
診療科・部門紹介
遺伝子診断部
最終更新日 :
2025年4月8日
遺伝子診断部とは
森 誠一
遺伝子診断部長
研究本部・がんプレシジョン医療研究センター・がんゲノミクス研究部部長
遺伝子診断部では、臨床病理センターと連携のもと、がん組織やウイルスからDNAをとりだし、治療薬の適応を予測するために行われる個別化医療(コンパニオン診断)や、癌のリスク、ウイルスの感染状況を調べています。
また、臨床遺伝医療部との連携により遺伝性腫瘍診療を支え、臨床研究として遺伝子解析を行う医師の研究の実施あるいは補助を行っています。
なお、遺伝子診断部は、2015年3月12日付でISO 15189「臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項」の認定を取得しました。これは臨床検査室の国際規格であり、認定を受けた臨床検査室の検査値は国際的に通用することを意味します。ISO 15189の認定を維持していくため、今後とも継続的な改善を図り、検査の質の向上に向けた取り組みを続けていきたいと考えています。
診療内容
がん組織から抽出したゲノムDNAの解析
- RAS/BRAF遺伝子変異解析;
RAS(KRAS及びNRAS)、BRAF遺伝子を同時に検出することができ、大腸がん治療方針の個別化が可能になります。- 進行性大腸がんなどにおける抗EGFR抗体薬の適応の有無を判断(RAS遺伝子変異)
- 大腸がんにおける再発リスクの予測と化学療法選択の補助(RAS/BRAF遺伝子変異)
- 大腸がんにおけるリンチ症候群の診断の補助(BRAF遺伝子変異)
子宮頚部前がん病変におけるHPV-DNA診断
- HPVスクリーニング;子宮頚部から採取した擦過細胞を検体として、子宮頸部がんの発生に関与するハイリスクなヒト乳頭腫ウイルス(HPV)DNA感染を検出します。健診センターの女性コースとオプション検査、婦人科外来での検査を行っています。
持続感染の判断、治療時におけるモニタリング等に有用です。 - HPV-DNAタイピング検査;組織診でCIN1,CIN2と診断された子宮頚部擦過細胞を検体として、13種のハイリスクHPVの型別診断をすることで婦人科外来でのフォローアップに役立てています。
HBV-DNA定量
- B型肝炎ウイルス(HBV)感染の診断と治療のモニタリングの為にHBVのDNA量を測定しています。
- 免疫抑制・化学療法によるHBVの再活性化の監視にもHBV-DNA測定は必須となります。
各種プロジェクトの中継
- がん研有明病院内のがん組織バンクとして、同意を得た患者手術材料の一部を将来の研究のために登録・保管しています。各種研究プロジェクトの中継点としての業務を行います。
- 臨床研究実施の人的、技術的、知的補助を行います。
- 臨床遺伝医療部と連携し、遺伝子の大きな変異(欠失・重複)の検出や、メチル化(後天的な遺伝子変化)の解析を実施し、遺伝性大腸がん(リンチ症候群)に関わる遺伝子診断を診療に応用できるようにしています。
シークエンサー
(塩基配列決定)
DNA増幅装置
遺伝子変異解析装置
(Luminex)
遺伝子解析装置
(コバス5800)