
診療科・部門紹介
歯科口腔外科
最終更新日 :
2025年4月28日
歯科口腔外科の診療内容
阿部雅修
歯科口腔外科部長
がんの治療では、手術や抗がん剤、放射線などの影響により、口腔内にさまざまな副作用が現れることがあります。
当科では、次の3つを柱に診療を行い、口腔内の環境を整えることで、がん治療をしっかりサポートし、治療中や治療後の生活の質(QOL)の維持・向上を目指しています。
- 口腔内細菌などによって起こる感染症の予防と治療
- がん治療にともなって生じる副作用への対策と、その症状の緩和
- 「かむ」「味わう」「話す」といった口腔の機能や、見た目(審美性)の維持・回復
診療科の特徴
がん治療のサポート
口腔の健康を整えることで、がん治療がより安全かつスムーズに進むようサポートします。
がん治療には、手術療法・化学療法・放射線療法がありますが、それぞれの治療に応じて、以下のような対応を行っています。
- 手術療法
口腔がんや咽頭がん、喉頭がんなどの手術に備え、手術部位に細菌が付着・繁殖しないよう、事前に口腔内を専門的にケアします。これにより、術後肺炎のリスク軽減にもつながります。
また、顎の一部を切除するような手術の後には、特殊な義歯を用いて「かむ」「話す」などの口腔の機能や見た目の回復を目指します。
- 化学療法
口腔の衛生状態を整えることで、化学療法(抗がん剤)に伴って起こる口内炎や粘膜炎の悪化・感染を防ぎます。
さらに、低出力レーザーを使って炎症による痛みを和らげたり、歯周病などの慢性疾患が悪化しないよう治療を行います。
また、骨吸収を抑える薬剤(ビスホスホネート製剤やデノスマブ)によって起こることがある、顎の骨の炎症(顎骨骨髄炎)を防ぐため、治療開始前から必要な処置を行います。
- 放射線療法(頭頚部領域)
治療により起こる口内炎や口腔乾燥などの症状を緩和するため、専門的な口腔ケアや防護用マウスピースの作製を行います。
また、化学療法と同様、顎骨骨髄炎の予防にも取り組んでいます。
以上のように、当科ではがん治療に伴って口腔内に生じやすいトラブルを未然に防ぎ、患者さんが安心して治療に取り組めるよう支援します。
口腔は、「かむ」、「味わう」、「話す」といった日常生活の基本を支える大切な器官であり、笑顔や感情表現にも深く関わっています。私たちは「口腔から全身を支えるケア」を大切にしながら、患者さんが快適に療養生活を送れるよう、しっかりとサポートします。