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診療科・部門紹介

臨床遺伝医療部(旧遺伝診療部から名称変更)

最終更新日 : 2022年3月28日

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診療内容について

当院で実施している遺伝学的検査の一例(関連する遺伝性腫瘍)

  • BRCA1/2 遺伝学的検査(遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC))
  • MLH1/MSH2/PMS2/MSH6 遺伝学的検査(リンチ症候群)
  • APC 遺伝学的検査(家族性大腸腺腫症(FAP))
  • MEN1 遺伝学的検査(多発性内分泌腫瘍T型(MEN1))
  • RET 遺伝学的検査(多発性内分泌腫瘍症U型(MEN2))
  • PTEN 遺伝学的検査(カウデン症候群)
  • TP53 遺伝学的検査(リー・フラウメニ症候群) 
  • RB1遺伝学的検査(網膜芽細胞腫)

がんの発生に遺伝が関係していることが明らかとなっているものは複数あります。上に記載したものはその一部です。

まずはご本人の病歴やご家族のがんの既往歴から最も疑われる遺伝性腫瘍を絞り込んだ上で、その遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子を調べることが一般的です。ご家族のがんの発生が遺伝子の変化によるものだということがわかると、その得られた結果を使って血縁者の方の検査を検討します。

ただし、ご家族の状況によっては最初の検査の候補遺伝子が複数ある場合があります。このような時、これまでは候補遺伝子を順番に検査していくしかありませんでしたが、現在は「マルチ遺伝子パネル検査*」を用いることで複数の遺伝子を同時に調べることも可能となり、当院でも、ご本人の既往歴、ご家族の状況に合わせて、マルチ遺伝子パネル検査も含めた適切な検査をご提案いたします。

*マルチ遺伝子パネル検査:複数の遺伝子を一度に調べる検査。例えば、乳がんの患者さんの中ではBRCA1/2遺伝子の変化が原因となる方(遺伝性乳がん卵巣がん)の頻度が最も高いですが、ご家族の状況からBRCA1/2以外の遺伝子も候補となる場合、マルチ遺伝子パネル検査を使うことでBRCA1/2遺伝子と同時に乳がん発症に関連する他の遺伝子も調べることができます。
当院で実施しているマルチ遺伝子パネル検査の例については、遺伝カウンセリングにてご紹介いたします。

保険収載されている遺伝学的検査

下記の遺伝学的検査は一部の方が保険適用で実施可能です。

検査名 遺伝性腫瘍 対象者
BRCA1/2遺伝子検査
(BRACAnalysis®)
遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC) 一部の方
詳細は下記をご覧ください
マイクロサテライト
不安定性(MSI)検査
リンチ症候群 リンチ症候群が疑われる方
RET遺伝子検査 多発性内分泌腫瘍U型(MEN2) 甲状腺髄様がんの既往がある方
MEN1遺伝子検査 多発性内分泌腫瘍T型(MEN1) MEN1が疑われる方
RB1遺伝子検査 遺伝性網膜芽細胞腫 ・網膜芽細胞腫の既往がある方
・遺伝性網膜芽細胞腫の方の血縁者

BRCA1/2遺伝学的検査(保険適用となる対象があります)

乳がんの患者さんの3〜5%、卵巣がんの患者さんの10〜15%は、遺伝性乳がん卵巣がんであると報告されています。血液検査にてBRCA1もしくはBRCA2遺伝子のどちらかにがんの発症に関連する変化を持っている場合に遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)と診断されます。これまでBRCA1/2遺伝学的検査は、乳がんや卵巣がんの治療薬、PARP阻害薬(オラパリブ)の適応となるかどうかを判断するための検査として行う場合以外は、自費診療で実施されてきました。2020年4月より遺伝性乳がん卵巣がんの診断を目的としたBRCA1/2遺伝学的検査が、一部の患者さんを対象に保険診療として実施されることになりました。

BRCA1/2遺伝学的検査の保険適用の対象者(めやす)>

乳がんと
診断された方
遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)である可能性を疑う特徴(いずれかに当てはまる方):
  • 45歳以下で乳がんと診断された
  • 60 歳以下でトリプルネガティブ乳がんと診断された
  • 両側の乳がんと診断された
  • 片方の乳房に複数回乳がん(原発性)を診断された
  • 第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がん発症者が1名以上いる
  • 乳がんと診断された男性
  • PARP阻害薬オラパリブに対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合
卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された方 すべての方

遺伝カウンセリングでは、ご本人や血縁者のがんの経験などを伺い、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)やBRCA1/2遺伝学的検査についてスタッフが詳しくご説明を行っています。

  • 2020年4月から一部の対象者のリスク低減手術も保険収載になりました。リスク低減手術に関してはこちらから

マイクロサテライト不安定性(MSI)検査

マイクロサテライト不安定性(MSI)検査は、遺伝性腫瘍の1つであるリンチ症候群*の診断を補助するための検査です。リンチ症候群の診断は遺伝学的検査を用いて行いますが、そのスクリーニング検査としてMSI検査が行われます。

このMSI検査は、大腸がんの手術で切除した大腸がんの標本や内視鏡検査で採取した生検材料を用いますので、採血などは不要です(ただし、がんと非がん部の組織が必要です)。

当院では、より精確な診断を目指すために病理部と協力して、免疫組織化学という検査も実施しています。これらの検査で陽性であった場合には、リンチ症候群の可能性があり、今後のケアについて担当医や遺伝カウンセリング担当者と相談して、適切な健康管理を行います。

また、MSI検査は免疫チェックポイント阻害薬の1つペムブロリズマブの適応を判定するために実施することがあります。その場合も、MSI検査が陽性であれば、リンチ症候群の可能性を考慮します。

*リンチ症候群:遺伝的に大腸がんや子宮体がんなどのがんを発症しやすい遺伝性腫瘍です。詳細はこちら

甲状腺髄様がんに対するRET遺伝学的検査

甲状腺髄様がんの約3割は遺伝性であることがわかっており、治療前にこの情報があることにより、手術術式の決定やその後のフォローアップに重要な情報となることがわかってきました。

その原因であるRET遺伝子の遺伝学的検査は、当院では先進医療として行ってきましたが、2016年4月より甲状腺髄様がんと診断された方に対しては保険診療で行う事が可能になりました。遺伝学的検査および遺伝カウンセリングのみ当院で受診されることも可能です。

※甲状腺髄様がんと診断されていない方のRET遺伝学的検査は自費診療となります。

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