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診療科・部門紹介
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婦人科

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最終更新日 : 2022年4月20日

婦人科とは子宮がんに関する情報(がん診療・治療・特徴)卵巣がんに関する情報(がん診療・治療・特徴)|診療実績|スタッフ紹介

診療実績

子宮頚がんの治療数

子宮頚がん臨床進行期別頻度

進行期
(FIGO2008)
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
IA1 41 30 18 13 22 12 16 32 38 55
IA2 1 3 2 2 1 3 5 2 3 15
IA(亜分類不明) 3 2 4 13 1 4 0 1 1 0
IB1 52 53 40 69 47 52 76 76 46 36
IB2 10 15 17 23 13 13 24 12 11 24
IIA 12 6 6 8 11 9 10 11 9 3
IIB 19 28 18 16 25 25 32 23 26 8
IIIA 2 1 4 1 3 0 0 1 2 34
IIIB 15 9 4 9 13 19 9 32 10 1
IVA 1 2 0 2 6 0 2 1 2 20
IVB 13 10 20 19 13 18 14 9 16 9
合計 169 159 133 175 155 155 188 200 164 237

2021年子宮頚部上皮内病変最終手術療法内訳

全治療数:254例
円錐切除術:171例
開腹準広汎・拡大単純子宮全的術:1例
腹腔鏡下準広汎・拡大単純子宮全摘術:27例
ロボット補助下準広汎・拡大単純子宮全摘術:55例

2021年子宮頚がん進行期別治療法内訳

手術 放射線のみ 放射線化学療法 化学療法のみ
IA期 70 0 0 0
IB期 63 1 0 0
II期 29 0 14 0
V・W期 15 0 40 5

2021年子宮頚がん最終手術療法内訳

円錐切除術 準広汎・拡大単純子宮全摘術 広汎子宮頚部摘出術 広汎子宮全摘術
経膣手術 14 0 0 0
開腹手術 0 7 0 66
腹腔鏡手術 0 40 10 35
ロボット支援下手術 0 3 0 0

子宮体がんの治療数

子宮体がん臨床進行期別頻度

進行期 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
IA 97 96 129 139 142 163 165 177 138
IB 18 12 22 31 27 37 27 25 17
II 19 13 11 13 16 10 18 9

13

IIIA 7 6 6 12 8 8 5 7 13
IIIB 0 1 5 0 5 5 2 3 0
IIIC1 9 13 7 6 10 5 8 7 7
IIIC2 4 7 13 8 6 10 13 9 15
IIIC分類不能 0 0 0 0 0 0 0 6 0
IVA 0 0 0 0 0 1 4 1 0
IVB 15 9 11 10 18 8 17 9 8
肉腫 10 9 16 12 10 8 7 3 6
合計 179 166 220 231 258 255 266 256 217

2021年子宮体癌の進行期別治療法

進行期 症例数 手術 手術& 
化療
手術& 
放射線
放射線 
のみ
化療のみ CCRT MPA 腹腔鏡 ロボット
手術
TA 138 111 27 0 0 0 0 6 58 44
TB 17 9 8 0 0 0 0 0 2 1
U 13 3 10 0 0 0 0 0 2 1
VA 13 5 8 0 0 0 0 0 5 1
VB 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
VC1 7 2 5 0 0 0 0 0 4 0
VC2 15 0 15 0 0 0 0 0 1 0
VC分類不能 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0
WA 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
WB 8 0 4 1 0 4 0 0 0 0
肉腫 6 5 1 0 0 0 0 0 0 0
合計 217 135 78 1 0 4 0 6 73 47

卵巣がんの治療数

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの症例数

西暦20- 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
良性腫瘍       91 107 110 107 72 76 58
境界悪性 25 9 20 15 36 30 33 27 26 28
卵巣癌  I期 31 40 49 58 60 60 40 54 73 54
II期 10 14 8 8 6 6 9 10 6 14
III期 29 32 40 38 49 38 42 64 40 36
IV期 7 14 12 21 19 15 23 40 16 45
卵管癌 8 10 7 9. 10 8 9 6 6 18
腹膜癌 13 3 6 3 8 17 8 9 6 6
再発癌 - - - 13 10 4 8 11 7 17
転移性癌 - - - 8 7 8 4 10 7 6
合計 123 122 142 173 205 185 176 231 187 282

2021年 卵巣癌、卵管癌、腹膜癌 手術件数

術式 件数(重複あり)
試験開腹術/審査腹腔鏡 31
基本術式
(子宮全摘術、両側附属器摘出術、大網切除術)
52
基本術式+リンパ節郭清 31
基本術式+他臓器合併切除
大腸、小腸、横隔膜、脾臓、膀胱、尿管、腹膜等
73
合計 187
リスク低減卵管卵巣摘出術 47

子宮頚がん・体がん・卵巣がんの治療成績(生存率)

1.子宮頚がん

子宮頚がんの進行期がI期、II期の場合、手術可能であれば手術を受ける方が多くいます(50歳未満の場合、卵巣を摘出しないで温存する場合もあります)。手術を行い術後の病理検査結果でリンパ節転移が陽性ですと、術後の再発が心配なため、術後に全骨盤照射(放射線治療)をすることが、現状では一般的とされています(がん研も1989年以前ではそうでした)。しかし、手術した部位(骨盤)に放射線をかけると、残された骨盤内臓器には二重の負荷がかかること(結果として、排尿の異常が増加し、腸閉塞の危険も増える)、折角残した卵巣機能も失われること、両下肢のリンパ浮腫が増悪する等のマイナス面が心配でした。

シスプラチンなどの抗がん剤に反応することが判ってきたため、がん研では手術後に抗がん剤による化学療法も治療の選択肢にしています。

子宮頚がん累積生存率(2011〜2015年初発の患者さんを5年間追跡)

2.子宮体がん

子宮体がんの治療については、二つの問題があります。一つは子宮頚がんと同じく手術後に再発が心配な場合に放射線をかけるか、化学療法をするかという問題です。がん研では、1989年から全面的に化学療法に切り替えました。現在、多くの施設で、放射線から化学療法への切り替えが進んでいますが、私たちは15年以上も前から切り替えていたのです。二番目の問題は根治手術に際して、骨盤リンパ節に加えて、大動脈周囲リンパ節も郭清(すっかり摘出すること)するかということです。

がん研では1989年から大動脈周囲リンパ節郭清を開始し、1995年からは大部分の根治手術に組み込みました。子宮体がん累積5年無病生存率を下に示しておりますが、進行期I期、II期とともに、III期の生存率が著しく改善しています(がん研の以前の成績は50%位でした)。以来この基本方針を堅持してきましたが、最近は、術前のMRIなどの画像診断で腫瘍の大きさや子宮の筋層への浸潤の程度を判定し、大動脈周囲リンパ節郭清を省略する基準を決めて縮小手術をするようにしています。

2014年4月より、早期子宮体がんに対する腹腔鏡下手術が保険適応となり、2018年4月からは、同疾患に対するロボット支援下手術も保険適応となりました。それに伴い、2020年における当院の診療実績では、当院の診療実績では、約9割の症例で腹腔鏡もしくはロボットによる鏡視下手術を施行しております。

当院での子宮体がん進行期別5年生存率(2011〜2015年初発の患者さんを5年間追跡)

3. 卵巣がん

卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの初回手術では、正確な進行期決定と残存腫瘍をなくすことが、治療方針の決定・予後の改善に重要です。特にUB期以上の進行例では、最大残存腫瘍径と予後は相関すると考えられ、最大残存腫瘍径を1cm未満(optimal surgery)にすることで予後が改善するとされています。肉眼的残存腫瘍のないcomplete surgeryにできた場合にはoptimal surgeryよりもさらに予後の改善が見込めます。がん研では、大腸外科・肝胆膵外科・泌尿器科など他科との連携により積極的に他臓器合併切除を行うことで、UB期以上の初回手術(Primary Debulking Surgery)において90%(2020年1-12月調査)と高い確率でcomplete surgeryを達成しています。術前の画像評価でoptimal surgeryが不可能と考えられる場合は、可能な限り審査腹腔鏡で腹腔内の正確な評価と腫瘍組織採取をし、化学療法を先行して腫瘍の縮小を図った後に手術を行い、complete surgeryを目指します。

当院での上皮性卵巣癌・卵管癌・腹膜癌進行期別5年生存率(2011〜2015年初発の患者さんを5年間追跡)

さらに詳しい情報は書籍をご参考にされてください。

「がん研有明病院 婦人科 最新治療ガイド 子宮頚がん・子宮体がん・卵巣がんと診断されたあなたへ」金尾祐之、竹島信宏著 新興医学出版社(2020/7/30発売)

 

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