がんに関する情報
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肺がん

各疾患別の放射線治療

放射線治療の概要

肺がんは大きく非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられます。どちらも基本的には化学放射線療法がとられますので、入院しながら放射線治療を行うことが多いです。非小細胞肺がんでは1日1回で30回前後の治療を行うことが多いですが、限局した小細胞肺がんの場合は朝、夕に分けた1日2回で30回の治療を行う加速過分割法を用いることが多いです。

副作用などは、放射線を当てる範囲と量によってリスクは変わりますが、一般的な副作用として、放射線皮膚炎、放射線食道炎、放射線肺臓炎などがあります。

スケジュール

肺がんは呼吸によって腫瘍が大きく移動する場合があります。当院ではその評価と十分な対策を行うために、治療計画用CTを2日に分けて撮影することが多いです。治療計画用CTの撮影後、約1~2週間後に治療開始となります。

治療計画CT

1日目は、呼吸による腫瘍の動きの計測と治療時に使用する固定具の作成を行います。腫瘍の動きが大きい場合には、息を止めた状態で治療を行うことがあります。その場合は、安定した息止めを行うことができるように練習を行います。

2日目は、1日目に決定した呼吸法と固定具を用いて治療計画用CTの撮影を行います。医師の判断により、1日目に決定した呼吸法を変更する場合があります。

治療計画

肺がんの放射線治療では、副作用を減らすため、肺や食道、心臓等の正常臓器に放射線があたる範囲や量を低減させることを目指すとともに、標的とする腫瘍へ放射線があたる量をしっかりと担保することが重要となります。当院では病態の変化が激しい場合や、呼吸性移動対策を講じることが困難だった場合を除き、すべての治療計画に強度変調回転照射(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)を適応しています。VMATの適応により、従来は正常臓器の耐容線量(放射線が照射されても回復可能な線量)を守るために腫瘍の制御に必要な放射線の線量を担保することが困難であった症例においても十分な線量投与が可能となっています。

 図. 3D-CRT:三次元原体照射(左)とVMAT(右)の治療計画の比較
図. 3D-CRT:三次元原体照射(左)とVMAT(右)の治療計画の比較

リニアック

実際の治療は治療計画CT撮影時に決められた固定具、前処置に則って行われます。当院では肺がんの照射に際して全例で画像誘導放射線治療(IGRT:Image Guided Radio Therapy)を用い、日々の照射位置精度を担保しています。また、肺がんは体内での位置変動や腫瘍径の変化がしばしば見られるため、定期的に治療装置に付随する機器を用いてCT撮影を行い体内の状況を評価しています。必要時には治療装置による毎回のCTでの位置合わせや治療計画の再検討を提案しています。息止めで治療を行う場合は、患者さんの息が安定して止められる範囲内で複数回に分けて照射を行います。

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