胃外科
胃がん通信バックナンバー
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がん研有明病院・胃グループは 、 高度な専門性を集約し、
チーム医療で最適な胃癌治療を実践します。
(胃外科部長 布部 創也)
胃外科部長のご挨拶
わが国における胃癌手術件数は、全国データが示すとおり、この10年余りで大きく減少しており、胃癌診療は大きな転換期を迎えています。症例数が限られる中で、治療の安全性と質をいかに維持・向上させるかが、重要な課題となっています。当院では、こうした時代背景を踏まえ、症例一つひとつに適した術式選択と安全性を重視した手術を行うとともに、内科と連携し質の高い胃癌治療の提供に努めております。胃癌治療についてご相談や患者さんのご紹介をお考えの際には、どうぞお気軽にご連絡ください。 (布部 創也)
化学療法内科部長のご挨拶
がん研有明病院では、国内有数の症例数を背景に、各診療科が連携する「臓器別チーム医療」を実践しています。近年の胃がん治療は、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の登場により劇的な変遷を遂げていますが、当院では最新のエビデンスに基づいた標準治療をいち早く提供するだけでなく、新薬治験や医師主導治験を積極的に推進しています。外科・内視鏡部門との緊密な連携による術前・術後化学療法の最適化、そして高度な専門性を有する多職種チームによる支持療法を強みに、患者さん一人ひとりに最良の医療を届けることを使命としています。 ぜひご紹介をよろしくお願いします。(山口 研成)
上部消化管内科部長のご挨拶
いつも皆様の大切な患者様をご紹介頂きありがとうございます。今年度もどうぞ宜しくお願いします。胃がんの原因はピロリ菌によるものが殆どです。人類史は感染症との戦いでした。ピロリ菌にも勝利の時が近づき、胃がんの終わりの始まりを迎えています。しばらく高齢者の疾患として推移した後、少数のピロリ菌未感染胃がんと食道胃接合部がんに移行するでしょう。胃がんが過去の疾患となるまでの期間、皆様に発見頂いた貴重な症例に対して真摯かつ誠意を持っ て対応して参りますので引き続き宜しくお願い致します。(後藤田 卓志)
胃外科トピック
わが国における胃癌手術件数は、ここ10年余りで大きく減少しています。日本全国の手術症例が登録される NationalClinical Database NCDによれば、2014年に約6万件であった胃癌胃切除術は、2024年には約3万4千件まで減少しており、4割以上の減少が認められます(図1)。一方で近年、食道胃接合部癌や上部胃癌の増加を背景に、機能温存を目指した噴門側胃切除の割合が増加しており、胃全摘を回避するための適切な術式選択と高度な再建手技に関する知識と経験がこれまで以上に求められています。さらに、ロボット支援手術の導入など手術手技の高度化も進み、かつては消化器外科の入門的手術と さ れていた胃癌手術は、現在では専門性と経験を集約して行う治療へと 、その位置づけを大きく変えつつあります。 当院では、こうした時代背景を踏まえ、限られた症例 に対しても、根治性と術後QOLの両立を重視した治療を安定して実践する体制を整えています。
(胃外科 李 基成)
化学療法科トピック


遠隔転移のない切除可能なステージ II-IVAの胃・食道胃接合部癌に対しては、本邦では外科切除 術後補助療法が標準治療として行われていますが、依然として術後再発率は高く、治療成績のさらなる向上が求められています。免疫チェックポイント阻害剤は、化学療法との併用が有効であることがステージ IVBの胃癌で示されています。MATTERHORN試験は、抗PD-L1抗体であるDurvalumabを5-FU+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)に併用する周術期化学療法の意義を検証した国際共同ランダム化第 III 相試験であり、本邦からもたくさんの患者さんが登録されました。Durvalumab+FLOT療法は、術後再発までの期間を延長させるのみならず、病理学的完全奏効割合の向上、全生存期間の改善を示し、近い将来 、日本を含む世界で周術期胃・食道胃接合部癌の新たな標準治療となることが見込まれています。 本試験は、周術期治療に免疫療法を組み込むという治療戦略の転換を示しており、より高度な専門性と経験に基づく治療選択・有害事象管理が求められる時代への移行を示唆しています。当院では、殺細胞性抗癌剤3剤併用であるFLOT療法についても、支持 療法を含めた適切な管理のもと日常診療で安全に施行しています。
(消化器化学療法内科 下嵜 啓太郎)
Dr.平澤の内視鏡クイズ
50歳代男性.既往:高血圧、脂質異常症
検診の内視鏡で隆起性病変を指摘され紹介。1年前の内視鏡で同部位は異常なし。
前庭部後壁に、なだらかな立ち上がりを呈するSMT様隆起性病変を認めた。EUSでは、第2層(粘膜深層)から第3層(粘膜下層)にかけて境界不明瞭なやや低エコー病変として描出され、中央に高エコーpot(黄色矢印)を伴っていた。これらの所見から、腫瘍性病変よりもアニサキスによる肉芽腫を疑った。詳細な問診により、3か月前に刺身を摂取し、約半日後から激しい胃痛が数日間持続していたことが判明した。粘膜切開生検では、アニサキス虫体を示唆する好酸性の無構造索状物が確認された。アニサキス症といえば急性腹症を想起しがちだが、一部は胃壁内に侵入し、SMT様の肉芽腫を形成する。この肉芽腫は自然消退することもある一方で、難治性病変として 数か月以上残存し、SMT様病変として発見される場合も少なくない。こうした症例においてはEUSが診断の鍵となり、虫体に相当する高エコーspotの描出が重要な判断材料となる。
そう感じた瞬間はありませんか?
GISTだけでなく、SMT様胃癌、悪性リンパ腫、NET、グロムス腫瘍、異所性膵など、胃SMTには多彩な鑑別疾患が潜み、組織診断も容易ではありません。これまで本領域を体系的に学べる書籍がほとんどなく、経験と勘に頼らざるを得なかったのが実情です。本書は、がん研有明病院で18年間にわたり胃SEL/SMT診療を牽引してきた著者が、豊富な症例をもとに「何を見て、どう判断するか」を講義形式で徹底解説。読むほどに診断の軸が明確になり、外来対応に自信が生まれる。臨床現場で真に役立つ必携書です 。
※診断、対応にお困りのSMT症例は、遠慮なく平澤までご紹介ください。
消化管内科トピック
2013年にH. pylori感染胃炎への除菌治療が保険適用となって以降、現感染の胃を内視鏡で見る機会は大きく減少し、全国的に胃癌治療件数も減少傾向にあります。当科も例年400~500 件の胃内視鏡治療を行ってきましたが、2025年は上半期で183件と、年間400件を下回るースで推移しています。一方で、胃癌全体は減少しているものの、萎縮・腸上皮化生を背景とする胃癌は高齢者では依然として一定数みられます。また、H. pylori未感染胃に生じやすい 胃底腺型腫瘍(写真1や腺窩上皮型腫瘍 写真2 :ラズベリー型腫瘍のような比較的低悪性度の胃型腫瘍は相対的に増加しています。図1は2021〜2025年上半期における全EMR/ESD件数(青)と胃型腫瘍件数(橙)、およびその割合(灰)を示しています。全体の治療件数はやや減少する一方で、胃型腫瘍の割合は2021年7.0%から2025年上半期には19.1%へと大きく上昇しています。腫瘍背景の多様化に加え、高齢者では併存症や全身状態が予後を大きく左右するため、内視鏡治療は従来以上に慎重な判断が必要です。「木(胃癌)を見て森(患者全体)を見ず」とならないよう、全身状態や生活背景を踏まえた最適な治療選択を今後も心がけていきます。
(上部消化管内科 山本 浩之)
胃切除術前の説明動画を公開しています
がん研胃外科では、これから胃がんの手術をうける 患者さんを対象に術前説明用の動画を作成しました。動画はYouTubeで閲覧出来ます。右図のQRコードからもご覧になれます。(https://youtu.be/kwiYQ8g5CIA)
がん研有明病院では、先生方からのご紹介に対し、迅速に対応できるようにご紹介専用電話を開設しております。お困りの患者さんがいらっしゃいましたら、いつでもご連絡ください。
<ご紹介連絡先>診療予約室
電話:03−3570−0506(直通:医療機関専用)
FAX:03−3570−0254
受付時間:平日 午前8時30分〜午後4時30分


