がんに関する情報
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胃(リンパ腫)

各疾患別の放射線治療

放射線治療の概要

胃に限局したMALTリンパ腫は放射線治療のみで治癒が期待できます。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対しては、化学療法後に放射線治療を行います。放射線治療による副作用は食欲低下、吐き気などです。

スケジュール

胃は呼吸や内容物(食べ物やガス)によって、その形状が大きく変形する臓器です。その評価を行うために治療計画CTを2日間に分けて撮影を行っています。2日目の治療計画CTの撮影から約2週間後に治療開始となります。

治療計画CT

前述のように、胃は内容物の影響で形が大きく変化します。そのため、食事や飲水を一定時間控えていただいて、胃の中を空に近い状態にして治療計画CTの撮影を行います。

1日目は、治療時に使用する固定具の作成と呼吸による胃の動きや変形の確認を行います。放射線治療担当医の判断により、大きく息を吸った状態で呼吸を止めて(深吸気息止め, DIBH:Deep Inspiration Breath Hold)治療を行うことがあります。その場合には、安定して深吸気息止めを行うことができるように練習を行います。練習後、深吸気息止めでCT撮影を行います。

2日目は、1日目と同じ呼吸法と固定具を使用して、治療計画用のCT撮影を行います。1日目と2日目で胃の形状などが大きく異なる場合は、医師の判断で治療計画CTをもう1日追加する場合があります。

治療計画

治療は、周囲の正常臓器の線量を下げることのできる強度変調回転照射(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)で治療を行います。また、深吸気息止めを行うことで心臓と胃の距離が離れるため、より心臓に照射される線量を下げることが可能になります(図)。深吸気息止めで治療を行わない場合にも、心臓に照射される線量はVMATで治療を行うことで十分に下げることが可能です。

  図. 通常呼吸時(左)と深吸気息止め時(右)の胃と心臓の距離の比較
図. 通常呼吸時(左)と深吸気息止め時(右)の胃と心臓の距離の比較
深吸気息止めにより、通常呼吸時よりも心臓と胃の距離が離れます(ピンクのライン:心臓, 黄色のライン:胃)

放射線治療(リニアック)

治療計画CTの2日目と同じ固定具および呼吸法で治療を行います。毎回治療の前に、治療装置に付属する機器を用いてCT撮影を行い、胃の形を確認し正確な位置合わせを行ったうえで治療を行います。深吸気息止めで治療を行う場合には、安定して呼吸を止められる範囲内で何度か息止めを繰り返していただいて治療を行います。1回の治療にかかる時間は約20~40分ほどになります。

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