
胃外科
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コロナ禍を乗り越え、一致団結し診療にあたります
平素より沢山の患者さんをご紹介頂き、誠にありがとうございます。コロナ禍における感染の流行拡大は以前よりは収まりつつあるものの、皆様にはまだまだ大変な状況が続いているかと存じます。当院ではコロナ対策に配慮しつつ、がん診療の遅れを避けることを第一に考えております。内視鏡、手術、化学療法の観点から、カンファレンスや消化器センター全体のキャンサーボードで討議した上で、迅速かつより最適な治療法を提供出来るよう、可能な限り皆様のご期待に応えたいと思っております。
がん研有明病院にお任せ頂ける患者さんがいらっしゃいましたら、いつでもご連絡ください。
(胃外科部長 布部 創也)
胃外科スタッフ紹介
-
佐野武
病院長 -
布部創也
部長 -
大橋学
副部長 -
熊谷厚志
医長 -
幕内梨恵
副医長 -
速水克
副医長 -
李基成
副医長
消化器内科スタッフ紹介
-
藤崎順子 -
平澤俊明
胃担当部長 -
由雄敏之
食道担当部長 -
石山晃世志
副部長 -
堀内祐介
医長 -
吉水祥一
医長 -
渡海義隆
医長 -
並河健
副医長 -
池之山洋平
副医長
消化器化学療法科スタッフ紹介
-
山口研成
部長 -
陳勁松
外来化学
療法部長 -
篠崎英司
副部長 -
高張大亮
副部長 -
大木暁
医長 -
若槻尊
医長 -
小倉真理子
副医長 -
中山厳馬
副医長 -
大隅寛木
副医長 -
福岡聖大
副医長
化学療法トピック

クローディン (Claudin)は、細胞間の緊密な結合を形成する膜貫通型タンパク質であり、クローディン18.2は胃癌に多く発現する特異性の高い細胞表面分子です。ゾルベツキシマブ (Zolbetuximab) はクローディン18.2へ結合するモノクローナルIgG1抗体で、抗体依存性細胞傷害(ADCC: antibody-dependent cellular cytotoxicity)や補体依存性細胞傷害(CDC: complement-dependent cytotoxicity)により細胞死を引き起こす特徴を持ちます (右図)。クローディン 18.2陽性/HER2陰性の切除不能進行胃癌・食道胃接合部癌に対して、フッ化ピリミジン系抗がん剤+オキサリプラチンにゾルベツキシマブ の上乗せ効果を検証した2つの第3相試験 (GLOW試験、SPOTLIGHT試験) の結果、無増悪生存期間および全生存期間の延長効果がいずれも有意に示されました。両試験では、スクリーニングされた患者の約38%が、免疫組織化学染色において腫瘍細胞の75%以上で中等度から強度の染色強度を示す、クローディン 18.2陽性胃癌でした。ゾルベツキシマブは、胃癌においてトラスツズマブ以降で1次治療で有意に予後延長効果を認めた唯一のモノクローナル抗体となり、今後クローディン18.2陽性胃癌に対する標準治療薬の一つとして承認申請予定となっております
(消化器化学療法科 大隅寛木)
PERICANの取り組み:リハビリ室のご紹介
リハビリテーション部ではPERICANの患者さんに対し、手術前に外来にて体力評価を行なっています。まず術前の結果が年齢平均値と比較して低い場合には手術までの準備として、運動指導を行います。また術前に実施した記録は、術後の結果と比較し今後の目標を設定するためにも大切な記録となります(術後は退院前と、外来にて術後1ヶ月、3−6ヶ月で実施)。
評価項目は、握力測定・バランステスト(片脚立ち)・5回起立テスト・10m歩行速度・指輪っかテストの5項目となります。それぞれの年齢別平均値は表の通りであり、ご自身の結果と年齢平均値を比較することで運動に対する意識に変化がみられることも少なくありません。指輪っかテストはご自身の指を使用して評価するテストであり、患者さんがご自宅でも手軽に筋肉量をみるツールとして採用しています。こういった評価をもとに、術前から術後のリハビリへと繋げて機能の維持・向上を図っています。



(リハビリテーション部 馬城はるか)
Dr.平澤の内視鏡クイズ

50歳代女性.スクリーニングの内視鏡検査で前庭部前壁に潰瘍を伴うSMT様隆起を認めた。PPIを処方されるも、半年後のEGDでは変化なし。
潰瘍辺縁からの生検はGroup1であった。胃癌が疑われ、がん研に紹介となった。
既往:なし、内服:ランソプラゾール、除菌歴なし、血清ピロリ抗体陰性.


- 特発性胃潰瘍(H. pylori陰性 NSAID 陰性胃潰瘍)のうち、PPI投与でも治癒しない、または容易に再発する前庭部の難治性潰瘍は、特発性胃前庭部難治性潰瘍と呼ばれ、胃癌の疑いでがん研有明病院にも時々紹介される
- 前庭部に周囲に強い浮腫状変化を伴う潰瘍が典型像である
- 小円形で深い穴様の潰瘍に周囲の浮腫による隆起が目立つ場合はSMTと誤診されることもある
- 原因として前庭部の蠕動亢進の関与が推測されている
参考文献:寺井智宏, 丸山保彦. 特発性胃前庭部難治性潰瘍の臨床的特徴と対策.日本消化器内視鏡学会雑誌.64. 195-201. 2022.


美麗な内視鏡画像と手技の動画を豊富に 掲載し,癌を見逃さないポイントが一目瞭

高齢者における機能温存手術
昨今の診断及び手術技術の発展は目覚しく、ステージ1の早期胃癌を中心に、良好な長期予後が期待できるようになってきました。また、癌の根治と同様に、術後の生活の質 (Quality of Life:QOL) 向上も重要視されています。従来の胃切除は、約3分の2を切除する幽門側胃切除や、胃を全て切除する胃全摘術が中心でしたが、特に胃全摘術では、貯留機能や逆流防止機構といった、”機能”喪失に伴うQOL低下が問題となります。当院では、患者さんに術後も安定した生活を送って頂くことを目的に、根治だけでなく、”機能”の保持にも着目した「機能温存胃切除術」を積極的に行って参りました(図1)。
一方で、患者層の高齢化に伴い、当院においても高齢者の胃癌手術症例は増加の一途にあります(図2)。そして身体予備能の低下した高齢者においては術後のQOL低下は特に重要な課題です。最近の研究では、機能温存胃切除術は高齢者においても、長期的な貧血予防や、栄養状態の低下予防に加え、体重減少率の低下にも寄与することが分かってきました(図3、文献1, 2)。腫瘍の進行度や局在によっては、機能温存胃切除を選択できない場合もありますが、私達は高齢者においても、可能な限り機能の保持を目指しております。



文献:
- Terayama M, et al. J Gastric Cancer. 2023 https://doi.org/10.5230/jgc.2023.23.e9
- Terayama M, et al. Gastric Cancer. 2023 DOI: 10.1007/s10120-022-01345-2
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