がんに関する情報
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緩和照射

各疾患別の放射線治療

放射線治療の概要

放射線治療の目的として、がんを治すために行う“根治照射”と痛みなどのがんによる症状を和らげるために行う“緩和照射”の二つがあります。緩和照射は、進行したがんやほかの部位に転移したがんが対象となります。たとえば、有痛性骨転移や肺、気管に転移したがんによる呼吸困難を改善する目的で行われます。特に、骨に転移したがんは強い痛みを伴うことが多いですが、放射線治療を行うことにより、短い治療期間と軽微な有害事象で、およそ7割程度の疼痛改善が期待でき、QOL(生活の質)の向上が図れます。

また、椎体転移に対する初回治療では脊髄に耐用線量近くまで照射されていることが多いですが、同じ部位に再発した場合においても、強度変調回転照射(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy) といった高精度な技術を用いることで、脊髄を避けて再照射を行うことができる例もあります。

スケジュール

治療計画用CTから約3日程度で治療の開始となります。また、症状により異なりますが、状態によっては計画CTの当日に照射を行う場合もあります。VMATを用いた照射の場合は、準備に時間を要するため、CT撮影から7~10日程度を必要とします。治療回数・期間は単回照射(1回/1日)や分割照射(5~10回/1~2週間)などがありますが診察時の患者さんの病状や全身状態によって決めています。

治療計画CT

治療計画CTでは、治療を行う体勢などを決めるため、15~20分程度の時間がかかります。可能な限り、治療時に負担がかからないような姿勢や固定具を用いて準備を進めていきます。

治療計画

椎体を照射する場合の多くは、体の前後から放射線を当てていきます(図上)。一方、再照射の場合は、VMATを用いた高精度な治療を行うことにより、脊髄の線量を最大限に低減させた治療計画の立案を行います(図下)。

図1. 胸椎に対する前後対向2門照射(上)と、VMATによる再照射例(下)
図1. 胸椎に対する前後対向2門照射(上)と、VMATによる再照射例(下)

リニアック

治療自体は、照射法によりますが15分程度(入室から退室まで)で終了します。治療中は仰向けの状態で動いてはいけないため痛みなどがある場合は、医師、看護師と相談し、痛み止めの服用を行い、無理なく安全に治療を進めていくようにします。

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