないだろうかというのが私たちの第1の狙いです。本来必要がないかもしれないのに検査のために病院を受診する必要がなくなり、患者さんの負担が減るだろうと考えています。 また、こんな場合も考えられます。従来の検査方法で病変が消失していても、相変わらず高危険型のHPVが続けて見つかる場合、経過観察の手を緩めてはならないと判断できるかもしれません。HPV検査をすることによって、病気の潜伏的な進行増悪を見過ごしてしまうことを防ぐという第2の狙いです。

HPV検査の問題点

HPV6型、11型が見つかる病変はがん化しないということはほぼ間違いがないと考えられています。しかし、高危険型のHPVが見つかった場合、その異形成が確実にがん化するかというとそうではないのです。最もがん化の率が高いと考えられているHPV16型が見つかった場合でさえ、約20%にしかがん化は起こりません。HPV18型は欧米での研究から高危険型に分類されています。HPV18型は、先に述べました子宮頸部腺がんでは約50%に見つかりますので、確かに高危険型のウイルスと言ってよいと思います。しかし、病変の経過について研究がより進んでいる扁平上皮がんに限って言えば、話は違ってきます。がん研の患者さんについて調べてみると、HPV18型が見つかった扁平上皮異形成でがん化したものは1例もなく、すべて無治療で自然消失、治癒しています。

HPV52型、58型は欧米の報告ではがんから見つかることが少ないとされ、あまり注目されていません。しかし、日本ではHPV52型、58型ががん組織から高率に見つかる傾向があり、私たちはこれらHPV52型、58型を高危険型HPVと考えています。調査、研究がどこの国、どの地域で行われたかによって、高危険型に分類されるHPVの型が違ってきてしまう可能性があります。 日本人にとっての高危険型HPVをきちんと見きわめるためには、日本人の患者さんについての日本独自の研究がまだまだ必要だということになります。ハイリスクタイプのHPVに感染している異形成が子宮頸がんへと進んでいくという仮説を証明するためには長期間にわたる経過観察による研究が必要です。

私たちがん研 婦人科では、10年以上前からこの命題に取り組み、HPV16型、33型、52型、58型が見つかった軽度異形成は、それ以外の型のHPVが見つかった軽度異形成に比べてがん化の危険が数倍高いという結果を出しました。しかし、これら高危険型と考えられるHPVが見つかった異形成でもがん化するのは6-7人に1人です。

現在、同じ型のHPVを持っているのにがん化する病変と自然治癒する病変とがあるのは何故か、その違いを明らかにする研究に取り組んでいます。現在のところHPV検査はその結果だけで治療方針が決定されるような検査ではありません。また、現在広く行われている異形成の診断方法や、経過観察の方法を変えてしまう根拠になるものでもありません。高危険型HPVが見つかったからといって、それだけの理由で手術を行ってしまったとしたら、それは行き過ぎた治療といえます。

HPV検査は従来の検査方法と組み合わせることによって有用性を発揮します。細胞診、組織診とHPV検査を組み合わせて行うことによって、経過観察のための検診をより効率的に行い、皆さんの定期検診に費やす負担を減らせるのではないかと考えています。

子宮頸部異形成と診断された場合、従来の検査方法での検診に加えて、HPV検査の結果を参考としながら適正な検診間隔を考えていくことが、現時点における最良の治療方針ではないでしょうか。

説明文にて掲載している諸症状で思い当たる節があった場合など、がんについての疑問・不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

自己判断で迷わず、まずは専門家である医師の検診を受けることをお勧めします。

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