がんに関する情報
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直腸がん

各疾患別の放射線治療

放射線治療の概要

局所再発リスクが高い直腸がんに対しては、手術前に放射線治療を行うことで局所再発リスクの低下が期待できます。また、腫瘍を縮小させることで肛門温存率の上昇も期待できます。抗がん剤を内服しながら5~6週間で行う方法と、放射線治療のみを1週間で行う方法があります。

スケジュール

治療計画用CTの撮影から、治療の開始までの期間は1~2週間程度です。

治療計画CT

  • ベリーボード(右図)という固定具を使ってうつ伏せで行います。放射線が正常な腸管(小腸や大腸)に照射されると下痢などの副作用が出現する可能性がありますが、お腹をベリーボードの中央部のくぼみ(黄色の矢印)に落とすことにより、腸管に照射される線量を低く抑えることができます。

    また、膀胱を膨らませて腸管を押し上げることで腸管の照射される線量を低く抑える工夫も行いますので、一定時間の蓄尿をしていただいてから治療計画CTの撮影を行います。ただし、うつ伏せが難しい場合や鼡径リンパ節(太ももの付け根にあるリンパ節)を照射する場合などはこの固定具は使わず別の固定具を使用して仰向けの姿勢で行います。

  • ベリーボード

治療計画

治療は、三次元原体照射(3D-CRT)もしくは強度変調放射線治療(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)によって行います。照射方法の選択は、放射線治療担当医が病期などを考慮して決定します。3D-CRTでは、放射線を左右とお尻の方向から照射することによって、正常な腸管に照射される線量を低減しています。VMATは、3D-CRTよりも照射範囲や照射線量を調整し易く、腫瘍に近い腸管などの線量をより低減できるというメリットがあります。

図2. 3D-CRT(左)とVMAT(右)の治療計画
図2. 3D-CRT(左)とVMAT(右)の治療計画
3D-CRTでは矢印の方向から照射、VMATは治療装置が動きながら照射をすることで、正常な腸管に照射される線量を低減

放射線治療(リニアック)

治療期間中は毎回一定時間の蓄尿をしていただき、治療計画CTを撮影した時と同じ姿勢で治療を行います。治療の直前に、リニアックに付属する機器によりX線写真の撮影を行い、正確な位置合わせを行います。リニアックに付属する機器でCT撮影も行い、腫瘍の位置や膀胱内の尿量を確認しながら正確な治療を行います。1回の治療にかかる時間は15分程度です。

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