
診療科・部門紹介
歯科口腔外科
最終更新日 :
2025年10月8日
歯科口腔外科の診療内容
阿部雅修
歯科口腔外科部長
がん治療では、手術・化学療法・放射線療法の影響により、口腔内にさまざまな副作用があらわれることがあります。
当科では、口腔の健康を整えることで治療を安全に進め、治療中や治療後の生活の質(QOL)の維持・向上を目指しています。
また、「口腔前がん病変外来」では、将来的にがん化するリスクの高い口腔粘膜疾患を見極め、予防や早期治療に取り組んでいます。
主な診療内容
- 口腔支持療法(口腔ケア・口腔機能管理)
がん治療に伴う口腔内の副作用の予防・軽減 - 口腔前がん病変外来
がん化リスクの高い口腔粘膜病変の診断とマネジメント
口腔支持療法(口腔ケア・口腔機能管理)
当科では、治療の種類に応じて以下のような対応を行っています。
手術療法
- 専門的口腔ケアによる術後肺炎などの合併症の予防
- 特殊な義歯や装置による術後の形態および機能の回復
- 手術による歯の損傷を防ぐためのプロテクターの作製
化学療法
- 口腔ケアによる感染症や粘膜炎の発症および悪化の予防
- 低出力レーザーによる痛みの緩和
- 骨吸収抑制薬による骨髄炎・顎骨壊死の発症および悪化の予防
- 感染症に対する外科的アプローチや抗菌化学療法
放射線療法(頭頚部領域)
- 粘膜炎や口腔乾燥に対する口腔ケア
- 防護用マウスピースやフッ素塗布による歯および粘膜の保護
- 放射線による骨髄炎・顎骨壊死の発症および悪化の予防
口腔前がん病変外来
口腔には「がんになる可能性のある病変」が存在します。2017年にWHOが定めた口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)には、口腔白板症・紅板症・扁平苔癬などが含まれます。これらは比較的多く見られる疾患であり、中にはがん化リスクが高いものもあるため、早期発見と適切な対応が重要です。
診療の流れ
- 一般診察(問診・視診・触診)
- 追加検査
- 細胞診・組織診
- 真菌(カンジダ)培養検査・細菌培養検査
- 画像検査(X線写真、CT、MRI等)
- 光学機器を用いた口腔内蛍光観察(保険適応外) - ケア・予防
- 刺激源の除去(歯の修整、補綴物の調整、マウスピース作成など)
- 薬物療法(抗真菌薬・抗菌薬・漢方薬など)
- セルフケア指導、生活習慣改善のサポート
当科の理念
口腔は「食べる」「話す」「味わう」といった生活の基本を支える大切な器官です。
当科では「口腔から全身を支えるケア」を大切にし、患者さんが安心して治療を受けられるようサポートしています。さらに、口腔前がん病変外来を通じて、口腔がんの予防と早期発見に努めています。