
診療科・部門紹介
医療情報部
医療情報部
最終更新日 :
2025年5月9日
医療情報部とは
小口正彦
顧問
医療情報部長
鈴木一洋
医療情報副部長
医療情報は、がん研究会の重要な医学資産です。医療情報を高い精度で正確に保存し、将来のがん診療の発展のために様々な形で利活用できるように管理することを目標としています。
電子カルテ等が登場してから20数年が経過し、診療情報システム自体は多機能化・複雑化してきています。各診療部門の業務をサポートする専用部門システムも個別の発展を遂げてきています。一方で、インフラに目を向けると、ハードウェアや仮想化技術、そしてネットワーク技術も日進月歩であり、診療においてクラウド環境を利用することも可能になってきました。しかし、便利さと表裏一体であるセキュリティリスクも顕在化しており、長期間にわたって電子カルテを含む診療系システムが停止する事案も現実になっています。
そのような環境下においても、「自施設の実情に合致する診療系システムの構築」を通じたIT化の推進、そしてその先にある「医療DXの実現」に向けて、チャレンジを続けています。
1 医療情報部体制
当院の医療情報部は、診療情報管理室・データベース開発室・AI医療推進室の3室で構成されています。院内でソフトウェア・データベース開発を行うエンジニア、データベースに蓄積されたデータを企業等との共同研究で活用することを企画・運営する事務局担当者、院内のがん診療データを管理し、がん登録やNCDに登録する作業を行う診療情報管理士が連携しながら活動しています。
2 実績
- 内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(第2期)「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」にD4「AIを有する統合がん診療支援システムの開発」をテーマに参画しました。 株式会社情報通信総合研究所・株式会社NTTコミュニケーションとがん治療成績の簡易ノモグラムを開発しました。株式会社日立製作所とAI薬剤師問診支援を開発しました。株式会社NTTデータと高度インフォームドコンセント支援ソリューションを開発しました。BIPROGY株式会社と医師アバターの説明支援システムを開発しました。Google社とマンモグラフィ診断支援AIの研究をしました。研究所物理部内に、データベース開発室とAI推進室を併設し、臨床的課題を解決するAI/機械学習研究を継続しています。
- 内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(第3期)「統合型ヘルスケアシステムの構築」の サブテーマB-1「がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」 に参画しています。統合がん臨床データベースの多施設展開を主軸に、析秘による治験候補スクリーニングや、患者さんのスマートフォンによるがん薬物療法の副作用問診を発展させています。
【学会発表】
診療情報管理室
- 日本がん登録協議会 第29回学術集会(2020.6.4)
- 院内がん登録とDPCを使ったQI研究による胃癌術後化学療法開始時期について
- 日本がん登録協議会 第30回学術集会(2021.6.9)
- AIは胃がん術後の標準治療実施を予測できるか? 院内がん登録情報を用いた検討
- 日本がん登録協議会 第31回学術集会(2022.6.2)
- 院内がん登録から見る新型コロナ禍の影響
- 第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会) (2024.11.22)
- 検査報告書確認システムと半自動リマインド管理システムによる院内周知
データベース開発室
- 日本放射線腫瘍学会 第31回学術大会(2018.10.13)
- 治療RISデータの利活用:がん診療統合データベースとの接続
- 第38回医療情報学連合大会(2018.11.23)
- がん診療統合データベースの構築:手術、化療、放射線治療、病理データの連結
- 第39回医療情報学連合大会(2019.11.23)
- がん診療統合データベースシステムの活用 - 呼吸器外科におけるテンプレートデータの取得と NCD 登録データの変換出力-
- 第41回医療情報学連合大会(2021.11.21)
- がん診療統合臨床データベースの活用 - レジメン詳細情報の院内共有とレジメン投与歴の後方視的確認 -
- 第42回医療情報学連合大会(2022.11.20)
- がん臨床統合データベースの活用:婦人科における手術・薬物療法・放射線療法の統合管理
- がん臨床統合データベースの活用:胃外科における予後情報の自動取り込み
- 病院給食業務におけるインシデント・アクシデント防止のためのAI活用の検討
- 第82回日本癌学会学術総会(2023.09.23)
- How to close the cancer care gap with Information Technology:がん医療格差を情報技術で埋める.
- 第43回医療情報学連合大会/第24回日本医療情報学会学術大会(2023.11.22-25)
- AMED革新的がん医療実用化研究事業における臨床情報自動収集の取り組み. 【公募ワークショップ】HL7 FHIR を活用した治験・臨床研究の国内事例とグローバルな取り組み:JASPEHR Projectによる臨床情報収集事業と、臨床開発におけるHL7 Vulcanのビジョン
- FHIRを利用した「病理検体トレーサビリティ情報記録システム」の開発.
- 術前中止薬情報確認システムの開発と薬剤師による入院前面談での活用.
- 第9回岩手医療情報研究会(2023.12.09)
- 業務に最適なアプリ開発の基盤と標準化の関係 〜がん研有明病院におけるFHIRを活用したアプリ開発〜
- 第78回京大データヘルス研究会(2024.03.07)
- 統合がん臨床データベースによるRWD集積:薬物療法問診から患者生活支援ソリューションへ
- NCDセミナー2024(2024.09.21)
- 院内開発データベースシステムを用いたNCD登録作業の省力化
- 第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会) (2024.11.22)
- がん臨床統合データベースの活用:食道内視鏡におけるカンファレンスと症例集積
【論文】
- 集学的がん診療に特化した統合データベースシステムの開発 医療情報学 38(4):227-233, 2018
- がん診療統合データベースシステムの活用 呼吸器外科におけるテンプレートデータの取得とNCD登録データの変換出力 医療情報学連合大会論文集 39 480-483 2019
- 病理診断支援システムの構築 医療情報学連合大会論文集 40 439-441 2020
- がん診療統合データベースシステムにおける機械学習を用いたNCD術式の予測可能性の検討 医療情報学40(5): 257-267, 2020
- 人工知能を有する統合がん診療支援システムの開発 腫瘍内科 27(1) 120-126 2021
- AI時代のクリニカルパス 外科 83(1) 14-17 2021
- がん診療統合臨床データベースの活用 レジメン詳細情報の院内共有とレジメン投与歴の後方視的確認 医療情報学連合大会論文集 41 991-993 2021
- がん診療統合データベースシステムにおける機械学習を用いたNCD術式の予測可能性の検討 医療情報学 40(5) 257-267 2021
- 【AIホスピタルの社会実装】がん研有明病院におけるAIホスピタルの取り組み:人工知能を有する統合がん診療支援システムの開発 医学のあゆみ282 (10): 932-937, 2022
- がん臨床統合データベースの活用 婦人科における手術・薬物療法・放射線療法の統合管理 医療情報学連合大会論文集 42 1188-1190 2022
- がん臨床データベースの活用 胃外科における予後情報の自動取り込み 医療情報学連合大会論文集 42 1185-1187 2022
- 病院給食業務におけるインシデント・アクシデント防止のためのAI活用の検討 医療情報学連合大会論文集 42 1125-1128 2022
- がん検診推奨年齢とがん検診情報を機械学習したがん発症リスク予測モデルを用いたがん発症高リスク者の抽出方法の検討 医療情報学43(5): 205-217, 2023
- AMED 革新的がん医療実用化研究事業における臨床情報自動収集の取り組み 医療情報学連合大会論文集 43 462-462 2023
- 術前中止薬情報確認システムの開発と薬剤師による入院前面談での活用 医療情報学連合大会論文集 43 686-688 2023
- FHIRを利用した「病理検体トレーサビリティ情報記録システム」の開発 医療情報学連合大会論文集 43 862-864 2023
- Artificial intelligence as a second reader for screening mammography Radiology Advances 1(2) 2024