血液腫瘍科
診療内容
以下に疾患ごとの初回治療の概要を示します。患者さんの病状や体調によって治療内容が調整されることがあります。また、それぞれ再発治療には多くの選択肢があります。疾患や病状によって臨床試験や治験の選択肢が存在する場合もあります。具体的には担当医から適切に説明いたします。
リンパ腫
リンパ腫の診断のためには、病変からの組織生検(外科的に腫瘍組織を採取すること)が必須です。また、血液検査、尿検査、心電図、心臓超音波、全身CT、FDG-PET/CT、レントゲン、骨髄検査などによる全身精査が必要です。
<ホジキンリンパ腫>
限局期では主にABVD療法と放射線治療との併用療法が行われます。
限局期の一部、および進行期ではブレンツキシマブ・ベドチン併用AVD療法が行われます。
<濾胞性リンパ腫>
限局期の一部の患者さんでは放射線治療単独療法を選択することがあります。
低腫瘍量では無治療経過観察あるいはリツキシマブ単剤療法が行われます。
高腫瘍量では抗CD20抗体併用化学療法が行われます。
<びまん性大細胞型B細胞リンパ腫>
リツキシマブ併用化学療法(±ポラツズマブ・ベドチン)が行われます。限局期の一部の患者さんでは放射線治療を併用することもあります。
<マントル細胞リンパ腫>
若年患者さんではリツキシマブ併用化学療法に引き続いて、自家末梢血造血幹細胞移植併用大量化学療法が勧められます。
高齢患者さんではリツキシマブ併用化学療法±分子標的薬が行われます。
<慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫>
国際的な診断規準に基づき、低リスクの患者さんでは無治療経過観察を行います。治療適応と診断されたら、分子標的薬(±抗CD20モノクローナル抗体あるいは他の分子標的薬)での治療をお勧めします。
<原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞性リンパ腫>
国際的な診断規準に基づき、低リスクの患者さんでは無治療経過観察を行います。治療適応と診断されたら、分子標的薬(±抗CD20モノクローナル抗体)での治療をお勧めします。過粘稠度症候群(リンパ腫によって血液がどろどろになり、様々な臨床症状を呈する状態)の場合は、血漿交換をお勧めすることがあります。
<バーキットリンパ腫>
リツキシマブ併用の強力な化学療法が勧められます。年齢や患者さんの状態により選択される治療内容が異なることがあります。
<T細胞リンパ腫>
CD30陰性であればCHOP療法を行います。
CD30陽性であればブレンツキシマブ・ベドチン併用CHP療法が勧められます。
<節外性NK/T細胞リンパ腫>
限局期では放射線治療と減量DeVIC療法の同時併用療法が行われます。
進行期ではSMILE療法が行われ、若年患者さんでは引き続いて造血幹細胞移植を検討します。
<成人T細胞白血病・リンパ腫>
低悪性度タイプであれば慎重な経過観察を行います。
高悪性度タイプでは化学療法導入が勧められます。若年患者さんでは、VCAP/AMP/VECP療法に引き続いて造血幹細胞移植を検討します。高齢患者さんではモガムリズマブ併用化学療法を行います。
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫の診断のためには、血液検査、尿検査、骨髄検査、心電図、心臓超音波、全身単純CT、FDG-PET/CT、レントゲン、MRIなどによる全身精査が必要です。
多発性骨髄腫のうち、くすぶり型と診断された患者さんでは原則として無治療経過観察が選択されますが、一部のくすぶり型の患者さんではダラツムマブ単剤療法の適応となる場合があります。
活動性のある治療適応の多発性骨髄腫と診断された患者さんでは化学療法の導入が勧められます。若年患者さんでは、抗CD38抗体併用導入化学療法を施行し、引き続いて自家末梢血造血幹細胞移植併用大量化学療法が勧められます。高齢患者さんでは抗CD38抗体併用化学療法が勧められます。
骨髄異形成症候群・白血病
骨髄異形成症候群、白血病の診断のためには、血液検査、骨髄検査、尿検査、心電図、心臓超音波、全身CT、レントゲンなどによる全身精査が必要です。
<骨髄異形成症候群>
骨髄異形成症候群の疾患リスクを考慮した治療方針を検討します。
低リスクであれば無治療経過観察、あるいは輸血や造血因子の補充、赤血球成熟促進薬などが検討されます。
高リスクであれば、DNAメチル化阻害剤や化学療法の導入を行います。若年患者さんの病状によっては同種造血幹細胞移植を検討します。
<急性骨髄性白血病>
診断確定後、可及的速やかに寛解導入療法を開始します。染色体・遺伝子検査の結果、適応のある分子標的薬を併用することもあります。若年患者さんの病状によっては同種造血幹細胞移植を検討します。
<急性リンパ性白血病>
診断確定後、可及的速やかに寛解導入療法を開始します。染色体・遺伝子検査の結果、適応のある分子標的薬を併用することもあります。若年患者さんの病状によっては同種造血幹細胞移植を検討します。
<慢性骨髄性白血病>
診断確定度、分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)を導入します。内服治療であり、基本的には入院を必要としません。
血液腫瘍について
遺伝子検査について
血液腫瘍(造血器腫瘍)の遺伝子パネル検査が保険診療として実施可能になりました。急性骨髄性白血病などの白血病や、リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液腫瘍が保険適用となりました。対象の患者さんには、担当医から遺伝子検査を希望されるかどうかの説明があります。検査を希望されない場合は実施しません。遺伝子検査によって「診断」「治療法選択」「予後予測」の参考となる場合があります。
当院は2023年に「がんゲノム医療中核拠点病院」として厚生労働大臣から指定を受けました。遺伝子検査を実施された患者さんには、その結果も踏まえた適切な医療を提供する体制が整っています。

