食道がんの化学療法と実績
食道がんの化学療法と実績
化学療法とは薬を使った治療です。抗がん剤治療・薬物療法ともいわれます。
当院での食道癌化学療法の特徴
- 長年、多くの患者さんに化学療法を行ってきた実績があります
- 治療にあたるスタッフ医師は薬物療法専門医です
- 複数のスタッフが治療方針決定に参加しています
- 外科など他の専門医との緊密に連携し診療にあたります
- 医師・看護師・薬剤師・栄養士・ソーシャルワーカーなどがチームで患者さんを支えます
- 地元医療機関との連携を行い遠方でも安心して治療ができるように努めています
- 一般治療以外にも条件があえば新薬試験(治験)に参加できる可能性があります
- 患者さんへの親切な対応に心がけています
当科の診療実績
当院での実際
初診から化学療法開始への流れ
下記のような治療が選択されます。初回の化学療法は通常1週間ほど入院の上行います。
当院での主な化学療法の内容
手術前化学療法
化学療法の内容は、5FU+シスプラチン+ドセタキセルで、10日間ほど入院の上、点滴を行います。これを3週間ごとに3回行います。内臓機能が十分でない患者さんには、5FU+シスプラチンやFOLFOX療法を行います。これらも入院が必要な治療です。手術が可能な進行度第2−3期食道癌では手術のみよりも、手術前に化学療法を行うことで再発率の低下や生存率の改善が示されています。
化学放射線治療(放射線化学療法)
がんのひろがりが、食道とその周囲リンパ節までの場合、手術以外の治療法として患者さんが希望する場合は選択できます。手術で切除する代わりに放射線と化学療法を行うことで切除をせずに5年以上の生存が得られる方もいます。ただし、手術前抗がん剤後に手術を行う治療が第一選択で、化学放射線治療は手術を希望しない場合の第二選択となります。これは前者の方が、治療後の生存率はよいと考えられるためです。
化学療法は5-FU+シスプラチンを行い、同時に放射線治療を5−6週間行います。
転移を伴う進行食道癌・再発食道癌
化学療法は初回化学療法(1次治療)からまず行い、効果がない場合は、2次、3次化学療法に移行していきます。以下に当院で主に施行される治療レジメンを記載いたします。
(* 状態により選択される治療)
1次化学療法
食道癌の主な1次治療は下記になります
- 5FU+シスプラチン+抗PD-1抗体(ニボルマブまたはペムブロリズマブ)
- ニボルマブ+イピリムマブ
- 5FU+シスプラチン
- FOLFOX 中心静脈ポートが必要 2回目以後は通院で実施
2次化学療法
上記1次化学療法が無効な場合、主に外来通院で行います。外来通院点滴でパクリタキセルやドセタキセル点滴を行います。ただしニボルマブを受けたことのない方はニボルマブを行います。
3次化学療法
2次治療が無効な場合、全身状態を考慮してこれまで投与していない薬剤から選択して行います
2022年の主な治療導入数
FP療法 | 87件 |
FOLFOX療法 | 24件 |
DCF療法 | 57件 |
ニボルマブ療法 | 40件 |
パクリタキセル療法 | 26件 |
外来通院での化学療法
5FU、シスプラチンを行う場合は原則入院点滴になります。その他の薬物療法は入院せず通院で可能なことが多くなっています。
治療の効果
転移を伴う進行食道癌・再発食道癌では、初回化学療法でがんの大きさ(CTでの断面積)が半分以下に小さくなる可能性が初回治療は10人中4―5人(奏効率30−40%)です。化学療法をしない場合に比べ生存期間の延長が見込めます。一定の効果は認められますが、まだ満足できるものではありません。
新薬開発に力をいれています
当院では、条件が揃った患者さんにおいて、通常の治療以外に新薬の臨床試験(治験)の参加をお勧めすることもあります。新規薬剤の臨床試験(医師主導治験や、医師主導臨床試験)も増えています。詳しくは担当医にお尋ねください。
よくある質問
主な薬剤はどのようなものがありますか?
食道癌の化学療法に使われる薬剤は主に7種類あります。
- フッ化ピリミジン系:(5-FUなど)
- プラチナ系(シスプラチン/オキサリプラチン)
- ニボルマブ
- ペムブロリズマブ
- イピリムマブ
- パクリタキセル
- ドセタキセル
化学療法を受けるためにはどれほどの体力が必要ですか?
おおまかに下記の程度の体調が化学療法を受けるためには必要です
- 食事が十分に摂取でき、外来通院が可能な体力。
- 採血結果で骨髄や肝臓・腎臓機能など主要な臓器機能に大きな異常値を認めない。
- 手術の影響やこれまでの副作用が落ち着いている。
- その他の病気(糖尿病、高血圧、心疾患など)が落ち着いている。
元気な人程化学療法は効果がでやすいとされており、体力や内臓の機能が保たれていることが重要です。状態が悪い場合は、副作用を伴う化学療法を行うよりも症状を和らげる緩和治療を主体に行った方が良いとされています。