がんに関する情報
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膵がんの化学療法

膵がんの化学療法、治験・臨床試験

最終更新日 : 2020年8月11日

●主な化学療法について

  1. フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)療法:5-FU・イリノテカン・オキサリプラチンの3種類の抗がん剤に、5-FUの増強剤であるレボホリナートを加えた多剤併用の治療法です。2週間ごとに繰り返す治療ですが、1回あたり2日間かかるため、外来・在宅で治療を行うために、皮下に埋め込み型のポートを造設する小手術を行う必要があります。最も推奨度の高い治療のひとつですが、副作用(感染症・下痢・しびれ、など)の頻度も高く、十分な体力があり、全身状態が良好な方が対象になります。当院では、副作用を低減するために、当院主導で行った多施設共同試験の結果を踏まえ、予め修正を加えた投与法(modified FOLFIRINOX)で治療を行っています。
    ・一次治療成績*:80例(2014-2017年):生存期間:17.1ヶ月 

    (*治療成績は、未治療の切除不能進行膵がん(局所進行+遠隔転移)を対象としたもので、治療を行った患者さんの全身状態やがんの状態には違いがあるため、他施設あるいは他治療と単純に治療成績を比較することはできません。)
  2. ゲムシタビン・ナブパクリタキセル療法(Gem/nab-PTX療法, GnP療法) 1回60-90分の点滴を、週1回で3週連続行い4週目を休む、4週間1コースのスケジュールで繰り返す治療法です。FOLFIRINOX療法と並んで、最も推奨度の高い治療法のひとつですが、副作用(感染症・しびれ、脱毛など)の頻度も高く、やはり、ある程度の体力があり、全身状態が良好な方が対象になります。
    ・当院での一次治療成績*(2015-2017年):生存期間中央値:14.1ヶ月
  3. ゲムシタビン・S-1療法(GS療法):術前化学療法として本邦の多施設共同研究で有用性が報告されている治療法です。当院では主として切除可能膵がんに対し、術前に本治療を2コース行っています。
  4. リポソーマルイリノテカン・5FU/LV療法(Nal-IRI/FL療法):2020年6月に保険承認された治療法で、先述のFFX療法からオキサリプラチンを外し、イリノテカンをリポソーム型イリノテカンに組み替えた、二次治療用*の併用療法です。FFXと同様に2週間ごとに繰り返す治療で、1回あたり2日間かかるため、皮下に埋め込み型のポートを造設する小手術を行う必要があります。イリノテカンをリポソームのナノ粒子に封入したのがリポソーム型イリノテカンで、抗がん剤をナノ粒子に封入することにより、抗がん剤をがん細胞が存在する組織により選択的に届けられるようにすることで、イリノテカンの副作用を軽減すると考えられています。

    *二次治療について:FFX療法とGnP療法は一次治療として確立した治療法ですが、二次治療に関しては、安全性と有効性が科学的に証明されないまま、十分な体力がありそうな患者さんに対して、みなし標準的に使われてきました。Nal-IRI/FL療法はゲムシタビンベースの一次治療後の二次治療として、FL療法と比して有効性が証明された治療法ですが、FFX療法と比較しているわけではないため、FFX療法との優劣はまだよく分かっていません。FFX療法と比べ、体力的な面で対象患者さんのすそ野が広がるものと期待されますが、FFX療法が十分できそうな患者さんに対してどちらを用いるかに関しては、今後の臨床データの蓄積が必要です。
  5. ゲムシタビン療法:長年、進行膵臓がんに対する標準治療とされていた治療法で、1回30-60分の点滴を、週1回で3週連続行い4週目を休む、4週間1コースのスケジュールで繰り返します。副作用が少ないため、高齢者や体力がやや低下している方でも比較的安全に治療が行えます。
  6. S1療法:ゲムシタビン療法と同程度の効果が示されている、飲み薬による治療法です。1日2回の服薬を4週継続した後、2週休薬するという6週間1コースの治療を繰り返します。最近は、手術後の補助化学療法(再発予防目的)や、Gem/nab-PTX療法が無効になったあとの二次治療として用いられています。

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