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診療科・部門紹介
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ゲノム診療部

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最終更新日 : 2024年2月28日

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患者さん向け

がんゲノム医療とは

従来のがん治療は、発生臓器や組織型に基づいて治療法が選択されていました。例えば、大腸がんであれば大腸がんの治療、肺がんであれば肺がんの治療を行います。しかしながら、近年の研究から、がんは遺伝子の異常が積み重なっておこる疾患であることがわかってきました。がんに発生した遺伝子の異常を調べ、その遺伝子の働きを抑えるような薬を投与することができれば、がんの進行を抑えることができるかもしれません。この考え方をがんゲノム医療といいます。一部のがんでは、薬の選択にがんの遺伝子検査を行っていますが、調べられる遺伝子の数はわずかです。次世代シークエンサーの技術を用い、この点を克服したものががん遺伝子パネル検査です。

がん遺伝子パネル検査とは

従来、一度に調べられる遺伝子の数は1個〜数個でしたが、がん遺伝子パネル検査では一度に数百個の遺伝子の変化を調べることができます。2024年1月現在、保険適用となっているがん遺伝子パネル検査は5つで、腫瘍組織パネル検査と血液パネル検査があります。検査には腫瘍組織パネル検査が優先されます。なんらかの理由で組織パネルが行えない場合のみ、血液パネル検査が可能です。なお、がん遺伝子パネル検査を保険診療として実施できるのは1回限りです。

臓器別のがん治療から、遺伝子変異に合わせたがん治療へ

中外製薬 「おしえて がんゲノム医療」イラスト素材集より引用

@腫瘍組織パネル検査

  1. FoundationOne®CDx がんゲノムプロファイル(以下F1CDx)
    米国・マサチューセッツ州ケンブリッジの企業(FMI社)が取り扱っているがん遺伝子パネル検査です。一度に324個の遺伝子の変化を調べることができます。検査には、がんの組織が必要です。
  2. GenMineTOP®がんゲノムプロファイリングシステム (以下GenMineTOP)
    東京大学、国立がん研究センター研究所及びコニカミノルタ株式会社が共同研究開発したがん遺伝子パネル検査です。737個の遺伝子の変化を調べることができます。解析遺伝子数が多いこと、融合遺伝子やスキッピング、蛋白発現量の解析ができることが特徴です。検査には、がんの組織と血液検体が必要です。がんになりやすい体質(遺伝性腫瘍)の確定診断も可能です。
  3. OncoGuideTMNCCオンコパネルシステム(以下NOP)
    国立研究開発法人国立がん研究センターとシスメックス社が共同開発したがん遺伝子パネル検査です。日本人で遺伝子の変異が見つかりやすい124個の遺伝子の変化を調べることができます。検査には、がんの組織と血液検体が必要です。がんになりやすい体質(遺伝性腫瘍)の確定診断も可能です。

A血液パネル検査

  1. FoundationOne®Liquid CDx がんゲノムプロファイル(以下F1L CDx)
    FMI社が取り扱う血液パネル検査です。血液中に流れるがんのDNAを用いて検査を行います。F1CDxと同様に324個の遺伝子の変化を調べることができます。検査には血液検体が必要です。
  2. Guardant360CDx®がん遺伝子パネル (以下G360)
    Guardantヘルスジャパンが取り扱うがん遺伝子パネル検査です。74個の遺伝子の変化を調べることができます。血液パネル検査の中でも感度がよいことが特徴です。検査には血液検体が必要です。

がん遺伝子パネル検査の費用

検査費用は56万円です。保険診療になるため3割負担の方だと、約16.8万円の自己負担になります。なお、社会保障制度などの違いによりこの限りではありません。

がん遺伝子パネル検査の対象

  • 腫瘍組織パネル検査
    原発不明癌または標準治療が終了する見込みの固形癌で予後が5か月以上見込める方が対象です。
  • 血液パネル検査
    上記2つのパネル検査を組織がとれないなどの理由で受けることができない、かつ原発不明癌または標準治療が終了する見込みの固形癌で予後が4か月以上見込める方が対象です。

これ以外にもがん遺伝子パネル検査を受けることができる基準がありますので、検査方法を含めて主治医と相談が必要です。保険診療で決められた対象とならない方で、がん遺伝子パネル検査を希望される場合は、検査をお断りすることがあります。

薬剤への到達

がん遺伝子パネル検査を行い、遺伝子の変化が見つかったとしてもすべての患者さんに薬剤が届けられるわけではありません。日本では薬剤到達率は3-10%です。がん遺伝子パネル検査の結果は、以下の4つが考えられます。

  1. 遺伝子の変化に基づいた治療が保険診療で可能
  2. 遺伝子の変化に基づいた治療が治験あるいは臨床研究で可能
  3. 遺伝子の変化に基づいた治療が自費診療で可能
  4. 遺伝子の変化に基づいた治療が推奨されない

検査を受けた患者さんの大半はCに該当します。Bは行える施設が限られており、当院でも一部の例を除き困難です。主治医とよくご相談ください。がん遺伝子パネル検査の目的はAを目指すもので、@であることはほとんどありません(図は自施設検討)。検査の結果、Aに該当された場合は、担当科医師の外来を受診することも可能ですが、すべての患者さんが治験に参加できるわけではありません。また、他院からがん遺伝子パネル検査目的で当科を受診された場合、当院での治験あるいは臨床試験に参加される以外を除き、治療は原則紹介元の病院で行って頂きます。

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