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診療科・部門紹介
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超音波診断・IVR部

超音波診断・IVR部

最終更新日 : 2023年8月22日

超音波診断・IVR部とは|超音波診断(検査)について| IVR(画像下治療)についてスタッフ紹介

超音波診断(検査)について

超音波検査は、専用の超音波検査機器を用いて行います。体表に接触させた探触子から3メガヘルツから10メガヘルツ程度の超音波を発信すると、体内で超音波は一定の方向に進み、臓器などに当たって反射します。この反射波を探触子で連続的に受信し、超音波検査機器に搭載されたコンピュータで解析することで超音波が反射した部分の形状を可視化することができます。そしてその情報を検査機器のモニターに描画することで、体内の任意の断面の画像をリアルタイムで観察し、記録することができます。なお超音波検査で発信する超音波は人体の組織に侵襲のない強度に調整されていますので、健康被害の心配はなく、短期間に繰り返し検査を行っても問題ありません。

超音波検査では頸部、腹部、骨盤、泌尿器領域、婦人科領域、乳腺、心臓、血管、皮膚など全身の部位、臓器を対象に、これらの部位の疾患の発見や、評価のための検査を行います。ただし、超音波は硬い骨や、空気を通過することができません。さらに組織や脂肪を通過することで減衰が起こりますので、骨や消化管の空気、内臓脂肪で覆われた深部の観察は難しくなります。これらの理由で対象部位を観察しやすい状態にするため、呼吸や、体位の調整を行いながら観察します。また詳細な観察が必要な場合の画像の精細度は発信する超音波の周波数を変化させることで調整します。

通常の断面画像での観察に加え、ドプラ現象を利用して体内の血管や血流を描出する方法(カラードプラ)や、組織の弾性を計測することで観察部位の硬さを評価する方法(エラストグラフィー)、組織採取に際して対象部位を確認する方法(超音波画像ガイド下生検)などの手技を組み合わせて検査をすることもあります。

超音波診断・IVR検査部では、これらの超音波の特性を理解し、各領域の画像や、疾患についてトレーニングを受け認定資格をもった超音波検査士(*)、あるいは専門の医師が主体となり超音波画像検査および診断を行っています。

*超音波検査士の認定資格
日本超音波医学会認定

消化器領域 14名 体表領域 14名 循環器領域 1名 血管領域 1名 健診領域 3名

日本血管外科学会、日本静脈学会、日本動脈硬化学会、日本脈管学会認定
血管診療技師(CVT) 1名

 

腹部造影超音波検査について

腹部造影超音波検査は専用の超音波造影剤を静脈に注入し、造影超音波検査用に調整された周波数、強度で観察することで、主に肝臓の病変の血流の状態を評価することができます。造影剤はガスのマイクロバブルが混在された状態で注入されます。マイクロバブルの人体からの排泄は呼吸による呼気から排泄されますので、腎臓に負担はかかりません。製剤の過程で卵の殻の成分が使用されることから卵のアレルギーのある患者さんには使用することができませんが、CT用造影剤、MRI用造影剤とは成分が異なりますので、腎機能低下やこれらの造影剤によるアレルギー反応などによる理由で、造影剤が使用できない患者さんにも制限なく使用することができます。注入された造影剤は2分程度の間、血管内を循環し、数分後には血管内から消失し、大半は正常な肝臓に存在するクッパー細胞と呼ばれる組織にトラップされ、その後数時間はそこに存在します。このため造影剤を注入して数分後には、正常な肝臓の実質の反射の強度が上昇します。この現象を利用して、正常な肝臓と、正常で無い肝腫瘍などの病変の明暗の差(コントラスト)を強調し、より正確な状態病変を観察することができます。がん研有明病院 超音波診断・IVR部では造影超音波検査の特性、疾患について理解した超音波専門医が検査を担当いたします。

心エコー検査について

心臓の機能や弁膜症の有無をみる検査です。がん治療を行うために、心臓に問題がないかをこの検査で確認します。わが国では高齢者の増加とともに、がんと循環器疾患を合併する患者が増加しています。また、抗がん剤には心臓や血管に傷害を与えるものがあり、とくに高齢者や心血管疾患のハイリスク患者にがん治療を行った場合、高率に心臓や血管に影響を与えることが考えられます。十分にがん治療を受けられるように、また治療を受けたのちに心血管の異常をいち早く見つけ治療を行うために、迅速に検査を行っています。

乳腺超音波検査について

乳癌は我が国において女性が罹患する癌の第1位です。罹患率は年々上昇し、現在では女性の9人に1人が罹患するといわれています。当院の乳房超音波検査では病変の診断、乳癌治療前の広がり精査、薬物治療の効果判定、手術後の経過観察、ハイリスクの方のサーベイランス、再建乳房のシリコンインプラントを評価する検査などを行っています。また、マンモグラフィやMRI、CT、PET/CTなど、ほかのモダリティで指摘された乳房の病変に対して、セカンドルック超音波と呼ばれる検査を積極的に行っており、年々件数が増加しています。さらに乳房の精密検査として細胞診、超音波ガイド下組織生検、ステレオガイド下吸引式乳房生検を行っています。なお、乳房超音波を担当する技師は全員女性です。乳房超音波に関する検査は、日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する資格を持った医師、技師を中心として検査を行っています。

超音波検査実施件数(年度別)

  腹部 乳房 表在 頸部 心臓 血管 その他
2019年度 7,854 15,567 2,659 5,640 4,642 5,429 216 42,007
2020年度 6,830 13,973 3,156 5,030 4,959 5,335 650 39,933
2021年度 6,513 14,137 2,812 5,645 5,899 5,780 656 41,442
2022年度 6,570 14,593 2,659 5,189 5,845 5,318 794 40,968

 

超音波検査を受けられる患者さんへ

  • 検査に関する注意事項
    • 来院しましたら、再診受付で呼び出し受信機(院内PHS)を受け取り、各検査受付にお越しください。
    • 検査部位が出しやすい服装でお越しください。
    • 食止めや尿溜めの指示がされている場合はその指示に従ってください。
    • 原則予約の変更は承れませんので、ご注意ください。検査に関する問い合わせや突然の事情で予約時間に遅れる場合には、再診コールセンターへご連絡ください。
    • 検査の結果は診察時に医師より説明いたします。
    • 造影超音波検査の場合、静脈に造影剤を注射します。
    • 超音波ガイド下生検では、病変部に特殊な生検針を穿刺します。生検後は止血のために穿刺部を圧迫することがあります。
  • Q&A
    他施設で超音波検査を受けたばかりですが、連日検査しても身体に害はありませんか?
    害はありません。「音」ですので身体に影響することはありません。
    金属類(時計・アクセサリー・カツラなど)は、はずす必要がありますか?
    特にはずす必要はありませんが、首の検査のときはネックレスをはずしていただきます。
    検査の結果をその場で聞くことはできますか?
    担当医師の診察時に説明を聞いてください。検査室ではお答えすることはできません。
    検査を受けるにあたり、飲食などの制限はありますか?
    検査項目によって、検査前の飲食の制限や、膀胱に尿を貯めた状態で検査することがあります。超音波検査予約時に外来より渡される注意事項をお読みください。

関連サイト

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