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診療科・部門紹介
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胃外科

胃外科

最終更新日 : 2021年4月21日

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※ こちらのページは医療機関向けとなりますが、一般の方もご覧いただけます。 


ごあいさつ

平素より大変お世話になっております。また、沢山の患者さんのご紹介を頂き、誠にありがとうございます。本年1月より、胃外科部長に就任しました布部創也です。

現在我々が行っている診療の取り組みを中心に胃がん通信として配信しております。診断から治療、その後の日常生活への復帰まで患者さんを中心に‘和’を大事にし、皆様とこれまで以上に緊密な連携を保ちたいと思います。

がん研有明病院にお任せ頂ける患者さんがいらっしゃいましたら、いつでもご連絡ください。今後ともよろしくお願いいたします。

(胃外科部長 布部 創也)


胃外科スタッフ紹介

今年度の胃外科は、スタッフ6名、レジデント8名で診療にあたっています。
スタッフに新たなメンバーが加わりました!

スタッフ
レジデント
(左から) 高橋、李、天田、宗岡、堀、 磯崎、八木、太田、大橋(拓)

胃がんカンファレンスの様子

内視鏡科、消化器化学療法科のメンバー紹介は次号以降に続きます。

化学療法科、内視鏡科、外科が集まり、週一回全症例を検討しています。

胃がんセミナーを開催しました

2019年7月3日、当院へ患者さんをご紹介いただいている先生方をお招きして、がん研胃がんセミナー『がん研有明病院は胃がんにこう立ち向かう』を開催致しました。

第4回目となる今回は、@布部創也胃外科部長より「腹腔鏡か?ロボットか?−低侵襲胃がん手術の現在とこれから—」、A山口研成消化器化学療法科部長より「胃がんに対する化学療法-最新の知見-」、B平澤俊明上部消化管内科副部長より「人工知能を用いた胃癌の内視鏡診断−AIは人間を超えたのか?−」といった内容をご紹介致しました。

51施設64名の先生方にご参加いただき、これまで同様、  ご好評をいただきました。セミナー後の懇親会では、日頃お手紙やお電話のみでやりとりをさせていただいている先生方に、直接ご挨拶することができました。今後もがん研の胃がんに対する取り組みを随時ご報告させていただく 予定です。是非ご参加ください。



連載:PERICANの取り組み: リハビリ室のご紹介

当院では、多職種による周術期管理チームをPERICAN (Perioperative team at Cancer Institute Hospital:ペリカン)と名付け活動しています。その中で、今回はリハビリ室の取り組みをご紹介します。

  • 外来(術前):手術が決定した段階で外来にてリハビリ介入を開始します。リハビリ室にて握力や歩行速度などの体力チェックと呼吸訓練(コーチ2)の指導を行います。
  • 入院中:手術前日までエルゴメーター(右図)を使い、運動を行います。術後は翌日から病棟内歩行と呼吸訓練を行います。状態が安定し、病棟内歩行が安定して行えるようになる術後5日目ごろからリハビリ室でのエルゴメーターを使用した運動を再開します。各病棟廊下には、ウォーキングマップ(下図)が掲示してあり、患者さんの歩行意欲の向上に役立っています。
  • 退院後:自宅周辺での散歩や軽い 運動をお勧めし、筋力低下の予防に取り組んでいただいています。術後1か月や3か月目の外来受診時に体力チェックを行い、運動の 相談もお受けしています。

術前より運動を意識していただくことによって術後の運動もスムーズに導入でき、術後の筋力・体力低下予防につながります。

Dr.平澤の内視鏡クイズ

Q: 40歳代男性。検診目的の内視鏡を行った。診断は?

A: ラズベリー型胃癌(腺窩上皮型癌)

【解説】

背景に萎縮はなくピロリ未感染の所見である。体上部前壁に1cm弱の発赤した山田 3型ポリープを認める。一見、過形成性ポリープにもみえる。しかし、通常の過形成性ポリープはピロリ感染に伴う胃炎を背景に発生するが、この症例は背景に胃炎はない。このように、ピロリ未感染に発症する発赤したポリープはラズベリー型胃癌を疑う。

ラズベリー型胃癌とは、近年報告された新しい疾患概念である。ピロリ未感染の胃底腺領域に発生し、強い発赤を伴う亜有茎性のポリープである。表面は顆粒状、絨毛状、脳回状を呈する。一見、ラズベリーのような形態であり、ラズベリー型胃癌というニックネームで学会等でも話題となっている。病理組織学的には腺窩上皮に分化する低異型度胃型腫瘍である。

ピロリ未感染の発赤したポリープはラズベリー型胃癌!

がん研胃外科の取り組み:胃全摘を避ける

患者さんの声:
「胃全摘が必要と言われました。胃を残すことはできないのでしょうか?」
当院の対応:
「がんを治すことが大前提ですが、可能な限り胃を残すように計画します」

幽門側胃切除術(胃の出口(幽門)側を切除する術式)は胃全摘術に比べ、術後QOLや体重が保たれることが知られています。当院では可能な限り胃を残すべく、通常胃全摘となるような噴門近くの癌に対しても術中内視鏡や切除断端の術中迅速病理診断を併用し、噴門を温存した腹腔鏡下胃亜全摘術を行っています。

症例提示:80歳代後半の男性。噴門から3cmの進行胃癌(図1)に対して腹腔鏡下胃亜全摘を施行し、癌の取り残しなく切除可能でした。(図2)

基本的には腹腔鏡下胃亜全摘の対象は早期胃癌の患者さんですが、年齢や全身リスクなど個々の患者さんの状態に応じてキャンサーボードにて 承認を得たうえで、このような進行胃癌に対して実施も検討しています。

図1. 体上部後壁 2型 30mm大 噴門まで3cm
図2. 切除検体

お知らせ:ロボット手術を開始しました

2018年4月より胃癌に対するロボット支援下腹腔鏡下手術が保険適用となりました。ロボット手術では術者がサージョンコンソールという操作台に座り、遠隔操作でロボットを動かします。3Dのフルハイビジョンでの「鮮明な画像」やヒトの「手のような関節」をもつ手術機器、「手ブレ防止機能」、さらに「モーションスケーリング機能」など様々な優れた機能があります。これらの機能により、繊細な作業を行うことが可能になりました。既に国内で行われた臨床試験でも、術後腹腔内合併症の発生率が低率であることが報告されています。

ダ・ヴィンチXi
ダ・ヴィンチXi
サージョン
コンソール
サージョンコンソール

当院では2019年1月より最新の手術ロボットダ・ヴィンチXiを2台導入し、胃癌に対するロボット手術を開始しました。2019年7月現在まで術後合併症なく順調に症例を重ねております。

(胃外科:大橋 拓馬)

実際の手術画像

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