印刷

診療科・部門紹介
診療科・部門紹介

細胞診断部

細胞診断部

最終更新日 : 2024年4月24日

細胞診断部紹介|診療科の特徴診療実績スタッフ紹介

細胞診断部紹介

おかげ様で細胞診断部が57年目を迎えました

わが国の細胞診の歴史は、がん研から始まりました。

千葉知宏
千葉知宏
細胞診断部 部長

細胞診とは、顕微鏡を用いてその形態から細胞の良性、悪性、腫瘍名(組織型)などを推定する検査法です。体の表面や体液から細胞を採取する剥離細胞診(喀痰や尿、子宮頸部スメアなど)と、細い針を用いて体表面に近い臓器(乳腺や甲状腺など)から細胞を吸い出す穿刺吸引細胞診などがあります。細胞診は低侵襲で比較的安全に検査ができるため、子宮頸がん検診・肺がん検診などのがん検診をはじめ、日常診療において病変の有無や腫瘍の良悪性を簡便かつ迅速に診断(判定)する目的に広く用いられています。

わが国の細胞診は、1959年癌研(現がん研有明病院)婦人科部長の増淵一正先生が設立した東京細胞診研究会を経て、1961年に日本婦人科細胞学会が設立され、翌1962年に日本臨床細胞学会に発展改称されたのが始まりとされています。当初学会事務局は、がん研婦人科内に設置されていました。1968年には細胞診断実務の教育ならびに指導に当たる医師の育成を目的に、細胞診指導医(現在の細胞診専門医)制度が誕生し、同時期に細胞診を専門とする臨床検査技師の育成を目的に当院と大阪の2ヶ所に日本発の細胞診スクリーナー(現.細胞検査士)養成所が設立されました

細胞診専門医とは、医師が持つ資格で、細胞検査士が発見した異常細胞を診断する業務を主に担当します。所定の研修後日本臨床細胞学会にて施行される細胞診専門医資格認定試験に合格することが必要です。細胞検査士とは、臨床検査技師が持つ資格で、細胞診検体の作製から顕微鏡で細胞を観察し、異常細胞を発見する業務を主に担当します。臨床検査技師の国家資格を有し、主として細胞診検査の実務に1年以上従事した者、細胞検査士養成所(当院の施設)あるいは養成コースのある大学卒業、卒業見込み者が日本臨床細胞学会にて施行される細胞検査士資格認定試験に合格することが必要です。細胞診は、細胞診専門医と細胞検査士によってささえられ発展してきました。

細胞診による子宮頸がん検診の普及により、子宮頸がんが早期(上皮内がん)にみつかるようになり(図1)、わが国の頸がんの死亡率は激減しました。このように細胞診はがん検診事業を中心に国民の健康に貢献してきました。

当院の細胞診断部は1968年に中央検査部より独立して新設された「細胞診室」に始まり、職員全員が同年開所された細胞診スクリーナー(現.細胞検査士)養成所の職員兼務となりました。以降、病院内の独立した部門として細胞診の歴史と共に細胞診断業務と細胞検査士の養成に携わってきました。その後2012年の病院組織変更により、病理部と統合され臨床病理センター内の部門となりました。初代細胞診断部部長の増淵一正先生から、久保久光先生、荷見勝彦先生、平井康夫先生、杉山裕子先生と代々、婦人科の先生が部長を務められてきました。2023年6月より、病理医として初めて千葉知宏が部長を拝命しました。

細胞診断部は、「使命(Mission):がんの早期発見と正確な診断に寄与する。共有する価値観(Core Values):高質・友愛・相互教育。将来展望(Vision):細胞診断技術と教育研究において世界最高水準となる。」を基本理念として細胞診専門医と細胞検査士が共同で業務を行っております。 2023年は33,016件(婦人科21,150件、 婦人科外11,866件)を取り扱いました(診療実績参照)。

今後は、がんの早期発見を中心とした従来の細胞診断に加え、新しい技術を積極的に導入することで、より精度の高い、先進的な診断を目指しております。また、臨床病理センターの一部門として病理診断と一体化したことにより、お互いの診断精度を向上させ、技術の補完を図りたいと考えています。高度な専門性に基づく、実践的かつ精度の高い細胞診断を通じて、当院の使命である「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」ことを実現したいと考えております。

部長略歴

2001年 慶應義塾大学医学部卒、2005年 慶應義塾大学大学院医学研究科修了
2005年4月〜 慶應義塾大学医学部薬理学教室 助手
2008年4月〜 慶應義塾大学医学部解剖学教室 助教
2010年4月〜 Georg-Speyer-Haus化学療法研究所 研究員(独、フランクフルト)
2013年1月〜 杏林大学医学部病理学教室 助教・講師
2019年10月〜 がん研究会がん研究所 病理部 研究員
2023年6月より現職

 

このページのTOPへ