臨床遺伝医療部
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がん研有明病院における臨床的に有用と考えられる開示対象遺伝子
当院では診療や研究等の過程で、患者さんやその血縁者の健康を守る上で重要と思われる結果が判明した場合、それに有効な対処法があると考えられる遺伝子については、その結果を患者さんに開示する意義が大きいと考え、開示対象遺伝子を選定しています。そのような結果が判明した場合に、その結果を聞きたいかどうかを患者さんに実施前に文書で確認しております。
開示対象遺伝子は、国内外のガイドラインに基づき、院内外で提供可能なサーベイランス体制(遺伝性疾患に特化した対応)を考慮し選定しております。各ガイドラインのアップデートに伴い、不定期に開示対象遺伝子の検討を実施しており、今後も変更の可能性があります。
現時点での当院における開示対象遺伝子を下記にお示しします。(2023年7月時点)
下記の遺伝子に、疾患の発症に関連する変化が検出された場合、専門家による会議等を実施し、疾患との関連が明らかであり、開示の意義があるとされたもののみ、開示のご希望がある場合に限って開示しております。
遺伝性腫瘍関連遺伝子(58遺伝子) | ||||
APC | CHEK2 | MSH6 | PTEN | SMARCB1 |
ATM | EPCAM | MUTYH (AD/AR) | RAD51C | STK11 |
AXIN2 | FH | NBN | RAD51D | TERF2IP |
BAP1 | FLCN | NF1 | RB1 | TERT |
BARD1 | GREM1 | NF2 | RET | TMEM127 |
BMPR1A | MAX | NTHL1 (AR) | RNF43 | TP53 |
BRCA1 | MEN1 | PALB2 | SDHA | TSC1 |
BRCA2 | MET | PMS2 | SDHAF2 | TSC2 |
BRIP1 | MLH1 | POLD1 | SDHB | VHL |
CDH1 | MLH3 (AR) | POLE | SDHC | WT1 |
CDK4 | MSH2 | POT1 | SDHD | |
CDKN2A | MSH3 (AR) | PTCH1 | SMAD4 |
非腫瘍性遺伝性疾患関連遺伝子(50遺伝子) ※2 | ||||
ACTA2 | DES | HNF1A | OTC (XL) | TGFBR1 |
ACTC1 | DSC2 | KCNH2 | PCSK9 | TGFBR2 |
ACVRL1 | DSG2 | KCNQ1 | PKP2 | TMEM43 |
APOB | DSP | LDLR | PRKAG2 | TNNC1 |
ATP7B (AR) | ENG | LMNA | RBM20 | TNNI3 |
BAG3 | FBN1 | MYBPC3 | RPE65 (AR) | TNNT2 |
BTD (AR) | FLNC | MYH7 | RYR1 | TPM1 |
CACNA1S | GAA (AR) | MYH11 | RYR2 | TRDN (AR) |
CASQ2 (AR) | GLA (XL) | MYL2 | SCN5A | TTN |
COL3A1 | HFE (AR) | MYL3 | SMAD3 | TTR |
*各遺伝子の遺伝形式
- 記載なし:常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式(autosomal dominant;AD)
- AR※:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式 (autosomal recessive;AR)
※ARの記載のある遺伝子は2つの遺伝子の両方(両アレル)に、疾患の発症に関連する変化(病的バリアント)が検出された場合のみ、開示を検討します。 - XL:X染色体連鎖遺伝形式(X-linked;XR)
本リストは、米国遺伝医学会 (American College of Medical Genetics and Genetics; ACMG)提唱リスト (ACMG SF v3.01) ) 、欧州臨床腫瘍学会 Precision Medicine Working Group (ESMO-PMWG) 2019年版リスト 2)、AMED小杉班 二次的所見患者開示推奨度別リストVer 3.13)、NCCN (National Comprehensive Cancer Network) Guidelines Ver.1 20224)に基づき、院内での専門家会議を経て選定された遺伝子から構成されております。
- ACMG SF v3.0 list for reporting of secondary findings in clinical exome and genome sequencing: a policy statement of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). David T. Miller, Kristy Lee, Wendy K. Chung, et al. Genet Med 23, 1381–1390 (2021)
- Germline-Focused Analysis of Tumour-Only Sequencing: Recommendations from the ESMO Precision Medicine Working Group. Mandelker D, Donoghue MTA. Talukdar S, et al. Ann Oncol. 30(8)1221–1231 (2019).
- がん遺伝子パネル検査 二次的所見 患者開示 推奨度別リスト Ver 3.1 日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development ;AMED) 研 究「 医 療 現 場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」班(AMED 小杉班)
- NCCN Guidelines® Genetic/Familial High-Risk Assessment: Colorectal Version 1.2022
【注記】
- (※1)当院で実施している生殖細胞系列の多遺伝子パネル検査 (MGPT) については、上記リストに含まれる遺伝子以外の遺伝子も含まれている場合があります。MGPT実施前に、解析される対象遺伝子について説明を行っています。また、保険診療で行われているがん遺伝子パネル検査(CGP)については、上記対象遺伝子が全て含まれるわけではありません。
- (※2)非腫瘍性疾患関連遺伝子とは、腫瘍以外の遺伝性疾患に関連する遺伝子を指します。こちらについては院内外での診療体制を整備した上で、専門家会議での議論を踏まえて開示をする方針としております。
本ページの開示対象遺伝子に関するお問い合わせは下記にお願いいたします。
連絡先:公益財団法人 がん研究会有明病院 臨床遺伝医療部
Tel:03-3520-0111(大代表)