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診療科・部門紹介
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中央手術部

中央手術部

最終更新日 : 2025年7月11日

中央手術部とは|ロボット支援化手術について

ロボット支援下手術について

ロボット支援下手術は毎年1000件以上施行しています

当院で2014年から行ってきたロボット支援下手術が、2023年に初めて年間1000件を超え1027件、2024年には1104件になりました。

2019年4月から多くの臓器でロボット支援下手術が保険収載され、当院で先行していた泌尿器科・大腸外科に続いて、同年に呼吸器外科・胃外科・婦人科も開始しました。そして、2020年に食道外科と肝胆膵外科、2022年には頭頸科が開始しました。手術用ロボット(ダビンチXi)は2018年末から2台体制となっていましたが、2020年1月に3台体制となり、2022年9月からは4台体制になりました。このように体制を整備する中で、ロボット支援下手術の件数も年々増加し、2023年には年間1,000件を突破しました。

そして2025年には、当院において大きな進展がありました。従来の「ダビンチS」や「ダビンチXi」とは構造が大きく異なる「ダビンチSP(シングルポート)」を新たに導入し、当院はダビンチシリーズを5台保有する医療機関となりました。「ダビンチSP」は、1本のアームに内視鏡と3本の鉗子を接続し、それらすべてを1つのカニューラから体内に挿入できる構造となっており、わずか1か所の小さな傷からでも従来と同様の手術を行うことが可能です。この新システムの導入により、より多くの患者さんにロボット支援下手術を提供できるだけでなく、「ダビンチSP」の特性を活かした新たな術式の開発や展開も可能となります。つまり、これまで以上に、患者さん一人ひとりのニーズや疾患の特性に応じた、より高度で柔軟な手術の提供が実現できると考えています。

【各診療科コメント】

頭頸科

当科では、本邦で普及している内視鏡を使った経口的切除を多く施行していますが、併せて2022年4月から保険診療でロボット支援下・咽喉頭癌切除手術が行えるようになりました。ロボット支援下手術は早期がんを対象にした、体の負担が少ない、機能温存を目的とした術式です。細いアームを口の中に挿入し先端が360度自由に可動するため、いままでの内視鏡下経口的手術では操作困難な部位でも切除が可能となり、適応が徐々に広がっています。またダビンチSP導入により、さらに狭い術野での細かい手術操作が可能となります。

呼吸器外科

当科では肺がん、転移性肺腫瘍、前縦隔腫瘍に対してロボット支援下手術を行っています。当科独自に開発したアプローチで開胸手術・胸腔鏡手術と同じ視野での安全な手術が可能になっています。これまでに214例施行し手術関連死亡、開胸手術への移行はありません。ロボット支援下手術が可能かどうかは担当医にご相談ください。

食道外科

食道がん手術は手術範囲が広く、体への負担が大きい手術です。がん研食道外科ではこれまでの1000例を超える胸腔鏡手術の経験を経て、2020年よりロボット手術を開始し、これまでに170例を超える患者さんに安全に施行して参りました。胸腔内吻合など複雑な縫合や、拡大視による精緻なリンパ節郭清において特にロボットの有用性が発揮されています。詳しくは遠慮なく担当医までご相談下さい。

胃外科

胃外科では、2019年1月よりロボット支援下胃切除術を開始し、2025年6月現在で累計650例以上の実績を有しています。今回導入されるダヴィンチSPにより、従来よりも少ない創でのロボット手術が可能となります。より整容性に優れ、低侵襲で回復の早い手術を提供してまいります。(詳細は胃外科のページもご参照ください

肝胆膵外科

ロボット手術を導入して4年以上が経過し、現在までに360例の肝胆膵ロボット手術を術関連死亡なく実施しています。当科では現在「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」「ロボット支援下膵体尾部切除術」「ロボット支援下肝部分切除術」「ロボット支援下肝切除術・亜区域以上」を保険診療下に実施しています。動脈周囲の癌郭清や、膵空腸吻合などmm単位の精密な剥離が求められる膵切除、出血を最小化する精緻な肝離断に於いて、繊細なロボットの動きと鮮明な拡大視効果が有用です。(肝胆膵外科のページにて詳述しています。)肝胆膵手術は切除臓器も多く、元来侵襲の大きな手術ですが、ロボットの力を借りることにより、患者さんの負担を軽減し、合併症率も低く抑えることが可能となっています。自費診療になりますが、膵実質温存術式である『中央膵切除』もロボット支援下に実施可能です。 ロボット肝胆膵切除ご希望の方は、是非外来にてご相談ください。

大腸外科

当科では、2025年4月までに約1,040人の患者さんがロボット手術を受けました。

ロボット手術は、狭くて深い骨盤内など、技術的に難しい場面でも力を発揮するのが特長です。

これまでの4つのアームを使う多孔式ロボット手術システム(ダビンチXi)に加え、2025年7月には、アームが1つの単孔式ロボット手術システム(ダビンチSP)を導入しました。これにより、整容性(見た目)や体への負担の少なさに、より一層配慮した手術が可能となり、患者さん一人ひとりに適したロボット手術を選択できる体制が整いました。ロボット手術の様子は、大腸外科のホームページで動画でもご紹介しています。ぜひご覧下さい。

大腸外科のホームページは、以下をリンクして下さい。

ロボット手術 | 大腸がん|がん研有明病院

泌尿器科

当科では2014年よりロボット手術を開始しています。前立腺・膀胱・腎臓・腎盂尿管がんに対して積極的にロボット支援下手術を行なっており、現在年間300例以上に施行しております。安全な手術、がん病巣の十分な切除、機能の温存を心がけています。また2025年7月よりダビンチSP(シングルポート)を導入し、マルチプルポートのダビンチXiとともに、2種類のロボットシステムで手術を行っています。より患者さんの病態に適したロボット手術を選択することが可能となりました。手術法に関しての詳細は担当医に遠慮なくご相談ください。

婦人科

婦人科がん手術は開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術と腫瘍に対するアプローチを選べる時代になりました。

当院の婦人科は2013年から子宮体癌に対する腹腔鏡手術を開始しました。2017年からロボット手術が選択肢になり、2019年から子宮体癌、子宮頸部高度異形成(上皮内癌)、子宮内膜増殖症などの疾患を中心にロボットによる子宮全摘を開始しており、現在までに累積症例数は900例を超えました。

ロボット手術のメリットは開腹手術と比べ傷が小さい、社会復帰が早いなどの利点があります。一方高度な技術を要求されますので、経験豊富な術者による手術が望まれます。

今回約3cmの臍の傷のみでロボット手術をすることができる、ダビンチSPが導入され婦人科においても手術が開始されます。ダビンチSPの手術適応があるかは外来の担当医にご相談ください。

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